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1時間話すために7日間中国に行った ◆ 水曜日の湯葉[10/18-24]

【前回のあらすじ】
ワールドコンに参加するために中国・成都に来た。世界SF大会 World Science Fiction Convention 略して「ワールドコン」である。略すときに肝心な部分を飛ばすノリは 『宇宙よりも場所』→「よりもい」に通じるものがある。

しかし入国審査トラップにハマり、1時間待ちの行列に2回並ぶハメになる。市内までのバスはすでに無く、現地ボランティアの手を借りてタクシーでホテルに着いたのは深夜の2時。そういえばあのタクシー代払ってないけどいいのか。


10月18日 水

成都市のホテルで目を覚ます。中国は広いくせにタイムゾーンをまったく区切らないため、西方では朝7時でもまだ暗い。のそのそと起きて朝食ビュッフェを食べる。四川料理圏ということもあって朝食にもしっかり唐辛子が効いている。たぶん日本人が顆粒だしを使うくらいの感覚で入れてる。

ワールドコンの開会式は夜なので、それまで市内をぶらぶらする。埼玉の自宅ではすでに羽根布団を出したが、成都はギリギリ半袖でいける季節。

博物館は予約が必要だが、現地で WeChat アプリにパスポート番号を入れたらその場でさっと予約できた。2019年に行った上海の博物館は出入り自由だったのだが、コロナ禍によって人流の管理が厳しくなったのかもしれない。しかし「博物館に入った」ということが個人情報と結び付けられるのは、国民だったら少々の不安があるな。

中国だとだいたい「諸葛亮」と書く

日本人が来る中国といえばだいたい北京・上海・香港といった沿岸部の大都市なので、成都のような内陸部はいささか馴染みが薄いが、諸葛孔明の地元ということで三国志マニアは結構来るらしい。同行した陸さん(日本語の話せる中国人作家)がいろいろと解説をしてくれる。「この呂不韋という人は始皇帝の父親です」と言ってて「それ司馬遷も否定したゴシップだろ」と思った。

夜は開会セレモニー。基本中国語なので内容はわからないが、たまに英語が入るのでそこだけ理解できる。「ワールドコンは1939年にニューヨークで始まりましたが、当時はその名前に反してアメリカの一部地域のものでした。それが今や何万キロも離れてこんなにも大勢の人が……」みたいな話をしていた。そのあとダンスとか手品とかいろんなショーがあったが、劉慈欣(『三体』の著者)が出てきたときが一番盛り上がっていた。

会場のスクリーン、斜めの席だと見える範囲が狭い


10月19日 木

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