
アメリカ就職をめざして、学費・生活費無料でいく大学院留学
大学で一生懸命勉強してきたことが評価されない、日本の新卒一括採用の仕組みに疑問はありますか?
また希望の就職先で働き始めてみたものの、どうも職場の雰囲気が合わない。
まじめなあなたは自分自身を社会に適応させようとしているかもしれませんが、周りと上手くいかないのはあなたの今いる環境が単純にあなたに合っていないだけかもしれません。
私は上記のような疑問を、就職活動を控えた大学4年生の頃から感じてしました。
このモヤモヤした感じは就職してからも続きました。
私は2006年に留学してからアメリカで暮らし始めて今年で15年目になります。
一言で感想を言えばアメリカはサラリーマンをやるには天国のようなところです。
私は2004年に大学を卒業し、日本でサラリーマンとしてエンジニアをやっていました。
残念ながら当時のエンジニア一般に対する待遇は、お世辞に言ってもよいものではありませんでした。
エンジニアに対する社会の印象も根暗なオタクといった感じでポジティブなものではなかったと思います。
しかし自分のやっていることは、実際にはもっといいもののはずだという思いがありました。
そのころアメリカのエンジニアの働く環境はとても自由で、年収1000万円を稼ぐことも難しくない、といった情報をインターネットで目にすることがありました。
これを見て、不確かな情報ながらアメリカに行ってみようと思いました。
つまりアメリカの会社に就職を目指してみることにしたのです。
アメリカというものにユートピア的な幻想を見ている可能性もありました。
アメリカと言えば銃社会のイメージなので、治安や差別などの心配もありました。
でも行ってみてダメでも、それはそれでいいと思いました。
もっと言えば英語の勉強のきっかけになるから、それだけでもやる価値はあるだろうと考えました。
1. アメリカ就職のためのステップとしての大学院留学
アメリカ就職を目指すならば、なぜ大学院に留学なのか?
そんな回り道をせずに、直接アメリカの現地企業に応募できないのかと思うかもしれません。
現実問題としてそれは可能ですし、それをした友人もいます。
それでも留学をお勧めするのは、アメリカ就職の一番の壁は『仕事の能力』でも『英語力』でもなく『就労ビザの取得』だからです。
日本のパスポートはとても強力なので大抵の国に旅行することはできますが、そこで働くことはできません。
合法的に労働するために就労ビザが必要です。
ここで問題となるのは、アメリカの就労ビザの年間の発給数には限度があることです。
特に就労ビザの年間の発給数よりも応募者が多い場合は、くじ引きで選ばれた人しかビザの審査をしてもらえません。
しかしアメリカの大学院を卒業している(すなわち修士号もしくは博士号を取得する)と、一般枠とは別枠でくじ引きが行われれるのでこの点でとても有利になります。
またアメリカの大学や大学院をはじめ、短大など、アメリカの学校に1年以上在籍していると、OPT(Optional Practical Training)と呼ばれる権利が取得でき、1年間就労ビザがなくても働くことができるので、万が一就労ビザがとれなくてもアメリカの会社で働きはじめることができます。
特にSTEM (science, technology, engineering and mathematics = 科学、技術、工学、数学)の学位を取得した場合は、OPTも3年まで延長できるので、理系の方には特におすすめです。
そしてなによりのメリットは、アメリカの大学院は学費が無料かつ生活費を賄うのに十分な給料が出るので、お金がなくても勉強ができる仕組みになっていることです。
これまで私はアメリカの大企業からスタートアップまで様々な企業で働いてきましたが、同僚の7割以上は外国人、つまりアメリカ国外出身者でした。
そして彼・彼女たちの99%は、大学院留学生としてアメリカ生活をスタートさせています。
つまりアメリカ大学院への進学は、外国人が低リスクでアメリカ生活をスタートできるとても一般的なアプローチなのです。
残念ながらこのアプローチは日本ではあまり知られておらず、留学する日本人もまだまだ少ないです。
そこで日本で就職するのではなくアメリカで就職するという進路もあるということをお伝えしたく、このnoteを執筆することにしました。
アメリカの大学院留学と言えば、日本ではMBAのようなビジネススクールが頭に浮かぶかもしれません。
しかしMBAやロースクール(法科大学院)、メディカルスクール(医学部)などはプロフェッショナルスクールと呼ばれ、いわゆる専門職業人を育てる学校です。
これらはどちらかというと大学院の中では特殊な学校であり、これらの学校で学ぶには高い学費を負担する必要があります。
私がこのnoteでお勧めする大学院留学は、そのようなプロフェッショナルスクールではなく、情報科学や物理学のような学術分野での留学です。
