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エンジニアからPdMへのキャリアチェンジがもたらした新たな視点

🐳この記事は「ログラスアドベントカレンダー2023」の16日目の記事です。明日はCSの成田さんです!

こんにちは!ログラスでPdMをしている佐藤悠です。
この記事では、エンジニアからPdMへのキャリアチェンジを通じて得た洞察や学び、そしてこの変化が私にどのような影響を与えたかをお伝えします。私の経験が、これからのキャリアの道を模索しているみなさんにとって、新しい可能性を探る一助となれば幸いです。

エンジニアとしてのキャリア

「40歳になってもエンジニアをやっているんだろうか?」

エンジニアとしてのキャリアを歩んできた中で、私は何度もこの問いを自分自身に投げかけてきました。その答えは、いつも曖昧なままでした。

新卒で精密機器メーカーの子会社に入社し、その後メディア系ベンチャー企業でエンジニアリングマネージャーとしてキャリアを積んできました。ある日、根本的な疑問が心の中で芽生え始めました。

「私たちは、本当に必要とされる機能を開発しているのか?」

エンジニアとしての日々は、常に新しい挑戦で満ちていました。でも、いつの間にか、技術的な課題を解決することだけではなく、その背後にあるプロダクトの目的やお客様が直面している課題に、より深い関心を持つようになっていました。

優れたプロダクトを創るとは、単に優れたコードを書くことではなく、解決しようとする問題に根ざした理解から始まるのではないか。そこから私は、頭のどこかでPdMにキャリアチェンジする選択肢を少しずつ考え始めたのです。

キャリア変更を考えた理由

私がエンジニアからPdMへのキャリアチェンジを考えたのは、前職での出来事がきっかけになっています。私は、組織全体の目標であるKPIの改善に向けたさまざまな取り組みに没頭していました。これには、ランディングページの細部にわたる最適化作業も含まれていました。

当時はエンジニアリングマネージャーとして、チームを引っ張りながら、プロダクトの品質向上とお客様への価値提供に全力を注いでいました。けれども、事業部の短期目標と私たちの目指す方向性との間には、時折ギャップを感じていたのです。その対処として、データサイエンティストと協力してデータドリブンなアプローチを試みたものの、短期的な成果を上げることの優先度が高く、その取り組みを困難なものにしていました。

この経験から、私は技術だけではなく、ビジョンと戦略を持つPdMの重要性を痛感しました。PdMは、チームに明確な方向性を示し、より大きな価値を生み出すために不可欠な役割だったのです。

その後、ログラスにエンジニアとして転職してからは、PdMのポジションが不足している現実に直面しました。開発チームでPdMの補助を行うサブPdMの役割が募集されていた時、私は新たな挑戦として飛び込みました。サブPdMとして、チームが直面する課題を設定し、解決策を考えるプロセスに携わりながら、チーム全体が正しい方向に進むことの価値を実感しました。それが、PdMへの転身を決意するきっかけとなったのです。

エンジニアからPdMになって変化した「視点」

エンジニアとしての視点=「How」に重点を置く

引用:自己流から一流プロダクトマネージャーになるために学ぶべきこと #pmconf2020|Tably(https://note.com/tably/n/nc61adec4e662)

プロダクト開発の4階層を意識したときに、私のエンジニアとしてのアプローチは技術的な解決策、すなわち「How」に重点を置くものでした。優れた「How」を提供するため、私は将来を見据え、お客様を深く理解することに努めていました。

私の考え方の出発点は「How」でしたが、優れた技術的解決策を提供するためには、そもそも何を作るか(What)が重要であり、お客様にとって魅力的な体験はどういうものか常に考えていました。そのため、体験設計や分かりやすい仕様を考えることは得意としており、これを行うことが好きでした。

しかし、仕様設計はPdMの役割という固定観念があり、提案された仕様に満足できない時は不足している点を指摘し修正を依頼することもしばしばありました。また、プロダクトのロードマップや「Why」、すなわち解くべき課題の設定は、私にとって少し遠い存在でした。PdMがこれらの責務を果たしてくれることを期待していました。

PdMとしての視点=「解くべき課題」に重点を置く

PdMになってから、プロダクトが非連続な成長を遂げるために、私の焦点は「解くべき課題」に移りました。現状と目指すべき状態のギャップから、解決すべき課題を設定することが最も重要だと考えています。

課題を設定した後、その解決策(What)を具体的にどう実現するか(How)は、デザイナーと開発チームに委ねることが望ましいと考えるようになりました。仕様の詳細をすべてPdMが決定してしまうと、エンジニアリングリソースに対して効率的でなく、本質的なプロダクト開発から逸脱してしまう恐れがあります。

そこで、私はPdMとして課題の設定を行い、具体的な解決策の開発や仕様の詳細はエンジニアリングチームに任せるという方針を取りました。エンジニアの時は、仕様はPdMが考えるものと思っていましたが、PdMになってからは、それらはエンジニアに委ねるべきであるとの認識に変わりました。

そして、PdMとして、1年後のプロダクト戦略やビジネス目標に対してプロダクトがどのように成長すべきか、競合他社の動向など、プロダクトに関わる広範囲な要素を考えるようになりました。

