バーチャルYouTuberを特許情報で俯瞰する
はじめに
(この記事は、個人の意見により作成されたものです。)
みなさんは、「Vtuber(V(バーチャル)Youtuber:ブイチューバー)」という言葉はご存知でしょうか?
そうです。みんな大好きですよね?(偏見)
私もよくVtuberのゲームの実況をYoutubeで見ています。
簡単にVtuberの実施形態の一つを説明すると、Youtube上で2次元のキャラクターがお喋りしながら、ゲーム配信を行うというものです。(関係者から怒られそうな説明ですが、、)
もう3年近く、見ていますがとにかく、多くのVtuberが存在し、それぞれ個性があるため、奥が深い。見たことがない人がいましたら、ちょっとこっちに来ませんか?(沼)
Vtuberとは?
さて定義として、Vtuberとはどういうものなのか?というと
wikipediaでは
と書かれています。
こんなイメージです(図1)。また、同引用では、以下のようなことが書かれています。
今回はこのVtuberの技術・市場動向が気になったので、簡単に調査・分析してみます。
分析
公開情報
・話題性
まずは、Vtuberが流行り始めた時期を確認します。
キズナアイがデビューした2017年くらいから急激に関心が高まっている様子でした(図2)。
・市場性
市場本などの情報はあまりなく(Global Informationなどで検索をしましたが、)、これから増えていくのかなという印象でした。
市場規模ではありませんが、株式会社ユーザーローカル様が過去に調査を行なっておりました。下図ではおおよそ1ヶ月ごとではありますが、おおよそ20%の成長率で推移しています(参考1)。
フェルミ推定は慣れてないので、適当ですが、ここからファン数のCAGRを20%と考えた時に、単純計算ですが、2022年には25億人???(ファンになる対象が複数いることも考えられます。)などと考えると、ファン数が多い分、大きな市場になる可能性が多いかもしれません。
また、下記リンクも参考になるかもしれません。Vtuberのトップ層は、「バーチャルセレブリティ」と言われています。
また、技術としてVtuberを支える「モーションキャプチャ」の市場性は、
米国市場だけですが、かなり市場は大きそうです。
最後にこの業界のプレイヤー(進出企業)はどのようなものかを調べてみました。
抽出した結果、以下の企業が挙げれました。(以下略称)
・GREE
・コロプラ
・REALITY
・カスタムキャスト
・バルス
・カバー
・ANYCOLOR
・VShojo(海外)
現在も企業数は増えており、成長市場なことが伺えました。
特許情報
次に特許情報を見てみました。「モーションキャプチャ」として
検索すると、ファミリー数が多くなり、分析コストがかかるので、今回は明細書中に「Vtuber」が記載されているものを抽出しました。計26ファミリーが抽出でき、これを母集団としました。
・出願企業
図3より、コロプラやGREE等が関係特許を出しているのは予想通りですが、調べきれなかった海外企業であるBAIDUやテンセントが抽出されたのは意外でした。
また、SONYも同様に予想していませんでした。
SONYは最近2021年に、Vtuberのプロジェクトを立ち上げている様子です。
SONYはモーションキャプチャ技術を保有していることも公開情報から伺えるので、業界的に強い企業になるかもしれません。
・抄録データのキーワードの抽出
抄録中のキーワードの頻出数をもとにランキングを行いました。
wordとエクセルを活用し、文章の分かち書き、カウントを行えるため簡単に下図(図4)のようなものが作成できます。(参考)
気になったキーワードは「analysis」です。
記載されている、バンダイナムコエンターテインメントの特許を見てみると、
「ゲーム実況を行いつつ、プレイ状況を分析することで、Vtuberのアバターを制御する」のようなことが書かれています。
課題背景に関しては、とても細かく、感心しました。
Vtuberの補助を行うツールは新たなVtuberの参入を促進する点で、業界貢献をするでしょう。
今回の母集団の中には、補助ツールとして他にも、
・発話内容のテキスト化システム
・ユーザーがリズムを掴む支援をするシステム
が挙げられます。
・特許分類(IPC)
特許分類の内訳をランキングにしました。
図5より、上記Vtuberの定義とマッチしているように見えます。特に、A63F 13/428は、「Vtuberのアバターの表示、同期に関する演算システム」として、イメージ通りの分類です。
また、母集団を読み込むと、「映像配信装置」、「ライブ放送管理プラットフォーム」の特許があることを確認できました。
特許情報について簡単にまとめると、今回の母集団では、
・(3Dを含む)Vtuberのアバターの表示、同期に関するシステム
(映像加工・演算制御)
・映像配信装置
・ライブ放送管理プラットフォーム
・Vtuberを演じる、つまりユーザーの補助・支援システム
に関する特許が抽出できました。
求人情報
5/14(土)時点の求人情報 (doda)を抽出しました(図6)。(Vtuber記載があり、技術職であるものを抽出)
目に入るのは「クラスター株式会社」、特許情報や公開情報で見えていませんでしたが、人材を多く募集している様子です。
クラスターでは、Vtuberの3Dライブ支援の開発を事業として行なっています。
現在、バズワードであり、「Meta(Facebook)」も本格参入しているメタバースですが、ここでも勿論関わってきます。
Youtubeでの実況配信では、キャラクターとファンは同次元に存在せず、情報の双方向性はありませんが、「cluster」では、ライブで必要な臨場感とVtuberに反応を見てもらう(レスポンス)を返せることができそうです。
現在では、このようなプラットフォームを使い、ライブ・エンタメ産業に参入していることがわかりました。コロナ下だからこそ、今後需要が見込める事業ではないでしょうか?
ちなみに、メタバースではない、ライブ映像を観戦するチケット価格では、リアルのライブと変わらない価格帯となっています(図7)。
今回はここまで。
まとめ
ここまでの分析から、
・Vtuber(アバター)の映像技術の進化
・Vtuberへの技術的な支援が加速
・市場の拡大・ライブ・エンタメ産業など他産業への進出(教育系Vtuberも確認しました。)
が確認できました。
また、Vtuber関連のベンチャーが複数立ち上がっていることからも、市場注目度は高いでしょう。
最新技術の探索のため、特許発明者について調査したり、モーションキャプチャまで調査範囲を広げたかったですが、時間の関係上ここまでとなりました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
以上
お知らせ
筆者が、運営代表を務める「知財若手の会」では、知財に関わる若手を中心とした、イベントを企画しております。ぜひ参加してください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?