そしてこれら学術分野で学ぶためには学費免除と生活費を賄うための給料支給の仕組みがあり、学費や生活費を負担する必要がないのが大きなメリットとなります。
1.1 アメリカは学校の勉強と就職がつながっている
日本という国は大学受験がゴールであって、そこで何を学んだかが就職後には問われない社会です。
これから就職活動を行う方、もしくは既に就職している方はご存じだと思いますが、日本の多くの大学生は卒業後の進路として次の二つから選ぶことになります。
総合職と一般職です。
総合職や一般職というその肩書からは、何をする職種なのか想像できません。
そして多くの日本の会社では学生が何をこれまで勉強してきて何が出来るのかということをあまり気にせずに人を採用します。
日本社会はとても不思議な仕組みで動いています。
これは世界的には珍しいので、そこに違和感を感じてもおかしくありません。
アメリカ社会は日本社会とは逆に、企業に応募する時点で働く職種は決まっています。
したがって職種の応募条件と応募者のバックグラウンドはマッチしている必要があります。
つまり学校で勉強してきたことが重視されます。
1.2 アメリカ大学院留学は一部の選ばれた人たちだけのものではない
誰にもチャンスがあります。
とはいっても大学院に合格することは簡単ではないと思うかもしれません。
確かにハーバード大学やMIT、スタンフォード大学などの有名な大学院に入学するのは競争率が高いです。
しかし先ほど述べたように、アメリカの就職で大事なのは『職種』と『専攻と学位(修士号か博士号を持っているか)』のマッチングであって、どの学校を卒業したかではないということです。
日本の就職活動、特に新卒の就職活動では学歴フィルターという言葉があるように、東大や早慶のような有名大学を出ているほうが就職では有利ですが、アメリカにはそういうものはありません。
例えばGoogleに勤めている人の出身校を見ると、とても多様で有名大学出身者のほうが珍しいくらいです。
ゴールはアメリカでの就職であり大学院留学は単なる手段です。
とりあえず入れるところに入ってしまうという姿勢でまったく問題ありません。
ハーバード大学などの有名な学校に、厳しい競争を勝ち抜いて合格する必要はないのです。
そしてもう一つ強調したいのは、アメリカで働いている日本人はまだまだ少ないので、このことが日本人にとって有利に働くということです。
なぜならアメリカは多様性を重視する社会だからです。
もう少し具体的に言うと、人を性別や人種や出身国で分けてそのバランスを取ろうとします。
したがって少ない日本人留学生の中でも、特に少ない理系の人にはアメリカでの就職はお勧めです。
特に女性で日本人の理系の方はかなり珍しいので、とても優遇されるはずです。
1.3. 自己紹介
私は2006年にカリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)の機械工学科の大学院に進学し、2011年に卒業後、これまでアメリカの大企業やスタートアップで働いてきました。
学校の勉強しかできないあなたへというブログを、3年前から書かせていただいています。
こちらのブログは、私が10代や20代の頃に知りたかったことを、現代の10代や20代の方々にお伝えできたらと思い始めたものです。
おかげさまでたくさんの方に読んでいただいているのですが、そのなかでも留学関連の記事が特によく読まれており、質問も多く受けるようになりました。
まずは参考までに、こちらの留学関連の記事を読んでみてみてください。
大学院でのアメリカ留学はコスパ最高
理系アメリカ大学院に合格するための戦略
ブログというメディアの特性上、情報が散らばってしまっているので、今回細かい部分を加筆しながらnoteにまとめさせていただくことにしました。
またタイトルは『アメリカ就職をめざして、学費・生活費無料でいく大学院留学』となっていますが、将来研究者になるためにアメリカ大学院留学を目指している方にも有益な情報となっていると思います。
留学の準備から卒業後の進路まで、現時点で私が思いつく限りの情報を入れさせていただきました。
もし知りたい情報が入っていなかった、もしくは書いてはあるがより詳しい情報がほしい場合はご連絡ください。
随時加筆していきたいと思います。
2. アメリカで就労許可を得る方法のすべて
アメリカの会社に就職したいと思ったものの、私はその時点ではアメリカに行ったことがありませんでした。
当然周囲にそのような経験をしている人もおらず、インターネットを使う人もまだそれほど多くなかった時代なので、情報が限られていました。
2.1 アメリカで働くには就労許可がいる
アメリカで働くためには、単に会社に採用してもらうだけではなく、まず就労許可が必要だということを知るところから始まりました。
日本人はたいていの国に旅行で訪れることができるのですが、それらの国で働くことはできません。
