【JHDC】JHDC予選対策③味覚評価と評価基準

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こんにちは。ゆ( @yu_suke.coffee )です。

JHDC予選対策の3回目です。

前回はこちら

JHDC2019競技者ページにスコアシートが公開されました。
今回はいよいよ味覚評価(センサリー)について記述していきます。

ドリップ競技の味覚評価について

2.1.1 競技概要
D. 予選(ドリップ競技)では 10 分間の競技時間に、JHDC が提供するコーヒー豆を使用し、2 つのサーバーに量の異なる 2回の個別の抽出を行ないます。

E. 量の異なる 2 回の個別の抽出とは、1 つを 150ml 以上 200ml 以下(抽出 A)で、1 つを 300ml 以上 400ml 以下(抽出 B)で抽出を行うことです。

上記のとおり、ドリップ競技では抽出量の異なる抽出Aおよび抽出Bの個別の抽出を行います。

2.1.3 競技時間と競技の流れ
P. センサリージャッジは、抽出 A および抽出 B の均一性と、抽出 B のカップの味覚の評価を行ないます。味覚の評価項目は次の 5 つです。
 ・香味 ・質感 ・あと口 ・バランス ・総合

そして、2杯の均一性と、5個の評価項目でドリップ競技の評価をしていくことになります。

ここまでが大まかなドリップ競技の内容です。

味覚評価のスコアシートについて

さて、味覚評価は5個の評価項目で行われ、しかも対象は抽出Bのみという事が分かりました。
そこで予選を勝ち上がるためだけを考えて抽出Bのみのクオリティだけを高める練習をする方がいると思います。

果たして、それで勝ちあがれるのか?スコアシートを見ながら検証していきましょう。

<<参考>>
13.5 評価基準(尺度)
センサリー評価基準
0-10 点(0.5 点きざみ)
・許容できない=0、許容できる=1〜3、普通=4〜6、良い=7、とても良い=8、素晴らしい=9、驚くほど・並はずれて良い=10

パターン1:抽出Aは捨てて、完璧な抽出Bのみを目指す

この場合は、評価項目101~105は満点だが、106に関しては0点というパターンです。
10+10+10+10+10+(0+0+0+0)×2=50点となりました。

パターン2:抽出Bはそこそこだが、カップの均一性が完璧なパターン

評価項目101~106は7点(良い評価)、項目106の各評価が2.5点満点というパターンです。
7+7+7+7+7+(2.5+2.5+2.5+2.5)×2=55点となりました。
仮に項目106が2.0点となった場合はどうでしょう?
7+7+7+7+7+(2.0+2.0+2.0+2.0)×2=51点となりました。

つまり、ドリップ競技においては「均一性を高める以外に勝ち上がる方法はない」ということになります
(そもそも、普段の営業で一杯取りと二杯取りで味がブレブレだったら、それは店としてどうなの??ということになりますしね...)

評価の基準について

スコアシートから評価の項目が分かり、均一性を高めることが勝ち上がる可能性が高いということがわかりました。
では、次にJHDCで7点(良い評価)を得るためにどうするか?
評価基準がどのようになっているかが気になるところだと思いますが、
その答えは現在ヘッドジャッジである杉内さんのブログに回答がありました。

使用するコーヒーは当日知らされる、というのは競技者だけではなくてジャッジも同じである。
競技に使用するコーヒーを、午前の部であれば朝イチ、午後の部であれば昼過ぎに渡されるわけである。
渡されて、ジャッジはどうするかというと、ちゃーんとカリブレーションをするわけである。そのコーヒーに対する「共通の認識」を共有するわけである
そのためには何回もドリップして何回も飲まなきゃならないわけだけど、ここでしっかりと意見交換して基準を合わせておかないといけないから、大変である。基準が作れるまで何度も何度も飲むわけである。

ビバ!ロングブラック!『2013JHDC顛末記(1)予選編』の記事より引用

というわけで、ジャッジの方たちの基準は「何回もドリップして基準を作る」ところから始まる様です。

つまり、このような香味・質感があれば7点とか、絶対的な評価ではなく
この豆だったらこれぐらいが7点という相対評価であることが予想されます。
もし課題豆に使われるものがすごく良い豆で、適当に入れても美味しかった場合、「美味しいけど良さを全部引き出したとは言えないから4点」ということもありえるし、
そこそこのグレードの豆だったら「味自体はそこそこだけどネガティブな印象がほとんどない、7点」という評価になるかと思います。

競技者として目指すところ

評価基準に対してジャッジのカリブレーションの内容が発表されることはなく、ではどうやって評価の高いカップを作っていくのか?が競技者の悩みどころかと思います。

そのことについてジャッジの方たちはこう言います。
「スコアシートをよく読み込んでください」と。

ここで基本に立ち返り、JHDCはスペシャルティコーヒーの競技会であるので、スペシャルティコーヒーの定義に立ち返りたいと思います。

消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。
風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。

この定義をセンサリーのスコアシートに当てはめていくと、

際立つ印象的な風味特性があり、
→香味 (香りや風味に、明るさユニークさ、繊細さ、多様性などの際立った
特性
を持っているか)

爽やかな明るい酸味特性があり、
→質感 (量感をもった良質な口当たり、舌ざわりであり、不快なざらつきや風味を感じにくくする阻害要因が無いか)

持続するコーヒー感が
→あと口 (透明感があり甘さをともなった心地よい余韻を長く感じることができるか)

甘さの感覚で消えていく
→バランス (心地よい濃度感の中で風味の調和が取れており,最後まで満足感をもって飲み終えることができるか)

となります。
つまり、スペシャルティコーヒーの定義を理解していれば、スコアも自然とついてくるという結果になります。

まとめ

テクニカルは「減点されないこと」が重要と前回の記事に書きましたが、
センサリーは「均一性を高めてスコアを少しでも上げるか」が勝負になります。
そして、スコアの基準は絶対的なものはなくジャッジ間のカリブレーションから豆の持つクオリティによって左右されてしまうものです。

ただし目指すところはスコアシートから読み取れるようにスペシャルティコーヒーの定義を理解し、その素晴らしさを引き出し消費者へ伝えることができる抽出能力を身に付けるところにあります。

最後は若干精神論のような話になりましたが、大会の意図を考えるとやはりそのような考え方を持っていないと勝ち上がることはできないような気がします。

予選対策として3つの記事を書きましたが、次からは実践的な内容として
私の練習内容などを備忘録的に書いていこうと思います。
また、コメント欄などにて是非意見交換などもできればと思います。
この記事を書いている日から予選まで日数が少ないですが、共に頑張りましょう!

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