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新米日本語教師のつれづれ日記vol. 2

前回から時間が経ちましたが、今回もつれづれなるままに書いてみようと思います!

実は時間があいたのには理由があります。
私は主に技能実習生に日本語を教えています。が、周知の通り海外から日本国内への移動は制限されていました。そのため、私の教える実習生も入国できませんでした。(現在では入国できなかった実習生の埋め合わせ入国緩和などが検討され、出入国制限緩和策「第1弾」ベトナム人のビジネス関係者や技能実習生らの日本入国も容認する調整している

ところが!幸運にも別の日本語学校で、既に実習に従事している実習生に日本語を教える機会をいただきました!私は実習生を受け入れている企業に派遣され、その企業の社員と実習生に日本語を教えることになりました!

その企業はとても実習生を大切にされています。というのも、実習生だけでなく、企業の社員も参加してくれています。社員まで参加してくださるところは珍しいからです。ここから、企業の受け入れへの想いが伝わってきました。また、社員さんと実習生さんたちの会話を見ていてもとてもわきあいあいとしていて、朗らかな職場であることが見て取れます。

そんなところで日本語を教えられる私はとても幸運だなと思います。同時に、「この職場にとって絶対にベストなことを教えたい...!!!」と気が引き締まります。

さて、今日のお話は可能形の変形ドリルをしていた時のことです。

担当者から「職場で使える言葉」を教え欲しいことと「基本的な言葉でなければ、動詞を変形させるのが難しい」と聞いていました。

「基本的な言葉」というのは、よく教室で使われるような言葉です。私は、学習者にとっさに質問された時に困らないようにグループ1〜3までの動詞の例を頭に叩き込んでいます。グループ1であれば、「歌います」。グループ2であれば「食べます」など。ちなみにグループ3はspecialというか、例外的な動詞で複合動詞を除けば「します」と「きます」に限られます。おそらく、ほかの日本語教師の方も自分の動詞のレパートリーを持っていて、とっさに聞かれた時に困らないように準備しているではないかと思います。

この基本的な言葉は教室内では便利なのですが、一歩教室を出ると困ります。当たり前のことですが、教室の外の世界が「歌います」や「食べます」の動詞だけでできているわけではありません。

特に職場となれば、なおさらのことだと思います。ちょっとした言葉の違いが大きな違いになります。また、専門的な言葉が飛び交う職場で、そのような基本的な言葉だけを学習した学習者が困難を抱えていることは想像に難くありません。

そのため、学習者がすでに勉強した可能形(実習生によって国で勉強したことが異なり、まだ未習の人も少なからずいましたが)を、職場で理解し使えるようになることを目標にしてに変形ドリルを行いました。

変形ドリルの前には導入と事例紹介、簡単な文法説明(未習の方もいたので!)をしました。その後、ます形から可能形への変形のドリルをしました。

基本的な言葉ではないチャレンジングな動詞でしたが、実習生は悩みながらも次々と答えます。自分の説明で理解してくれたことが見れたようで安心していた時です。実習生が答えました。

実習生:「動か...できます!」

むむ!お気づきでしょうか?そう「何かが違う」。何が起きたのかを理解するには少し前に戻る必要があります。というのも、私が出したキューにそのヒントがあるからです。

教師のキュー:「動かします」の可能形はなんですか?

「動かします」は「動かす」のマス形です。ところで、「動きます」は「動く」のマス形で、例えば「車が動きます」などに使われます。

さて、「動かします」は、いわゆる他動詞ですから目的語が必要です。例えば、「山田さんは机を動かしました」。日本語母語話者であれば動詞の前に「が」がつくか「を」がつくかで見分けられると思います。

ですが、この見分けは外国語として日本語を学ぶ人には理解ができません。この違いを初めて理解するのに授業の三分の一ぐらいかかることもあるかと思います。

とにかく、言いたかったことは実習生の職場ではよく使われるであろう「動かします」は基本的な言葉としてはあまり使われないということです。

そのため、練習をしたのですが、動詞をよく見てください。

?動かします→動か+します

そう、この動詞には「します」が含まれます。ちょうど、「勉強します」や「仕事します」のように... 「勉強します」などのスル動詞は名詞に「します」をつけて動詞にします。ですから、活用するときも「します」と同じように活用します。例えば、「勉強します」の可能形は「勉強できます」ですね。

つまり、実習生の方は私が説明した可能形の文法を理解して、「します」を「できます」にして「*動かできます」としたのだと思います。

私は思いました。「この間違えこそ、練習する意味や!」(心の中なので関西弁です笑 ご勘弁を…!)

私はその実習生に「惜しいですね!」と全力でポジティブな声で反応して、全体にその文法の説明をしました。

実習生にとってもいい練習になったのではないでしょうか...!!! 間違えてもオッケーな雰囲気っていいですよね。

と、授業のことを書いていたら最寄りのバス停に着いたので、今日はこの辺で。bye!

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