アメリカにも、パスポートを持ち、事前にオンラインで簡単に申請できるESTAというシステムに登録しておくだけで、一度に3か月まで滞在することができます。
しかしこの滞在の間にアメリカ国内の会社で働くことはできないのです。
アメリカの会社で働くには必ず就労許可が必要です。
このnoteでは就労許可を得るための手段として、アメリカ大学院留学をおすすめしていますが、まずは他にもどんな方法があるか見てみることにしましょう。
以下にアメリカで就労許可を得る手段は大きくわけて以下の2つです。
1.アメリカ永住権(グリーンカード)を手に入れる
2.就労可能なビザを手に入れる。
2.2 アメリカ永住権(グリーンカード)を手に入れる方法
アメリカ永住権とは、文字通りアメリカに永遠に住むことができる権利のことです。
アメリカ永住権はグリーンカードとも呼ばれます。
アメリカ永住権(グリーンカード)を持っていれば就労ビザは不要です。
A. 一年に一回行われるアメリカ永住権(グリーンカード)が当たるくじ引きに当選する
これは完全に運任せですが、応募は年に1回、10月ごろに行われており、当選確率は1%程のようです。
私は過去に5回以上応募していながらまったく当たりませんが、これを引き当てた人を何人か知っているのでチャンスはあります。
アメリカで働くことや暮らすことに少しでも興味のある方はこちらを頻繁にチェックし、毎年応募することをおすすめします。
またあなたが結婚をしている場合は夫婦それぞれが別々に申し込むことができます。
その場合はどちらかが抽選を引き当てれば二人とも最終的にアメリカ永住権が得られるので、当選確率が2倍になります。
同様に21才未満の未婚の子供もアメリカ永住権を得られるので、お子様をアメリカの大学や大学院に将来留学させたい方も、ぜひ応募してみることをお勧めします。
応募自体は無料かつ10分ほどでできるので、応募をためらう理由はありません。
B. アメリカ人やアメリカ永住権(グリーンカード)を持っている人と結婚する
アメリカ人や、日本人を含むその他の外国人でアメリカ永住権(グリーンカード)を持っている人と結婚することでも、アメリカ永住権を得ることができます。
アメリカ人というと人種を思い浮かべてしまうかもしれませんが、具体的にはアメリカ国籍を持っている人です。
日本は血統主義を採用しているため、日本国内で生まれても両親どちらかが日本国籍を保有していないと、その子は日本国籍を与えられません。
一方アメリカは出生地主義を採用しているため、両親の国籍を問わず、アメリカ国内で生まれると自動的にアメリカ国籍が与えられます。
つまり一見純日本育ちの日本人でも、アメリカで生まれただけという理由でアメリカ国籍を持っている人がいたりします。
余談になりますが、中国では近場のサイパンやグアムでの出産を目的とした出産旅行ツアーがあるようです。
なぜそのようなものが存在するかというと、アメリカ領土内で出産することで、親が中国人でも子供はアメリカ国籍を取得できるからです。
そしてその子供が成人になれば、親を合法的にアメリカに移住させることができます。
日本人でも同様のことをやっている人はいるかもしれません。
またアメリカ生まれアメリカ育ちの日系人の中には、自分の両親の祖国である日本に興味を持っている人もたくさんいます。
そういう方と知り合う機会も、インターネットで出会いが簡単になった現代では難しくないかもしれません。
戦前にアメリカに渡航した方々の子孫である日系三世、四世の方たちは、第二次世界大戦中の強制収容の経験からアメリカ社会との同化を積極的に図りました。
その結果、その顔立ちやちょっとしたしぐさに日本的な部分がみえることあっても、彼・彼女の中身は基本的にはアメリカ人です。
しかし自分自身はアメリカ生まれアメリカ育ちだが、両親が日本生まれ日本育ちの日系二世の方たちなどは、外では英語でも家の中では日本語で育った方も多いです。
そのような方々は文化的にも近いので、仲良くなるチャンスも多くあると思います。
2.3 就労可能なビザを手に入れる方法
ここからは就労可能なビザを手に入れる方法を見てみようと思います。
A:L1ビザ
アメリカの会社の日本支社(いわゆる外資系)に入社した後、アメリカの本社に赴任するという方法です。
アメリカに支社を持つ日本の会社に就職し、そのアメリカ支社に赴任するという方法もあります。(いわゆる駐在員)
こちらのビザはL1ビザと呼ばれます。
いずれの場合にしても、これがアメリカで働いている日本人の中では一番よくあるパターンだと思います。
遠回りですが手堅い方法の一つだと思います。
短所は時間がかかることと、ビザと会社が紐づいているために転職などの身動きが取れないことです。
転職の自由がないので、アメリカの支社が業績不振等でなくなってしまえば帰国を余儀なくされます。
この方法でアメリカで働くには、まずアメリカに支社のある会社に入る必要があります。
