トップのコピー2-01-01

才能がなくても、ミュージシャンとして食べていく。【第3章】



まえがき


「才能がなくても、ミュージシャンとして食べていく。」いよいよ折り返し地点である第3章になりました。

第1章では音楽を仕事にしていくための考え方を。

第2章では、そもそも仕事とは何なのかということを書かせていただきました。


人はなぜ仕事をするのか?

もちろん食い扶持を稼ぐためなのですが、それだけではありません。

何かに取り組んで、達成感を得ること。

人のために動いて、感謝されること。

社会の中の役割、責任を果たすこと。

全て、仕事の理由です。

これを満たせる仕事ができれば、

それは「天職」と言えるでしょう。

音楽を志しているあなたも、

そうでない仕事に従事されているあなたも、

胸に手を当てて考えてみてください。

今の(あるいは将来の)仕事は、この全てが満たせているのか?と。


「好きなこと」を仕事にするよりも、

「達成感を持てて、人に喜ばれて、責任が果たせること」を仕事にした方が、

幸せを得られます。

なぜなら、

「好きなこと」は趣味でやった方が、何倍も充実した活動ができるからです。

そして仕事では、制約や困難を乗り越えて「達成感」を味わい

お客様やクライアントのことを考えて行動し、「感謝」される喜びを味わい

社会の中で「責任」が果たせることにより、必要とされる充実感を味わう

それが仕事の意義です。

その結果、お金という対価をいただいて、

それこそ「好きなこと」に没頭すれば良いのです。

もちろん「好きなこと」と「達成感があること、感謝されること、責任を果たすこと」が同一ならそれも良しです。


さて、第3章では、もう少し具体的な、ミュージシャンとしての仕事の種類について書いていきたいと思います。

どうぞ、よろしくお願いします。



ミュージシャンとして食べていく方法


ミュージシャンを仕事にしていく上で、まず大きく分けられるのは2つ。

事務所に所属するか、フリーランスでやるのか、です。

仕事の内容としてはそこまで変わらないですが、比率が変わってきます。

何の比率かというと、クライアントの比率です。

事務所に所属していただくお仕事は、当然事務所がインセンティブを取るため、動く金額が大きくなります。

よって、企業や団体がクライアントであることが多いです。

とすると、フリーランスでやる場合は、事務所ではカバーできない隙間を主にしていくことになり、個人がクライアントのことが多くなります。


どちらの方が稼げるのかは、やり方次第だと言えます。

事務所に所属したからといって安定して仕事をいただけるとは限りませんし、フリーだからといって稼げないなんてことは全くありません。


さて、仕事の内容としてはさほど変わらないと前述しましたが、その内容も大きく分けると、

①演奏・伴奏

②レッスン

③製作

④その他

に分けられます。

順にひとつずつ見ていきましょう。



音を奏でる仕事


まず①の演奏・伴奏です。

これは一番基本的というか、だからこそミュージシャン、というところですね。


まずは、演奏に関してです。

演奏と伴奏の違いがピンと来ない方も多いかと思いますが、

ここで言う「演奏」は、「伴奏」以外のプレイを指します。ややこしいですねw

つまりは、バックではなく、メインの方です。

例えばヴォーカルはほとんどが「演奏」になりますね。バックコーラスをする場合は「伴奏」です。

楽器でも、バックバンドはもちろん「伴奏」なのですが、替えが効かないバンドメンバーはむしろ仕事としては「演奏」の部類に入ります。

例を挙げますと、GLAYというバンドはメンバー4人で構成されています。ヴォーカル、ギター、ギター、ベースの4人です。

ですがライブとなると、そこにドラム、シンセなどがサポートで入ります。

そのライブでは、サポートで入る人は「伴奏」の仕事を、メンバー4人は「演奏」の仕事をしているということです。

なんでいきなりGLAYなのかって、バンド時代コピーしてたもので・・


仕事内容はいたって単純、楽曲を演奏すること、音を奏でることです。

ですが、もちろんそれだけではいけません。

「ステージ」を作り上げる、という仕事でもあるからです。

また場合によっては「エンタテイナー」であることも求められるかもしれません。

「伴奏」と大きく違うのは、「華」が必要だということ。

主役が張れることが必要なのです。

上手いだけではなく、

魅力的な演奏ができるか、

人をいかに惹きつけられるかが鍵になります。


そうは言いましたが、例外もあります。

BGMの演奏です。

レストランや高級なホテルなんかで、ピアニストが生演奏していたり、ジャズシンガーが歌っている場面、ありますよね。

野球場でテーマソングやファンファーレを弾く仕事なんかもあります。

あれは、演奏なんだけど、仕事の内容としては伴奏に近いです。

指定がなく自由に弾いていい場合もあるけど、あくまでBGM。

ステージを作ったり、エンタテイメントを作ってはむしろいけないのです。

黙々と裏方に徹する仕事です。


演奏の仕事の場合、特にフリーだと、クライアントがいないこともでてきます。

つまり、自分が企画して興行をする、というパターンです。

それが仕事として成立するか・・つまりは収入につながるかは、また違った能力が求められます。

仕事を作る側・・・自分がクライアント側になる能力です。

利益が出るかどうかはやはり蓋を開けてみないと何とも言えないところがあるため、リスクは高いですが、

うまくいけばリターンも大きいです。

いわゆる、プロデューサー業ですね。

もちろん、演奏しないでもできることですが、

特にフリーランスの場合は、そこまで演奏家が自分でやらざるを得ないことが多いということです。


伴奏は、いわゆる職人業に近いです。

クライアントである、歌い手さんやプロデューサーさん、ディレクターさん、演出家さんの意図を汲み取り、伴奏をする。

主役を引き立たせるための名脇役と言いましょうか。

現場にもよりますが、基本的にはその場で出された譜面をその場で弾かなければなりません。

