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【横浜ビー・コルセアーズ】 2021-22シーズンクリエティブワークスまとめ

こんにちは。Bリーグ 横浜ビー・コルセアーズの外部デザイナーの増田です。2022-23シーズンの開幕まで1ヶ月を切りました。この時期は開幕ポスターなどの広告やSNS用のゲームデー告知、試合速報などで使用するグラフィックのテンプレートを制作している真っ最中です。シーズンを通して使用するベースのデザインを決めることが多く、量・質ともに1年で最も忙しい時期になります。

すでにBehance(アドビ社のアンラインポートフォリオ)には掲載させているのですが、日本語の解説を加えたNote版はまだ手付かずのままでしたので、余裕がなくなる前にアップしたいと思います。
Noteは仕様により動画を直接貼り付けることができないので、選手の入場動画や制作物のメイキング動画にも興味がある方はBehance版をご覧いただければ幸いです。

今回の記事では2021-22シーズンの制作物をまとめました。

公式ホームページ
https://b-corsairs.com


■シーズンスローガンロゴ

2019-20シーズンは「BE COURAGEOUS」。
2020-21シーズンは「BE HUMBLE, BE HUNGRY」。
2シーズン連続で「BE〜」で始まるスローガンでしたが、2021-22シーズンはその路線を踏襲しつつも、頭に「DARE」をつけました。「DARE」は「あえて〜する」、「BOLD」は「大胆に」という意味です。比較的大人しめの性格の選手が多かったのですが、チームとしては「あえて大胆な」バスケをして存在感を示していこうという思いが込められています。

■ポスター

ホームアリーナの最寄りである北山田駅に掲載された前半戦の日程ポスター(B0ヨコ)は前シーズンから契約継続の主力選手を中心に、後半戦の日程ポスターは若手選手を中心としたレイアウトにしました。各月別の日程ポスター(B3タテ)はユニフォーム柄をデザイン要素として取り入れました。このシーズンの制作物は白色を意識的に多用しており、白ラインや白ベタなどシンプルな印象のデザインが多くなりました。

■ファンクラブカード

プライマリーロゴの顔のドアップで構成しました。スローガンである「BE BOLD」に通じる「大胆さ」を表現したデザイン。ブラックとゴールド以外は薔薇の色でカテゴリー分けしています。

■ユニフォーム

いままで3rdユニのデザイン実績しかなかったのですが、この年、レギュラーシーズンのユニフォームのデザインを初めて担当することになりました。ユニフォームは選手の「戦闘服」。重責を担うことに身が引き締まる思いでした。
前のシーズンまではチームカラーの「ネイビー・レッド・コールド」に加え、文字などに必須の「ホワイト」の計4色を使用したデザインだったのですが、経験上4色は色数としては多く、全体的に重たく見える傾向にありました。今回、ゴールドは「特別色」という位置付けにし、「ネイビー×ホワイト+レッドの差し色」で再構成し、前年よりスッキリとした印象のデザインにしました。
柄のデザインはセーラー服をイメージしました。また使用される選手の写真の大半はバストアップなので、首周りに差し色を用いることにより、シンプルながらも印象的になるよう工夫しました。

■【SNS】選手契約画像

このシーズンからショート動画を本格的に運用するようになりました。シーズン始めの大きな関心事である選手契約のニュースをスタイリッシュで印象的にしたいという思いがあり、静止画の一部だけが動く、いわゆる「シネマグラフ」という手法で制作しました。この画像はファンや関係者以外の方からも多くの反響をいただき、少ない労力でも工夫次第でインパクトを最大限にできることを実感しました。
ちなみに選手画像のカモメは横浜市のシンボルであり、契約年数により飛んでる数を変えています。

下の画像はシーズン中に特別指定選手として加わることになった、#5河村勇輝選手と#23キング開選手の入団発表前に流したティザー画像です。2羽のカモメが横浜の街を目指して飛んでいく様子を描いたものですが、東海大Seagulls(=カモメ)と専修大Soarers(=高く飛ぶもの)、二人の出身大学も表していることに気づいた人はあまり多くないのではないでしょうか。


■【SNS】試合関連情報画像

お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、このシーズンはホームゲームをネイビー基調、アウェイゲームをホワイト基調にしました。デザインエレメントはユニフォーム柄を用いました。

ホームゲームの勝利時にのみ制作する「WIN画像」も、今シーズンより簡易的なモーションを付けたショート動画にしました。ゲーム後に表彰されるMVPとMIP選手に加え、素晴らしい活躍をした選手やハイライト写真をピックアップしてスライドにしました。

■【SNS】記録達成記念画像

記録達成画像のコンセプトは「時」です。どんな記録も最初の一歩があり、偉大な記録は一つ一つの積み重ねで、これからさらに続いていくということを、回転する文字によって表現しました。


