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青い車は心中用とスピッツで学んだ ◆ 水曜日の湯葉76[5/17-23]

【新作お知らせ1】
日本SF作家クラブ編『AIとSF』発売。電子版も同日発売。僕は「Forget me, bot」という短編を寄稿しました。AIチャットボットに特定の事項を忘れさせる「AI忘れさせ屋」という職業の話です。


【新作おしらせ2】
WIRED Sci-Fi プロトタイピング研究所にて「地産地売買地消」という短編を載せました。「流通・小売業の未来」というあまり知らないテーマで不安だったのですが、コンサルの方々とワークショップを重ねてずいぶん勉強させていただきました。モンドラゴン協同組合って面白い仕組みだなあ。


【新作おしらせ3】
Web 連載『幽霊を信じない理系大学生、霊媒師のバイトをする』を3か月ほど休載していたのですが、ついに業を煮やした編集さんに1泊2日ほど監禁され(いわゆるカンヅメ)、牡蠣丼を食べながら原稿を書いてようやく再開に至りました。これは全編無料公開中です。


【新作おしらせ4】
あと note で個人的にやってる短編連載も更新しました。わりと普通の仲良し夫婦の話です。月1でこれくらいの短編を載せています。メンバーシップに入ると過去作(まだ2編ですが)が読めます。

ということで、なんとか新作を出しまくって小説家らしい雰囲気を取り戻しつつある。

ところで僕はたいてい外出先で原稿をやるのだが、「カフェとかでPC開いてもついスマホを触ってしまう」なんて悩みをお持ちでないだろうか。僕は持っている。いっそ家に置いておきたいが財布の役割もあるし、マジの緊急連絡が来たら困る。ということで糊付き茶封筒にスマホを入れて持ち歩くという手を考えた。

右にスマホ在中

封筒が消耗品なので「もったいない」意識で不要なスマホいじりを抑制できる。モバイル Suica とかは封筒越しで使えるし、通知は Bluetooth でスマートウォッチに飛ぶので、緊急連絡が来たら封筒を破いて応答する。バッテリー残量は「OK, Google」で確認する。よさそうな仕組みだ。

と思ったがなぜか電池が急激に消耗する。なんでだろ。画面がずっと紙に触れているせいで常時点灯ディスプレイが反応してしまうのかな。


5月17日 水

友人に会いに東京へ。狙いすましたかのような猛暑。新橋駅の広場で古本市をやっていたので、1956年のサンデー毎日を買う。古雑誌は広告欄が面白い。報道記事よりも当時のリアルな感情が見える。

今なら広告の商品に興味を持ったらそれをクリックすれば済むが、この時代は電話すら普及していない。商品に興味を持ったら「郵便で資料請求」か「お近くの百貨店へ」である。スマホ時代の人間から見るとひどくダルい作業だが、それでいて広告特有の胡乱な雰囲気は全くブレていないのが興味深い。


友人と昼飯しながら勤め先の話を聞く。でかい会社の話は(自分に経験がないので)だいたい新鮮で面白い。

「特定業務を担当する部分を子会社にした」みたいな話を聞くと「なんで?????」と思う。法律だか税金だかで何かしらの得があるんだろうけれど。「目的が失われているのに慣性だけで動いている巨大プロジェクトが大勢の社員を巻き込んでいる」と聞くと「あ、それはわかる」と思う。アカデミアにも似たものがあるため。

途中で「今から20分くらいリモート会議でないと」と駅前の電話ボックスみたいな箱へ消え、「特に出る必要なかった」と戻ってきたりする。会社員というのは自分が発言しない会議によく駆り出されるらしい。小説家はそういうのがない。実際的な必要がない時は極力呼ばれない立場である。

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