日本の伝統芸能、その奥深さ

8/13/2023 

僕は高校の頃から音楽に深く触れてきた。
マーチングバンド部に入り、スネアドラムを演奏し始め早8年目の今年。

アメリカに留学もし始めてあっという間に1年半という月日が経ち、留学中もアメリカの競合バンドにオーディションを受け合格し、計3団体のチームに入った。世界大会にも出場し、パーカッション(打楽器)のエネルギーの強さ、奥深さ、強さを知った。

学校ではドラムセットを習い出し、バンドを組み始め、新しいジャンルの音楽に沢山触れている。
ジャズやロック、ポップスなど。

そんな僕に、新たな角度の芸術を学ぶチャンスが来た。日本の伝統芸能だ。

これは絶好のチャンス!
アメリカに留学中の僕が帰国中に日本の伝統や文化に触れられる、そんな最高の機会は無いと思った。

数多くある日本の伝統芸能の一つ、里神楽に触れた。

300年の歴史を持つ里神楽10代目家元、石山裕雅さんから小鼓のお稽古を受けさせていただいた。

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まず大前提に、和の伝統芸能に
「音楽」という言葉は無かったと伝えられた。
そもそも音を譜面に沿って奏でるというものではなく、日本の雅楽、神楽は
「感情」を音で表すものだったらしい。

もう惹き込まれた。

そうか。そもそもどんな音楽なんだろう、どういうリズムの取り方なんだろう、どういう仕組みで音楽が構成されてるんだろう。

この考え自体が間違っていることに後から気づいた。

西洋の音楽には譜面がある。僕たち演奏者は横に流れる譜面に沿うように流れるように音楽を奏でる。

それが今までの僕が知る音楽だった。

神楽の奏者様にも譜面があるらしいが「縦」書きらしい。同じフレーズを何回も叩く事もあるが、毎節戻る度に新たな心でその音を奏でるという観念がある。
それが表されているのがこの「縦」書きの譜面。

深い。

同じフレーズだが心の中では常に新しい気持ちや情熱が注がれて一つ一つ新たな音を生み出す。

それが神楽の音楽らしい。

この音楽の観点には本当に驚いた。
言葉では表せないほどの深さや奥ゆかしさがある。

そして神楽独特の「間」は、見る人聞く人に演者や奏者の感情を伝える。それは、単なる音楽用語で言う「休符」ではなく、その間が次の音への感情であり気迫である。そんな事を学ぶことができた。

音と音の間に重きを置く世界、、、
そんなに味わい深く奥ゆかしい世界があるだろうか。
僕はその音楽的・芸術的価値観に心を奪われた。

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日本の芸術は本当に素晴らしい。

僕は「和」が大好きだ。
日本の伝統や文化には最大限の敬意を表したい。

気づいた事がある。

僕の知り合いで代表的な日本の武道の一つ、合気道の師範の方も言及されていたが

武道や芸道、音曲、日本の全ての伝統芸能に見られる共通点は、「心」や「精神」との密接な関わりがある

という事だ。

僕は芸術である「音楽」というものは、精神と非常に深く関わっている物だと高校の頃から気づいていた。

マーチングバンドのスネアドラマーは、大きなバンドになると、非常に難易度の高い譜面を9人にもなる人数でピッタリと音を合わせないといけない。

耳や手に感覚を研ぎ澄ませ、そこで息を呑む様な手捌きを瞬きもできないほどの集中力を使って揃える。

そんな競技を始めてアメリカでの活動も含めると
8年が経つ。

そんな高いレベルの精神性が求められる世界で生きてきた僕にとって、日本特有の「和の精神性」の深さにしばしば感銘を受ける。
 
僕はまだまだ未熟者だ。
芸術について何も知らなかったんだとまた気づく。

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神楽の稽古を通して、「芸術」と「心や精神」の密接な関係について考えさせられた、そんなお話しでした。

2日後にはアメリカに戻る。
日本で得た新たな価値観や感覚を胸に他国で思う存分活躍するのが待ち遠しい。



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