ハリウッドの宇宙映画だって撮影は地球でやる ◆ 水曜日の湯葉79 [6/7-13]
6月7日 水
月例の打ち合わせ。僕が『幽霊〜』の連載を抱えてろくに新作の話をしないので「映画を語る会」になっていたが、ようやく仕事の話をする。もともとあった壮大な構想はいったん脇に置いて「とりあえず書く短いやつ」の話をしたら、とたんに具体的な内容がぐっと進む。やはり僕は本質が短編作家である。
Photoshop のジェネレーティブ塗りつぶしが便利らしい、ということで Adobe Creative Cloud に契約する。最小プランで月額1000円。まず画面全体を「田んぼと青空」みたいな大雑把な背景で塗りつぶし、あとは投げ縄ツールで囲んだ部分に欲しいパーツをぽちぽち置いていく。めっちゃ便利。StableDiffusion や DALL-E でも似た機能があるけど、生成したものがレイヤー化されるなど諸々の意味で遥かに使いやすい。
商業で関わる絵師さんに「こんなかんじでお願いします」という案を出すのにもこれでいいんじゃないかな。僕が下手な絵を描くよりは情報のロスが少なそうだし。
6月8日 木
さっそく Photoshop AI で漫画を描くことに。とりあえず脚本を書く。AIで同じ人の顔を何コマも作るのは難しそうなので主人公はずっと宇宙服にしよう。舞台は月面にしよう。プロンプトに landscape of moon (月の風景)という英文を入れる。
違う違う。これは「月の見える風景」だ。
何度試してもアームストロングが見たような景色が出ないので、途中で方針を変える。Vast desert(広大な砂漠)を生成して、色調を変えて月面っぽくしよう。ハリウッドの宇宙映画だって撮影は地球でやるからな。
ありゃ。風紋(風によってできるシワ)があるのはおかしいな。月に風はない。あともう少し石が多いほうがいいな。プロンプトを調整していこう。
よし。これを素材に使おう。空は真っ黒、地面は白黒にして、トーンカーブで影になるところをより黒くする。月面は空気がないので光の当たらないところはマジの黒になる。あとは地球を置けば月に見える。光源が左っぽいので地球も左半分だけ見えるように調整。
いいだろう。あとは主人公や基地など必要なモノを生成して、タイトルやら何やらを置く。
いいね。ここまで1時間くらい。こんな具合でどんどん作っていく。
ここまでで半日くらい。基地に入るシーンではエアロックを描きたかったんだが、AIにエアロックを描かせる方法がどうしてもわからない。改変可能なフリー素材をコピペして周辺をAIで調整するのも手か。あとセリフを並べるのが想像以上にめんどい。漫画用のツールじゃないからな。クリスタはこのへんがやりやすかった。
6月9日 金
ここから先は
文章で生計を立てる身ですのでサポートをいただけるとたいへん嬉しいです。メッセージが思いつかない方は好きな食べ物を書いてください。