とっさの、かつ的確な対応力が求められます。

その中でもレコーディングを主にしている人をスタジオミュージシャンといいます。

スタジオの仕事の場合は1曲単位のギャラになるので、いかに早くOKテイクを出せるかが勝負です。

他にはライブのバックバンド(サポートメンバー)がほとんどです。


演奏は公募があって、オーディションなんかで決まることもありますが、

伴奏はほとんど信頼関係、横のつながりで決まります。

初めて行く現場は次に繋がるチャンスでもあり、

失敗の許されない崖っぷちでもあります。

そんな「私、失敗しないので」の世界が伴奏の仕事だと言えるでしょう。



育てる仕事


例えばゴルフでもツアープロとティーチングプロがいますが、

プレイヤーとして活躍する他に、プレイヤーを育てる仕事があります。

というか、音楽業界以外でも、圧倒的にティーチングプロとして食べている人が大半でしょう。

スポーツ業界とか、芸術分野はだいたいそうです。最近ではプログラミングなんかもそうかもしれませんね。

それだけプレイヤーとして活躍すること、音楽で言えば前述した演奏・伴奏の仕事だけで食べていくことは難しいのです。

かといって皆が皆ティーチングプロになれるかといえばそうではないですが・・・教えることにも適性があります。

上手いプレイヤーがいい先生であるかは、全く別問題なのです。教え方というのもひとつの技術と言えます。


プレイヤー視点からすれば、教える仕事で食べている人はミュージシャンとは言えない、と主張する方もいるでしょう。

しかし、それもまた立派な音楽の仕事です。

裾野が広がらないと、優秀なプレイヤーも産まれないですし、全体のレベルアップも図れません。

もちろん、ちゃんと志を持って教える先生なのかどうか、というのもありますが・・・


レッスンプロも、事務所(あるいは会社・学校など)に所属して先生業をやる場合と、

フリーでやっていく(町のピアノ教室みたいな)場合とがあります。

僕の場合は、歌の先生の歌のレッスンのピアノ伴奏に行ってたりしました。(これは仕事としては伴奏に含まれますね)

リズム・ピッチ・ハーモニーに関してはある程度理論や基準があっても、

表現の仕方など、音楽は正解がない世界なので、

最終的には自分自身で模索する以外にないのですが、

そこに至るための基礎であったり、ヒントとなることを投げかけるのが先生の役割と言えるでしょうか。

これが師匠と弟子、になると、生き方や人間性まで深く導いていくことになります。



創造する仕事


音楽で、プレイヤーとして演奏・伴奏する仕事と対をなす(?)仕事として、製作の仕事があります。

今僕はまさに、演奏・伴奏の仕事から、製作に主軸を移したところです。


一番わかりやすいのは作曲でしょうか。

大きく分けると、自分が作った曲を売り込んでいくパターンと、依頼を受けて作るパターンがあります。


いわゆるシンガーソングライターの人は、前者に当たります。演奏と製作の兼業ですね。

後者はいわゆる作家業です。直接依頼を受けて曲を作ったり、募集がかかっているコンペ(=コンペンション。複数の案を募り競技させる。)に出したりします。

作品を作ることにより著作権が発生しますので、それにより作品を使用されることで著作権料をいただくことができます。

いわゆる印税です。

ただし、契約によっては、著作権ごと譲渡する(権利の買取)場合もあります。

使う側(クライアント)が、使用するたびに著作権料を支払うより、ある程度まとまった金額で権利を買い取った方が得だと判断する場合があるからです。


曲を作る以外にも、アレンジをしたり、打ち込み(DTM)をしたり、譜面を書いたり・・・

製作とは、納期(〆切)までに作品(ないし依頼されたもの)をクライアントに納品する、という仕事です。


クリエイティヴィティと、意志力・・・自分を律する力が求められます。

何時から何時まで働く、みたいなのが決まってないので、自分で決めてやるしかないのです。

夏休みの宿題をギリギリまでやらない人には向かないと言えるかもしれません・・・

僕もそういうタイプだったんですがw



ミュージシャンの副業?


そして④のその他ですが、これは単体だと「ミュージシャン」とは呼ばない仕事です。

ですが、ミュージシャンが兼業していることもある、音楽関係の仕事です。

例えば、音響スタッフ(いわゆるPA)であったり、

レコーディングのエンジニアであったり・・・

ミュージシャンも兼業している方だと、プレイヤーやクライアントの意志を汲み取りやすい、という面があります。

逆にこだわりが強すぎて融通が利かない場合もありますが・・・それはいいことでもあります。

良いものを作りたい、という意志があるということだからです。

やっつけの仕事ではない、ということです。

もちろんただの独り善がりであったらダメですが・・・


コンサートをする上では、音響スタッフさんが、

レコーディングをする上では、エンジニアさんが、

ピアノを弾く上では調律師さんが、

プレイヤーやクリエイターにとってとても大事な存在です。

ミュージシャンと兼業していない専門の方でも、

実質、準ミュージシャンと言える仕事だと思います。



まとめ

というわけで、ミュージシャンの仕事の種類についてでした。

ミュージシャン、つまり「音楽家」をどこまで含めるかというのは非常に難しいというか微妙なんですが、

今回の定義は「楽曲(作品)の音を奏でることを仕事にしている人」です。

言うなれば、プレイヤーかクリエイターに属する人、でしょうか。

様々な意見があるかと思いますので、あくまでも僕の私見であることはお断りしておきます。


今回は自分語りをしていないので(?)、無料で公開させていただきたいと思います。

僕の過去に興味のある方は、ぜひ第1、2章をご覧くださると幸いです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!




















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?