絵本ゼミの集大成(仮)

立て続けに、絵本講座最終回の振り返りも書いていきます!はい、毎回書くのがとても遅いためです・・すみません!!

実は今までずっとオンラインだったのですが、最終回は・・・
北海道の層雲峡で行われました!
大自然の中での絵本講座は、なんとも言えない気持ちになりました。

さて、最終回では、グループごとの研究発表を行いました。内容に決まりはなく、講座で学んだことと関連していれば何でも良い、という自由度の高い課題でした。そのため、4グループそれぞれの味が最大限に出ていてとても勉強になったとともに、全てのグループの発表が終わった途端おもしろかった〜と感じていました。

ここからは、それぞれのグループで印象深かったことを書いていきます。

チーム1

チーム1の方々は、3つの質問にそれぞれが答える、という形式でした。1つ目と2つ目の問いに対するお答えが特に学びになったので、それを書いていきます。

●1つ目の質問:講座で「目からうろこ」だと感じたことは何か?

この問いに対して、1人の方が、子どもたちは絵本だけでなく読み手の心を読むということについて発表されていました。例えば、やしまたろう作『あまがさ』は絵が怖いが、読み聞かせた子どもたちは怖がらなかったそう。それはなぜだろうと考えてみると、自分(読み手)がその絵本の文章を楽しく読んでいたからではないか?と考察されたそう。
そこからさらに、
「読み手と聞き手がお互いの心を探っていたのではないか」
とお考えになったそうです。

このご発表を聞いて、読み聞かせが、絵本を子どもに読むだけのものではなく、読み手と聞き手の対話のひとつの形態である、ということに気付かされました。読み手である大人は子どもの反応を気にしながら読むし、聞き手である子どもも読み手の態度を観察しながら読み上げられる物語を聞いている。そう考えると、読み聞かせは絵本を通した読み手と聞き手のコミュニケーションなのでしょうか・・・。

●2つ目の質問:今後自分の活動で生かしたいことは?

この問いには、1人の方が、
「絵の中にある無言の言葉を自分がキャッチして、伝えていきたい」
とおっしゃっていました。
このことについて、先生が次のようにコメントされていました。
読み聞かせでは「自分が絵本を相手に伝わるように変換する」

1つ目の質問のときには、読み聞かせは絵本をツールとして使った読み手と聞き手のコミュニケーションだと考えましたが、ここでは、読み手が媒介となり、絵本と聞き手を繋ぐ役割をしているように感じました。どちらが正しいのか、どちらも正しくないのか・・・今後は、ここに注目して絵本を学んでいこうと思います。

チーム2

チーム2の方々は、講座で学んだ絵本の技法に着目し、技法が盛りだくさんの絵本を選び、それを説明するという内容でした。
特に印象深かったのは・・・

『ブラック・ドッグ』作:レーヴィ・ピンフィールド 訳:片岡しのぶ 光村教育図書

この絵本は、2013年にケイト・グリーナウェイ賞(イギリスで出版された絵本のうち、もっとも優れた作品の画家に対して贈られる)を受賞しているのにもかかわらず、絶版なのだそうです・・・

この絵本で用いられている技法の中で特に記憶に残っているのが、表紙のページターナーです。表紙では、上を向いている女の子の後ろで家のドアが少し開いていて、よく見ると中に何かがいる感じがする、と分析されていました。少し怖い絵本なのかな・・・と、この技法が想像力を掻き立てているなと思いました。

チーム3

チーム3の方々は、なんと、デジタル絵本を制作されていました・・・!
実は、私はチーム3が絵本の制作をして発表されることは知っていたのですが、読み聞かせのプロによる読み聞かせもあり、もう、なんとも言えない感動を覚えました。
その絵本は、まさに笑いあり涙ありのストーリーで、出版してください!と大声で叫びたくなるようでした。
この感動はうまく言葉にできないので、ここら辺で・・・

チーム4

私のグループ!チーム4では、「ゼミを通して発見した絵本と私」をテーマに、
1, 各自一冊の絵本を選び、講座で学んだ内容を生かして言語化する。
2, 最初に掲げた目標に対しての結果(自分の成長)について。
3, 今後、自分はどこのフィールドでどんな活動をして生かしていくのか。