もし入社できても、L1ビザを申請するためには過去3年間のうちに少なくとも1年は日本支社で働いている必要があるので、最低でも日本国内で1年の滅私奉公が必要です。
そしてその後にアメリカの支社に赴任させてもらう必要があります。
アメリカ赴任が前提で採用してもらえる会社があればいいのですが、そうでなければアメリカに赴任できるかどうかは運任せになるでしょう。
そもそも採用は人員が必要だから行われるのが一般的なので、わざわざ日本で採用した人間をアメリカに赴任させることはよくあることではないかもしれません。
そしてアメリカ国外からアメリカ国内の関連会社に赴任させるためのビザなので、他の会社に転職する自由がないのが大きなデメリットです。
他の会社に転職するためには、アメリカ赴任中にアメリカ永住権(グリーンカード)の申請をする必要があります。
そのためには会社のサポートが必要なのですが、そのような会社を探すのはなかなか難しそうです。
なぜなら会社からしてみれば、その社員のアメリカ永住権のサポートをするメリットがないからです。
マネージャーレベルであれば、L1ビザから直接アメリカ永住権に応募する方法もあるのですが、そこまで昇進するまでの時間を考えると、なかなか気の長い話になりそうです。
B. OPTからH1-Bビザ
もう一つの方法はアメリカの大学や大学院に留学して卒業することです。
こちらの方法がこのnoteのメインの話になります。
アメリカの大学や大学院をはじめ、短大など、アメリカの学校に1年以上在籍していると、OPT(Optional Practical Training)と呼ばれる権利が取得でき、1年間就労ビザがなくても働くことができます。(語学学校では一般にOPTはもらえないようです。)
特にSTEM (science, technology, engineering and mathematics = 科学、技術、工学、数学)の学位を取得すればOPTを3年まで延長することができるので、就労ビザなしで3年間働けます。
また3年すぎても働けるように、大抵の会社はOPTが切れる前に就労ビザ(H1-Bビザといいます)を申請してくれます。
特に以降の章で述べますが、アメリカの大学院は学費が無料かつ生活するための給料をもらうことができるので、大学院進学はリスクなくアメリカ生活を始めることができるいい手段です。
問題は合格しないと学校で学ぶことはできないので、そのための準備が必要となることです。
余談になりますが、一般的な学術的な大学院とは別に社会人の学びなおしのための学校もあり、こちらを卒業してもOPTをもらうことができます。
例えばUC Berkeley Extensionという学校があり、こちらは私の卒業したUC Berkeleyの併設機関ですが、こちらは希望者が誰でも入学することができ、1年間在籍することでOPTがもらえます。
既に日本でそれなりの実務経験を積んでいるなど現地就職に自信のある方は、合格・不合格関係なく学べ、かつアメリカで就職するチャンスがあるという選択肢があることは知っておいて損はないと思います。
学費が100%自己負担なのが一般の大学院留学と異なるところで、学費だけで年間22,000ドルが必要です。
それに加えて生活費として、少なくとも月に1500ドル、できれば月に2000ドルほどを見込んでおく必要があります。
したがって合計で少なくとも40,000ドルから45,000ドルを自腹で切る覚悟が必要なので、金銭的なハードルは高いです。
番外編1. アメリカ企業の求人募集に直接日本から応募してH1-Bビザ
実力があれば一番わかりやすい方法かもしれません。
国籍による差別は(宇宙や原子力などの特殊な分野を除き)ないので、働きたい企業があればいきなり応募するのはありだと思います。
採用されても就労ビザであるH1-Bビザが出ない恐れはありますが、日本で働きながらビザの許可が出るのをゆっくり待つことができるならばいい選択肢だと思います。
似た方法として、例えばあなたがプログラマであれば、オープンソースのプロジェクトなどに参加することで、アメリカで働いているエンジニアの知り合いをつくり、その人に紹介してもらうことで就職するという方法もあります。
知り合いの紹介はアメリカで就職を成功させるもっとも重要なポイントです。
この方法で就職した友人もいますが、最近は就労ビザの基準が厳しくなったこともあり、不確定要素の大きい外国人の採用は難しくなっている傾向があります。
しかし自信のある方は試してある価値があるかもしれません。
番外編2. 学生のうちにアメリカ企業でインターンをする
こちらは正社員としての採用ではありませんが、一つの経験としてやってみる価値があると思います。
アメリカの大学だけでなく、あなたが日本の大学や大学院に通っていてもアメリカの会社でインターンシップをすることができます。