この視点の変化を図示すると以下のようになります。Howを起点に上位の階層を考えていたところから、Coreを中心にWhyを考えるように変化しました。

学びと成長

「課題を解く」から「課題を設定する」への転換

エンジニアとして、私は技術的な「How」に重点を置き、さまざまな技術的課題や組織課題を解決することに多くの時間を費やしてきました。このアプローチでは、解決方法を起点にして問題を捉える傾向がありましたが、PdMに転向すると視点が一変します。PdMの役割では、問題を解決する方法(How)よりも、まず「なぜそれを解決する必要があるのか」(Why)と「何を解決するのか」(What)を明確にすることが求められます。

視点の転換はあるものの、エンジニアとしての私の経験は無駄ではありませんでした。実際、エンジニアリングの視点とPdMの視点の両方を持つことで、PdMとエンジニアが一つのチームとしてより効果的に進むことができるのです。この両視点を持つことで、プロダクト開発のプロセスをより深く理解し、戦略的にプロダクト開発に取り組むことが可能になりました。

この視点の転換がもたらしたのは、プロダクト開発のプロセスに対する深い理解です。技術的な側面だけでなく、ビジネスの側面も考慮に入れることで、プロダクト開発はより戦略的なものとなり、組織全体の成果に大きく貢献できるようになりました。PdMとしての新しい役割は、私にとって挑戦であると同時に、キャリアの成長においても非常に重要なステップとなっています。

PdMにキャリアチェンジして最初に得た「正解のない問題との向き合い方」

エンジニア出身PdMとして、プロダクトと技術両面からプロダクトの将来像を描くプロジェクトのリードを行いました。プロダクトとして1年後に失いたくない要素や、解決すべき課題、獲得すべきマーケットを考慮しながら、戦術を練り上げました。このプロセスでは、周囲の情報を集め、エンジニアを巻き込みながら、プロダクトチームが向かうべき方向を示すことに尽力しました。

このプロジェクトの中で、PdMとしての私の最大の学びは、正解のない問題との向き合い方でした。PdMの役割では、時に高い不確実性を伴う難題に直面します。そのような状況では、完璧を求める「完璧主義」や、失敗に対する「怖さ」を捨て去ることが重要です。確かな解決策が見つかるまでの不安や疑問を乗り越えることが、必要不可欠です。

問題に対する答えが見え始めたら、ためらうことなくチームに共有し、皆を巻き込むことが肝要です。そこから計画が少し変更されることはあっても、完全に180度方針転換することは少ないはずです。

PdMとしての仕事は、自分の意志を込めて、明確な方向性を見出し、意思決定を下すことです。これはプロダクト全体に影響を与え、未来を形作る重要な決定です。不確実性がある中で、自信を持って方向を示し、プロダクト組織を牽引することが、私がPdMとして最も成長した部分です。

不安と戦いながら将来像を示し、チームを巻き込んで進むこの「意志力」と「リーダーシップ」が、私がPdMにキャリアチェンジして最初に得た最も価値あるものとなりました。

新たなキャリアパスへの一歩

エンジニアからPdMへのキャリアチェンジは、私にとってただの職種変更ではなく、自己成長と新たな可能性への扉を開いた重要な一歩でした。これは、技術的課題解決をスコープとしていた視野から、ビジネス、市場、顧客といった幅広い視野へとステップアップする機会となりました。

また、エンジニアリングのスキルを活かしつつ、PdMとしての新しい視点を取り入れることで、より戦略的に、そして創造的にプロダクト開発に取り組むことができるようになりました。

エンジニアからPdMへのキャリアチェンジは、挑戦に満ちた道ですが、それは同時に、自己の限界を超え、未知の領域へと進むための貴重な機会でもあります。この変化を受け入れ、新しいキャリアの道を歩むことで、私たちは自分自身の可能性を広げ、未来を切り開くことができるのです。

私の経験が、エンジニアとしてのキャリアに疑問を持つ方々、また新たなキャリアパスを模索している方々にとって、新しい可能性を探る一助となれば幸いです。

社員の挑戦を後押しするログラス

ログラスはたくさんの仲間と共に成長しながら全力で挑戦ができる環境です。「良い景気を作ろう。」という壮大なミッションを達成するためには社員一人一人が成長する必要があります。

私のキャリアチェンジによる大きな成長は周囲の方のサポートがなければ到底できるものではありませんでした。今回のキャリアチェンジはエンジニアリングマネージャーから提案していただいて実現しており、組織のWillと個人のWillを尊重して後押ししてくれるような会社だと感じています。PdM組織へ異動してからも、VPoPやプロダクト戦略室の方との定期1on1で日々壁打ちをさせていただいて不安を解消しています。

当然コンフォートゾーンを飛び出してのチャレンジですがそれをサポートしていただける周囲の理解や強力なPdMチームの存在、そして事業として成長し続けているログラスの環境は自身のキャリアを形成するために最適な場所であると考えています。

このnoteを読んでエンジニアからPdMへのキャリアチェンジやログラスでの働き方、自己成長の機会について興味を持っていただけた方は、ぜひご連絡ください!

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