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芸術と感情


衝撃、驚き、驚嘆、感動、感激、高揚、興奮、
懐古、感傷、切なさ、泣き、笑い。

ショーやアートすべてに異なる感情をもって、
感情を表す言葉を全部探してもどれにも当てはまらないような、
ひとつの熟語や形容詞だけでは全然足りないような、
自分でも今まで知らなかった感情をたくさん知る。

芸術に正解はないし、優劣もない。

鑑賞者の今までの人生とその時の状況や心情によって
その芸術にどんな感情を抱くかが変わる。

鑑賞者の全員がまったく同じ感情にはならない。
楽しめる人、楽しめない人、好きな人、嫌いな人、
肯定的に感じる人もいれば否定的に感じる人もいる。

1人1人がそれぞれの人生を生きてきて、
今までそれぞれに色んな感情を知ってきたからこそ、
同じ時間で、同じ場所で、同じ芸術をみても感じ方は異なる。

それが芸術というもの。

でも、唯一、観客全員が同じものを体感する。

それは、「心が揺さぶられる」ということ。

単なる感情を知るだけでなくて、心の琴線に触れて、
自分自身ですらコントロールできずに
メロディーが溢れ出てくるようなかんじ。

これはきっと言葉では分からない。
実際に体感しないと決して分からない。


その上で、想像を超えるような心の揺さぶられ方をするのが
人間がリアルタイムで創り出す芸術だと思う。

パフォーマーの表情、動き、身にまとうオーラ、空間の創り出しかた、
そのすべてに正しいものも同じものもない。

幾度も同じテーマで、動き方が決まっていたとしても、
プログラミングされたように決して同じものは創られない。

その場でしか味わうことのできない空気感、リアル感、臨場感がうまれて、
パフォーマーの心の振動が伝わってくる。
パフォーマーと観客でダイレクトに感情を刺激し合っている。

だからこそ、
心の揺さぶられ方が不規則で、想像以上の感覚を得るのだと思う。


わたしはその感情を、その感覚を、人々に体感してほしいと思う。
どんな人でさえ、どうしたって救われない現実で、
どうしようもない辛さを生きている人々に。

「単なる感情を知るだけでなくて、心の琴線に触れて、
自分自身ですらコントロールできずにメロディーが溢れ出てくるような。」

この感覚を味わってほしい。

私自身もこの感覚に救われたいのだと思う。
どこかでふと“生”というものを放り出してしまいそうな問いに対して、
踏みとどまれそうな感情を見つけるために。


だから
創作者であり、表現者であり、観客でありたい。




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