カレンデュラ苗土付き

植物を育てるということ

長かった梅雨の後、気温が上がってくるとグングンと伸びてくる植物たち。

我が家のお庭でも、春に種を蒔いたカレンデュラが、最初のお花をつけました。

今年の春に、丹波山村の農家さんが自家採取したという素晴らしいカレンデュラの種をたくさん譲っていただいたので、今年はちょっと実験をしてみました。

もう、種の時点で美しすぎます。


種を蒔くとき

①庭に作った畑に直に蒔く

②大きなトレイに蒔く

③小さく間仕切りされたセルトレイに蒔く

大きなトレイとセルトレイには、市販の種まき用の土を入れました。

我が家の庭の土は粘土質で水はけが悪く、土としては良い土ではありませんが、あえて土壌改良剤などは入れず、鍬で耕すだけにしました。

さて、一番先に発芽し、成長も早かったのは

③のセルトレイ。

種をかぶって出てくる様子が何とも可愛らしいです。

次に発芽したのは、②の大きなトレイ

そして、最後に発芽したのは、畑に直播をした種。

種を蒔いて発芽するまでは乾かさないように水をあげてよく観察するのですが、(植物を育てるときに一番気を使うのは、種まきから発芽するまでのこの期間だと思います)セルトレイは種の周りの土の量が少ないので一番乾きやすく、畑に直播したものは周りに土が大量にあるので、一番乾きにくかったです。

発芽の順は、乾きやすい環境の順ということになります。

乾きやすいからこそ根が頑張って水を取りに行くので、成長が早かったのでしょうか。

そしてその後、しばらくその状態で苗を育てて、ある程度大きくなり、葉の数も増えてきたら、トレイに植えた苗は畑に定植をします。

発芽した順番は、上記のように

③セルトレイ

②大きなトレイ

①直蒔き

の順でしたが、その後、畑に定植するのに十分な大きさになるまでの速さは、また順番が逆転して、

①直播

②大きなトレイ

③セルトレイ

の順になりました。(最初から畑に直播した種は、定植する必要はないのでそのまま育てます)

植物は、見た目は小さな苗でも、土の中は驚くほど根っこが張っています。

ある程度まで根っこが成長すると、トレイで育てているものは根っこの育つスペースが限られきて、のびのび育たなくなってしまいます。

 

根がある程度張ってからの成長の差は、根を張るスペースの広さに準ずるということだと思います。

そしてもう一つ実験。

定植するときの実験です。

定植するときは苗の土を落とさずにそのまま土ごと畑に定植するのが一般的なのですが、仲良くしている農家さんと定植についての話をしていた時、彼女はびっくりするような方法で定植をしていることが分かったのです。

それは、育てた苗の土を、水の中で振り洗いして全て落とし、根をむき出しにして定植するというものでした。

定植の常識からしたらまずやらない方法で、たぶんどの本を見ても載っていない方法だと思います。

実は今回、この方法の定植をやってみたくて育苗をしたようなものでした (笑)

上記の定植までの成長の順番を見ていただければわかる通り、私の経験上、どんなに土が悪くても苗の成長は直播きに勝るものはなくて、それでも苗をトレイで育てるのは、たくさんの種を蒔くときに、ある程度苗が大きくなるまでの水の管理がしやすいという理由からだけです。

ちなみに、定植の時期についてですが、園芸関係の本を読むと、「種から発芽した苗の葉の枚数が何枚になった時に定植をする」というようなことが書いてあるのですが、正直、守ったことがありません(笑)

苗を見れば分かるからです。

 

どういうことかというと。

市販されている種まき用の土は、うちの庭の土に比べて根が張りやすい土です。

植物からすると、発芽した時からずっと根が容易に張りやすい環境で生きてきて、いきなりがんばらないと根を伸ばせない、我が家の堅い土に強制的に移されるわけなのですが、その植物が環境の変化のストレスに耐えられるかどうか、苗を見るとなんとなくわかるのです。

違う環境に羽ばたけるのか、まだその時期ではないのか。

 

この子はきっともう大丈夫だと感じるようなオーラを発している子は、心の中で声をかけて定植をします。

環境の変化のストレスに耐えられなさそうな子はもう少しトレイのまま育てて様子を見ます。

 

また、こちらの時間の関係上どうしてもその日に定植しないといけないという場合は、ひとりで心細そうな苗は、一つのところにふたつまとめて取り合えず植えてあげたりします。

 

 

さて、話を定植の方法に戻します。

 

①土をつけたまま定植。今までの環境から緩やかに新しい環境に移行します。

 

②水で土を洗い流し、根をむき出しにして定植。かなりスパルタに、いきなり新しい環境に移行。

今まで土の中で一所懸命に水を求めて植物の命を支えていた根をむき出しにするときは、思わず声をかけてしまいます。

 

定植したところ。

真ん中の棒の左側が①の苗、右側が②の苗です。

ちょっと光の加減で見づらいかもしれませんが、苗の大きさとしては、①、②とも同じくらいのものを選んで定植しました。

そして1か月後

明らかに右側の②の苗のほうが元気に成長しています。

そして、花をつけるのが一番早かったのは

直播したものでした。

まとめ

種を蒔くときはトレイに蒔くよりも畑に直に蒔いたほうが、元気に早く成長する
トレイに蒔いた苗を定植するときは、土をつけずに根をむき出しにして植えたほうが元気に早く成長する
 

という結果になりました。

 

成長の順番でいうと

 

①最初から、植物には少し過酷な環境に植える

②最初は柔らかい土に植えるが、植え替えるときは、以前の環境を一切絶って植える

③最初は柔らかい土に植え、植え替えるときにも緩やかに移行する

 

というちょっと驚く結果となりました。

 

 

今回のメルマガ、なにが言いたいかというと、巷にはたくさんの農業や園芸関係の書籍があります。

いろんな人がいろんなやり方で植物を育てているわけなのですが、どれが合っていてどれが間違っているということはなくて(これ、本当にたくさんの方から方法論について質問を受けるのです)、みんなそれぞれ理由があっての農法なわけで、だけど、同じ農法でも環境が違えば結果は全部違うのです。

 

我が家の庭のように土が悪すぎてかなり絶望的な状況でも植物はそれなりに育ちます。

 

大切なのは知識だけではなくて、とりあえずやってみること。自分なりの方法を見つけることだなあと思います。


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