を発表しました。

1, 各自一冊の絵本を選び、講座で学んだ内容を生かして言語化する。
私が選んだ絵本は・・・

『「いる」じゃん』作:くどうなおこ 絵:松本大洋 スイッチ・パブリッシング 2021年

私が絵本ゼミを通して学んだことの中で特に印象深かったのは、文字の多さや言葉の難しさで対象年齢を決めるのではなく、その子どもの状況や心理を考慮に入れる重要性です。
その視点から、この『「いる」じゃん』を読んでみました。言葉は詩的で哲学的な部分があり、大人が読んでも難しいと感じるような内容です。しかし、幼い子どもでも楽しめるのではないかと考えました。
その理由は、2つのページにあります。
まず1つ目のページには、扇風機に向かって口を開けてアーッと声を出していそうな、楽しそうな子どもが描かれています。そして数ページ後ろのページには、同じように扇風機と同じ子どもが描かれていますが、この子どもは笑っておらず、シリアスな顔をしています。なぜシリアスな顔をしているのか。
実は、前のページと異なる部分があります。それは、赤ん坊が描かれていることです。自分の妹か弟が生まれたことで笑えなくなっているのではないかと考えました。つまり、赤ん坊が産まれたことでお母さんお父さんが構ってくれない、赤ん坊に2人をとられてしまったと寂しさを感じている様子を描いているのではないでしょうか。
他のページには、うれしいとかなしいが混ざった気持ちを表現する文章もあります。
「赤ん坊が産まれて、妹弟ができて嬉しいけど、親が構ってくれないから悲しい、嬉しいけど悲しい」
そんな気持ちを表しているのではないか、と考えました。そのため、この絵本は詩的で哲学的な絵本ですが、妹弟が産まれて寂しい思いをしている子どもが読んだとき、1人じゃない、仲間が「いる」じゃん!と思えるような絵本だと考えました。

<ここからは、時間が足りずに発表できなかったことです↓>
最後から2番目のページに、
「地球は「ぼく」を抱いてくれる」
「地球ぼくもあんたを抱いていたい」(p.37-38)
と書かれたページがあり、絵本を読み終わって閉じたあとに見える表紙には、男の子が笑顔で犬を抱きしめる絵が描かれています。抱きしめている対象が赤ん坊ではなく犬であるところから、
「赤ん坊を素直に喜べなくてもいい、でもあなたは愛されているから、あなたも他者を愛そうね、抱きしめようね」
と語りかけているようにも思いました。

2, 最初に掲げた目標に対しての結果(自分の成長)について。
最初の絵本ゼミで決めた目標は2つありました。
①いい絵本とは何かを自分で言語化する。
→大それた目標を立てたな、と今思います・・これは勉強不足で達成できていないです。
②みなさんから新しい知識を学ぶ。
→学んだことは、実際に目の前に子どもがいるように考えることです。参考文献と睨み合いをしているだけでは得られない生きた知識(?)を吸収できたように思います。

3, 自分はどこのフィールドでどんな活動をしていくか?
→実は将来どんなフィールドで何をしていくのか、まだ決まっていません。ですが、この絵本を通じて考えたことは、わたしは、「あなたには仲間がいるよ」ということを子どもに伝えていきたいのだと考えました。どんなフィールドであれ、このことを大事にしていきたいと思っています。

●チーム4のメンバーが選んでいた絵本は・・・

・『ちいさいおうち』文・絵:バージニア・リー・バートン 訳いしいももこ 岩波書店 1965年
・『どうぶつのおかあさん』文:小森厚 絵:薮内正幸 福音館書店 1977年
・『旅するベッド』作:ジョン・バーニンガム 訳:長田弘 ほるぷ出版 2003年
・『おすわりくまちゃん』文:シャーリー・パレント 絵:デイヴィッド・ウォーカー 訳:福本友美子 岩崎書店 2010年
・『おおきなかぶ』著:アレクセイ・ニコラエヴィッチ・トルストイ再話
訳:内田莉莎子 画:佐藤忠良 福音館書店 1962年

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ここまで、なが〜〜〜い振り返りを読んでくださった方、本当にありがとうございます。
これにて今回の絵本講座は終わりです。
ですが、実は今日、この絵本講座の第2期がはじまります!!
新しいメンバーと新しい学び、とてもワクワクしています✨
第2期では、もっと早めに振り返りを書きます、とここに宣言しておきます・・・。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?