なぜ彼らは津波に巻き込まれたか〜南三陸町防災対策庁舎と殉職〜


要約
逃げられるのに逃げなかったことで、想定外の津波にたくさんの命が奪われた。その「大丈夫だろう」で他者の命が奪われることもある。だから我々は「誰も死なない」を達成するため、誰かを助けるために早急に避難をするべきだ

はじめに
殉職とは、職務中に何らかの原因で死亡することである。
東日本大震災では警察官25名、消防職員27名、消防団員254名、自衛官2名、市や町の職員の方々が殉職した。
この先起こる災害で、誰も死なないように、「誰も」の中に彼らが含まれるために、その経緯、原因を探る。

現状__彼らがそこにいた理由
南三陸町では、死者・行方不明者合わせて631人、その内43人が職員である。
防災対策庁舎の建物は高さ12m、海岸から600mの場所にあり、そばには八幡川が流れている。海には5.5mの防潮堤があった。
当初の予想では津波は6m。「一定程度浸水はするだろうが、ここは防潮堤があるから大丈夫だろう」というのが職員たちの認識だった。
彼らは皆が高台に向かって行く中で、被害情報の収集、防災無線の放送などのためその場に留まったり、交通整理、避難誘導のため海の方へ向かった。
その後に津波の予想が10m以上に変更された。それに伴って職員たちは屋上へ避難した。そこへ到来した津波は最大15.5m。建物は頭から津波を被り、屋上にいた職員たちを飲み込んだ。

提案__あなたの行動が誰かを
私は「逃げられるのに逃げない」が一番の問題だと思う。
実際、「防潮堤があるから大丈夫」という考えでその場に留まって津波に飲まれた人は多い。
その人たちを助けるために自衛隊や消防、警察、そして役所の職員が向かって、その場で職務に当たって、また命を落とした。
私達はこの連鎖を断ち切らなければならない。その場に留まったことで自分がいる場所、危険な場所までわざわざ来なければならなくなる。自分の選択が誰かを殺すかもしれないということを理解してほしい。
津波が来たら一人ひとりがとにかく逃げる。それが何よりも重要なのだ。
そのためには一人ひとりの意識を変えることが必要だ。現代にあるツールを活用して、自分の行動の重さを知ってもらうべきである。
そして海を持つ町は主要機関を高台に置くか、避難先に同じだけの設備を用意しておくべきだ。
行政機関が麻痺してしまうと支援が遅れたりと混乱が広がるのは必至である。
だから、職員や市民の命を守るためにも拠点となる場所が必要なのだ。

まとめ
我々住民を助けてくれる側の彼らが死んでしまっては困る。彼らがいなければ私達は混乱の中どうすることもできなくなる。一人ひとりの行動が誰かを危険に晒すかもしれないことを、誰かを救うかもしれないことを、心に留めて私達は生きていくべきである。