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新型コロナ感染リスクより不活発による機能低下のリスクの方が高い

今回は、新型コロナウイルスの渦が世界中を取り巻いている昨今において、高齢者では、感染を恐れるあまり引きこもりになってる人が多く、それでは、感染は100%避けられても生活機能の低下を引き起こし、その後の生活に大きく支障をきたしてしまう、というお話です。 

今回は今までとは少し指向を変えて、最近の社会情勢に関連したことについて、僕の考えをお伝えします。365日毎日記事を更新するはずが、ここ最近、とある事情があってそれが出来なかったです。残念です。それでも、365個記事を書くことが目標であることには変わりないのでここからまた巻き返していきます。(誰もそんなの気にしてないのは知ってます。) 

現在、ネットでもテレビでも常にニュースは新型コロナウイルス関連のことばかりです。8月3日の今日では、新型コロナウイルス感染の第2波が確実に日本を襲っており、新規感染者数は、過去最多を連日更新し続けています。 

そんな中で、世間では常に、感染拡大を防ぐための自粛推進派と、自粛による経済へのダメージの方が感染拡大のリスクよりはるかに大きいとする自粛反対派との論争が繰り広げられています。ここでは、感染拡大のリスクと経済低迷のリスクが天秤にかけられています。しかし、感染拡大を防ぐための自粛生活には、経済低迷の他に、もう一つ、大きなリスクがあります。しかし、その点はあまりニュースでも取り上げられず、論点にはなっていません。それが、高齢者の不活発による生活機能低下のリスクです。 

高齢者について、年齢とともに身体機能と精神機能が低下し、介護が必要になりやすい状態の事を「フレイル」と呼びます。現在、新型コロナウイルスの感染予防のため、日ごろの活動を自粛している多くの高齢者で、このフレイルが進行してしまっているようなのです。 

僕は、現在、神戸市の介護保険課というところで働いています。(公務員じゃないです。出向みたいなものです。)そこでは、地域の高齢者の皆さんが自立した生活を送られるようにサポートする仕事をしています。ですので、地域の高齢者支援施設や実際の高齢者の皆さんの生の声を数多く聞いています。そこから見えてくる現状では、活動を自粛している高齢者の方では、特に精神面の低下が顕著に表れています。

 今まで、頻繁に外出して友人とおしゃべりしたり、家族と食事したりしていた方が、今回の自粛生活によって、急に他者と交流する機会を失います。すると、心が躍ることがほとんどない生活が続き、生活に対する意欲を失っていきます。こういった自粛生活による心身への影響は、高齢者ほど敏感に起こります。

一度、精神機能が低下してしまった高齢者が、再び、意欲を取り戻すには時間がかかります。なので、自粛要請が解除され、もう自由に他者と交流しても良い状況になったとしても、すぐには、以前の活発な生活に戻ることは出来ないのです。事実、緊急事態宣言が解除された時期に、地域でのあらゆる活動が再開されたのに、もう、以前と同じコミュニティに参加しようとしない高齢者の方々を数多く見てきました。

そうすると、外出頻度が低下し、自宅内での家事にもやる気が起きず、生活のリズムが狂いだします。そして、身体活動の機会が減少し、身体機能が低下します。このようにして、精神機能面の低下が二次的に身体機能の低下を引き起こすのです。身体機能の低下は、転倒など要介護状態となる要素に直結します。

これらのことより、僕は、高齢者の皆さんには、「新型コロナウイルスへの感染リスクがあることは確かに怖いことですが、それを恐れるがあまり、家に引きこもり誰とも交流しない生活が続くことの方がよっぽど怖いことだ」と伝えるべきだと思っています。

新型コロナウイルスに感染する人のうちで、重症化する人のほとんどは高齢者です。また、ほとんどの高齢者の情報源となっているテレビでは、新型コロナウイルスの恐ろしさをクローズアップした話題ばかりを取り上げます。そうした点が、高齢者を過度に慎重にさせています。フレイルのリスクがある高齢者こそ、活動の程度を落としてはいけないのです。

この自粛生活を求められる高齢化社会の日本において、新型コロナウイルスに対する僕たちリハビリテーション専門職の役割は、高齢者をフレイルの進行から守ることだと思っています。高齢者のみなさんには、適切な感染対策をしたうえで、様々な形で社会との交流を持ち、活動を継続していって欲しいです。

まとめると、新型コロナウイルスへの感染を怖がるあまり、過度な自粛により生活機能の低下を引き起こし、要介護となるリスクが高くなっている高齢者の方が数多く居て、僕たち療法士は、それらを引き留めることが出来るという話でした。

キングダム

やっぱりめっちゃおもろいです。
(特に男は絶対はまると思います)

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