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三びきのやぎのがらがらどん

三びきのやぎのがらがらどん

小さい頃から大好きな一冊。

決してかわいらしい絵柄ではないし
きらきらふわふわしたお話でもないけれど
なぜだか大好きな一冊。

とにかくテンポがいいんです!

保育学生になった時期に
自分で新しく買い直すほどには大好きな一冊。


よくよく考えてみれば不思議ですよね。
登場するやぎが3匹とも同じ名前なんて。

しかし、同じ名前でもそれぞれに違った
キャラ付けがされているところが
この絵本の魅力では。


小さいやぎはわかりやすく怖がり。
中くらいのやぎは頭が回る。
大きいやぎは言わずもがなですね笑


この性格を橋の渡りかたのオノマトペ、
橋を渡りに来るタイミング、
トロルとのやりとりから
読み取ることができると思うのですが、

個人的に一番表しているのは
橋を渡りに来るタイミングなのではと!!
(特に中くらいのやぎ!!君のことだよ!!)

はじめの小さいやぎのがらがらどんが
かた、こと、と橋を鳴らして来て、
トロルに「もう少し待てばもっと大きいやぎが来るから」
と言って逃れて

そこから"しばらくしてから"
中くらいのやぎが来るんです!

しばらくしてからですって!!!
ほとぼり冷めるの待ってるんですよ!
トロルの中から次に来る自分の存在が薄れるのを!
巧妙ですね〜笑

そしてがた、ごと、とやって来て
「おっと、食べないでおくれよ」
おっと、ですって!
同じく「もっと大きいやぎが来るから」
といって逃れるわけですね。

て、ヤツはもう来てるわけですね笑
間髪入れずにがたん、ごとん、
トロルにも「だれだ!俺の橋をがたぴしさせるのは!」と突っ込まれる始末。


ここからはバトルシーンに入るわけですが、
なんともテンポがいい。
リズムがいい。語感がいい。

おおよそ子ども向けにはそぐわない、
なかなか残酷な描写や、強い言葉が並びますが
存外子どもはそれすら楽しんでいるんですよね。

私自身、田楽刺しが何か知らない頃から楽しんでいましたし、
視覚優位、五感で楽しむ子どもには
言葉の持つ意味の残虐性よりも
音にした時の響きの方が大切なんだなって
今考えをまとめている中で改めて感じましたね。

そこに気がつくと、
そもそも「がらがらどん」というネーミングが
勝ちですよね。

スウェーデン語のタイトルは
「De Tre Bukkene Bruse」
(三匹のやぎのブルーセ)
というのだそうです。

「Bruse」という名前には
「うなり声、騒音」という意味を持つそうです。

英語のタイトルは
「The Three Billy Goats Gruff」で
やっぱり「Gruff」は
「しわがれ声、ぶっきらぼうなしゃべり方」という意味になるそうな。

そこから「がらがら声」、
がらがら声のやぎの名前に「どん」をつけて
がらがらどんと名付けたセンス!

さすが瀬田貞二さんですね。

翻訳者を意識したのなんて
大人になってからですが、
瀬田さん訳の他作品や
(「おやすみなさい おつきさま」「ナルニア国ものがたり」がお気に入りでした)
「きょうはなんのひ?」も大好きな作品です。

思い返せば絵本の中には
口に出すことが楽しいフレーズがたくさんで、
タイトルは思い出せないのに
印象深い表現は覚えていたり。

ようするに、
好きなものがたくさんっていいよね!!
(総評が雑)


いけない。
順を追って書いてたら、
力尽きてお気に入りの終わりを描くの忘れてた。

チョキン、パチン、ストン。
話はこれでおしまい。

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「三びきのやぎのがらがらどん」
マーシャ・ブラウン作
瀬田貞二訳
福音館書店

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