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昔の暦と菊のお祭り

今日は旧暦の9月1日です。

日本は明治時代に現在のグレゴリオ暦に改暦する前までは、月の満ち欠けと太陽の運行両方に基づいた「太陰太陽暦」を用いていました。

それにより日々の暮らしは月や太陽や自然の巡りのリズムを取り入れたものとなっていたのです。

太陰太陽暦では新月の日が毎月の一日。そこから数えて何日目かという暦だったので、月の満ち欠けを見ればその日のおおよその日付がわかり、逆に、日付を知っていればその日の空に浮かぶ月の形が想像できたのです。

そして月の満ち欠けは太陽と地球と月の位置関係によってもたらされるので、太陰太陽暦は、太陽と地球と月の位置関係を含んでいたということです。

昔の暦はこのように壮大な世界観に基づいたもので、自然や宇宙のサイクルと私たちの日々の暮らしを結び付けてくれるものでした。そんな暦を使っていた明治時代以前の時代がうらやましくもあります。

社会生活を送っていると、現代の暦(グレゴリオ暦)を使わないでいると色々と不具合が出てきますが、暮らしの中のシーンに応じて暦を使い分けると結構楽しいです。

旧暦の毎月1日は新月。リセットして新しく始まるその日の、なにかほんの小さなきっかけになるといいなと思って毎月新月の日に配信をしています。

さて今日は、旧暦の9月9日(今日、10月6日が旧暦の9月1日なので、旧暦の9月9日は現在の暦で言うと、今年は10月14日です。)に行われていた「重陽(ちょうよう)の節句」という行事のお話です。




夏が過ぎ、ふと気が付くとそこここにたくさんのノコンギクが咲く季節になりました。

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菊は今が花盛りです。

旧暦の9月9日は「重陽の節句」という日でした。

重陽の節句は別名「菊の節句」とも呼ばれていました。それは、旧暦の9月9日は今くらいにあたり、ちょうど菊の花がたくさん咲いていたからでした。

中国では、昔から奇数を縁起のよい「陽」の数とし、一番大きな陽数の「9」が重なる日、すなわち9月9日をめでたい日として重んじ、「重陽の節句」としたそうです。

邪気を払い長寿を願って菊の花を飾ったり、菊花を浮かべたお酒を酌み交わして祝うなどしたそうです。

また、重陽の節句の前夜に菊の花の上に綿を置いて夜露を含ませ、それで体をぬぐうなどの、なんとも素敵で贅沢な風習もあったそうです。

現代の暦では、9月9日は夏の盛りで菊の花はまだ咲いていないため、いつの間にかこの風習はなくなってしまったそうです。(ちなみに、9以外の陽数の重なる1/1、3/3、5/5、7/7の風習は、新暦になっても全て残っていますね。)

あまり行われなくなった重陽の節句ですが、ノコンギクやキク科のお花(ハーブが好きな方はカモミールやエキナセア、カレンデュラなどでもよいのではないでしょうか)を水に浮かべて菊花水にしていただいたり、お酒やワインに浮かべて頂くのも素敵ですね。


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★キク科のお花 豆知識

花びらとおしべに見えている部分は、それ自体が一つのお花です。

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写真はノコンギクですが、この場合、黄色いおしべに見えている部分のひとつひとつがお花(下の写真紫色の丸で囲んでいます)、白っぽい色の花びらに見えている部分の一枚一枚がお花です。(下の写真、白い花びらに見えていますが、小さなY字のめしべがついているのが見えるでしょうか?)

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キク科のお花はこのように、2種類の、たくさんのお花が集まって一つのお花に見えています。

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