インターンは正社員ではないため採用されやすく、またそこで能力があることを示せれば卒業後に正社員として採用してもらえるかもしれません。
インターン用のビザ(J1ビザと言います)は通常の就労ビザと異なり、採用されれば簡単に手に入るのでビザの心配は基本的に不要です。
余談ですが、インターンといってもGoogleやFacebookなどのメジャーな企業は競争が激しいので、自分の興味と似たようなことをやってるスタートアップがおすすめです。
2.4 アメリカで就労許可を得る方法のまとめ
ここまでアメリカに就職するための方法を、就労許可という面からみてきました。
この中で私が一番おすすめなのが、このnoteの主題である大学院に留学して卒業するという方法です。
次の章からはアメリカの大学院留学についてみていこうと思います。
3. お金持ちしか行けない4年制大学留学とお金がなくても行ける学費免除・給料支給の大学院留学
3.1 アメリカの大学の学費
アメリカの大学の学費について調べたことがある方ならば、その金額の高さに驚いているかもしれません。
例えば日本の国立大学の学費は年間535,800万円です。
奨学金を借りずとも、アルバイトでもなんとか賄える金額と言えるかもしれません。
それに対して、ハーバード大学は年間47,730ドル (5,250,300円)、スタンフォード大学は年間52,857ドル (5,814,270円)、私が卒業した州立大学のカリフォルニア大学バークレー校でも年間$44,008ドル (4,840,880円)と、とても日本の一般的な家庭には手の届かない金額になっています。(1ドル110円換算)
これらの学費はもちろんアメリカの一般的な家庭にも手の届く額ではありません。
それでは一般家庭の子供たちはどうしているのかというと、州立大学では州民の子供の学費は特別に安く設定されているのでそれを利用します。
州によりまちまちですが、安い州だと日本の国立大学と同じくらいです。
また日本と異なり、コミュニティカレッジと呼ばれる2年生の短大を卒業して、4年制大学の3年生に編入するという進路も一般的で、その学費は年間1,000ドル(10万円)程度に設定されているので、より安価に大学レベルの教育を受けることができるようになっています。
残念ながら日本を含め海外から留学してくる学生は、これらの恩恵を受けることはできず、奨学金を受けられるチャンスも極めて限られています。
つまり4年生大学レベルでのアメリカ留学は日本の多くの家庭には現実的な選択肢ではないのです。
そしてそしてこれまでのトレンドから考えると、アメリカの大学の学費や生活費がこれからも年々上がっていくのはほぼ間違いないです。
よっぽど世界情勢が変わらない限り、10年後にはよりいっそう日本のほとんどの家庭には手の届かない額になると思われます。
3.2 なぜ4年制大学ではなく大学院がおすすめなのか
この学費の高さは大学院でも同様です。
それではなぜ私がアメリカ大学院の進学を勧めるのかというと、基本的に学費の免除と生活費を賄うための給料を得る仕組みがあるからです。
大学院には修士課程と博士課程の二つがあります。
日本の大学院の場合は、4年制大学を卒業したらまずは修士課程、そして修士課程を終えると博士課程に入ることができます。
アメリカの大学院の場合は、4年制大学を卒業して修士課程だけではなく、すぐに博士課程に入学することができるプログラムも多いです。
私も修士課程を経ずに博士課程に直接進学しました。
卒業後に研究者になりたいならば博士課程に進学する必要があります。
卒業後に企業に就職することを目指している場合は、修士課程と博士課程のどちらでも構いません。
修士課程だけで卒業するメリットは、時間をかけずに卒業できることです。
大体1年から2年で卒業できます。
博士課程を卒業するメリットは、博士を卒業していないとつけない職種につくチャンスがあることです。(企業内の研究職は博士過程を卒業が必要とされることが多い。)
また大学院生として学費の免除と給料支給されるポジションには限りがあり、その場合に博士課程の学生のほうが優先されます。
博士課程ならば基本的に『合格=学費免除+給料支給』だと考えて問題ありません。
コンピュータサイエンスなどの予算が潤沢な分野であれば、修士課程でも『学費免除+給料支給』で卒業できる可能性が大いにあります。
4. アメリカ大学院における学費免除・給料支給の仕組み
『学費免除+給料支給』とありますが、その形は様々です。
一番いいのはなんらかの奨学金をもらうことです。
しかしこれは全員がもらえるわけではありません。
もらえたらラッキーだと思った方がいいと思います。
それではどのように『学費免除+給料支給』がアメリカの大学院では実現されているかというと、学内に仕事が用意されており、それをこなすことで対価が支払われるという形になっています。
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