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女子プロレスラー小畑千代――闘う女の戦後史


女子プロレスラー小畑千代――闘う女の戦後史

著者:秋山訓子



内容紹介
日本の女子プロレス伝説のチャンピオン、小畑千代。女子プロレスはアメリカからもたらされ、日本独自の展開を遂げた。小畑は1955年にデビュー、力道山と同時代を生きた。知られざる女子プロの草創期、驚異の視聴率を叩き出した初めてのテレビ放映、そして基本条約締結直前の日韓友好試合や復帰前の沖縄興行など、豊富な歴史秘話やエピソードと共に描く、元祖「闘う女」の肖像。

女子プロレスラーといえば誰が頭をよぎるだろうか?

今ならASUKA(チャゲの元相方じゃないよ)か。
北斗晶、神取忍、アジャコング、ダンプ松本(たこ焼きラーメン喰ってました)ブル中野。
とんだニュースになってしまった長与千種のクラシュギャルズ。あとはビューティ・ペアは、ダウンタウンのごっつええ感じでネタにされてのしか知らない。

本書の小畑千代は、更にそれ以前の人物だ。

日本プロレスの父、力道山と同時期から活躍していた言った方がわかりやすいかもしれない。

プロレスは好きでも、女子プロレスには暗い私なので、名前すらも知らなかった。
国際プロレスでも活躍(国際プロレス女子部)していたというが、国際プロレスの本を読んでいたのにも関わらず、知らなかった。
申し訳ないが読み流していたのだろう。

言い出せば長くなるので割合するが、俺はプロレスラーの自伝本、あるいは自叙伝なんかが好きだ。
本書の存在は知っていたものの、なかなか購入までいたっていおらず、今回、書店で発見したので購入に至った。

読んでみると、これは、なんだか様子が違う。

小畑千代、という、歴史に埋もれてしまった、かのような女子プロレスラーの人生を色濃く語った本、ではない。
ない、と言い切ると言い過ぎになるかもしれないが、『闘う女の戦後史』とタイトルにあるように、小畑千代の人生のみにスポットを当てているわけではない。

戦後から現在まで色濃く残る、女性軽視、女性差別における歴史を小畑千代という女子プロレスラーと重ね合わせて語られている。

むしろそこを語りたいがために小畑千代にスポットを当てたんじゃないかと一瞬思ったりもした。(読んだら著者は根からの女子プロ好きだとわかる)

「なんにでも女性差別とか絡めてくるなや」なんて考えも、それこそ男性お得意の問題軽視だろう。

最終章では日本女子プロレスの歴史を流し気味ではありながら語ってくれているのは、少しぐらいは知識のある俺にとって勉強になった。

本書から少し文書を抜粋する。

日本の女子プロレスは六〇年以上の歴史を持つ。力道山がブームを引き起こした男子プロレスとそう変わらない。
だが、その歴史が正面から語られることはめったにない。そもそもプロレス自体がうんくさい、八百長、うそっぱち云々といった色眼鏡で見られがちだ。ましてや闘う主体が女性となればらエロだグロだと偏見は倍加する。しかし、だからこそ女子プロレスを正面から真剣に、歴史的に語る意味がある。戦後、それまでの価値観が大きく転換する中で誕生した女子プロレスは、女は静かにおとなしく男に従うべしという固定観念を打ち破り、女性も闘うものであり、またっていいのだと、性差別役割から解き放つ役目を果たした。半世紀以上前に、である。

埋もれた女子プロレスの歴史、これこそ、われわれ読者が知るべき歴史なのである。




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