■【SNS】選手誕生日画像

選手のポーズにより左右どちらでも対応できるレイアウトにしました。

■【SNS】 THANK YOU画像

プロなので、選手の退団は仕方がないこと。毎回とても辛いですが、選手に最大限の感謝と今後の健闘を伝えるために作ります。右下のロゴ横の図形は国際信号旗のUW旗で「ご安航(航海の安全)をお祈りしています」という意味です。

■河村勇輝選手契約画像

3月に特別指定選手の#5河村勇輝選手が所属する東海大学を中退し、プロ転向を表明しました。また、2022-23シーズンの契約選手第1号となりました。日本代表、そして2024年のパリオリンピック出場という目標を掲げ、並々ならぬ決意を持ってプロの道を選んだ河村選手。その強い思いに応えるにはどの様なクリエイティブがふさわしいのか?深く考えることになりました。それまで世間のイメージは「東海大の河村」が強かったのですが、これを機に「横浜の河村」というイメージにシフトさせたいと考えました。背景にみなとみらいのスカイラインと横浜らしい四角いブルーのデザインパターンを全面にレイアウトし、視差効果(パララックス)を利用したスタイリッシュな雰囲気のショート動画にしました。さらにアイキャッチとして、後方からカモメが滑空するアニメーションを入れて、よりインパクトの強い、いわゆる「刺さる」ビジュアルに仕上げました。twitterでは結果的に22万回以上の再生回数、4,000件以上のいいねを獲得することができました。


■会場装飾

コートのセンターサークルにはプライマリーロゴとコンパスをイメージした図柄を入れました。


■3rdユニフォーム着用試合

3rdユニフォームは前シーズンに引き続き、ブラックを基調にゴールドを差し色にしたデザインになりました。ユニフォームだけでなく、SNSの試合情報や選手入場動画などのアリーナビジョンに流れる映像もブラック×ゴールドで統一しました。

■MD

ホーム開幕節とホーム最終節に来場者プレゼントとしてTシャツを制作しました。開幕戦と最終戦が対になっており、文字だけでなくプライマリーロゴも最終戦は「ド黒」に引っ掛けてドクロになっています。
下の画像は開幕前のオフシーズンに発表したタンクトップ。プレシーズンゲームのユニフォームとして使用されました。


■トークンロゴ

新たなファン体験ができる「FiNANCiE」というブロックチェーンを活用した次世代クラウドファンディングサービスでクラブトークンを発行するため、ロゴをデザインしました。

■OOH広告

ウエインズインポートカーズ株式会社様とのコラボレーションにより、みなとみらい駅とJR桜木町駅のホームに「Minato-Mirai BMW」の屋外広告を掲示しました。

■河村選手日本代表選出画像

2022年7月3日に河村勇輝選手がFIBAワールドカップ2023アジア地区予選のチャイニーズ・タイペイ戦で日本A代表デビューを果たしました。横浜ビー・コルセアーズにとってクラブ史上初の日本代表選手の輩出となり、大きな話題となりました。下の画像は前日のJBAの公式アナウンスに合わせて発表したものです。日の丸と荒波と帆船を用いたアイディアは、クラブから代表選手が出た時のために使いたいと以前から考えていて、モーションを付けた画像の試作もして準備していました。結果的に半年近く温めておりましたが、河村選手の選出のタイミングで満を持しての発表となりました。



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2021-22シーズンは最多勝利数を更新するなどチームの成長を感じることが多くありましたが、目標としていたチャンピオンシップ出場は果たせず、成績は中位にとどまりました。しかし、河村選手の大学中退からプロ転向したことはビーコルだけでなく、日本バスケ界の大きなニュースとなりました。私自身も一報を聞いた時はとても驚きましたし、何度もガッツポーズするくらい嬉しかったです。また同時に、これから下手なビジュアルは作れないという強い責任感も感じました。

クリエイティブの観点から振り返ってみると、2021-22シーズンは今までで一番制作物が多いシーズンとなりました。また、制作物自体も静止画から動画に急速にシフトしており、時代の変化を強く感じた年でもありました。他にもFiNANCiEの「トークン」を利用したクラウドファンディングサービスや「NFT」などのデジタル資産が登場し、ファン体験も新しい領域へと広がりました。今後はVRやAR、メタバースも本格化していく未来が容易に想像できます。新しいテクノロジーの出現により、当然ながらクリエイティブにも新しい表現、新しいコンテンツが必要になってきます。付いていくだけでも本当に大変なのですが、この変化の激しい時代に制作現場の前線に携われることは、ある意味とてもラッキーなことなのかも知れません。次世代にバトンを渡すまで走り続けたいと思います。

ご覧いただきありがとうございました!

新シーズンは戦力も整い、チャンピオンシップ進出への期待が今までになく高まっています。私も非常に楽しみにしています。
引き続き、チームと選手への応援よろしくお願いいたします!


※全ての制作物の著作権は株式会社横浜ビー・コルセアーズに帰属します。
※画像の無断転載禁止です。



クリエイティブディレクション:秋定太一
アートディレクション・デザイン:増田有
写真:大澤智子、 B.LEAGUE
©B-CORSAIRS

https://b-corsairs.com




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