見出し画像

#48. 「半身」で生きる│『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』三宅香帆



『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)
三宅香帆さんのベストセラーです。

まず、タイトルが秀逸です。

「えっ、自分のこと!?」と思わせるタイトルです。
私も思わず手に取ってしまいました。

タイトルの問いを、日本の読書史と労働史から紐解いていきます。

端的に言うと、働きながら本を読める社会をつくるためには、全身全霊ではなく半身での働き方が可能な社会にすること。
著者はこう提案し、結論づけます。


読書には「ノイズ」が含まれるというフレーズが印象的でした。

ノイズとは、偶然性、求めていなかった文脈に出会うことと定義されています。

このノイズこそ、人が生きていく上で味わう醍醐味ですが、全身全霊での働き方が良しとされる現代の日本は、ノイズのある読書離れが進んでいると言われています。

一方で、ノイズのない情報を得るインターネット検索の時間は取れる人が多いのも納得です。


半身で働くとは、自分の文脈のうち、片方は仕事、片方は他のもの(育児、介護、趣味など)に使うことです。

このような働き方、生き方によって、自分から遠く離れた文脈に触れることが可能になります。
読書も、その一つです。

自分から離れたところにある文脈をノイズだと思ってしまい、自分に関係のある情報ばかりを求めてしまう。
だから、「半身で働く」必要があるというのは納得です。


半身で働く、半身で生きるためには、より短い時間で、より成果を出す必要があります。
そのためには、短い集中力を発揮することが大事だと思います。

人間が短期集中できる時間は15分程度で、最大でも90分が限度と言われています。
ただし、工夫次第でその短期集中は繰り返し発揮することができます。

その集中力を発揮するために、睡眠や食事、適度な休憩、体を動かすなど、よりパフォーマンスを上げていくための工夫を勉強していこう。
そして、ノイズにも触れていく生き方をしよう。

そんなことを考えさせられた、面白い本でした。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?