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天邪鬼

人間関係を円滑に進めるためには素直さが大切だと思うんですが、振り返ってみれば社会人として自分がやってきたことなんて同調とごますりだけでした。特に心にもないことをあたかも本心のように語るのが得意というか、言葉に感情を合わせるのが妙に得意でした。素直な振りが上手かった。

村谷由香里です。
noteをご覧いただきありがとうございます。

そもそも素直な人間は小説を書きたくないと言いながら作家になどならない、と言われると今回の話はすべて終わりです。解散。うそ、待って。
善良であろうとするほどに悪人と思われたがってしまうのも、自分に対する信頼が薄いからなんでしょうかね。

前にツイッターでも言ったんですが、わたし犬が少し苦手です。
祖父の家にはずっとビーグル犬がいたし、かわいいと思うし嫌いではないんだけど、あの人間を信じ切って必要としてくる感じが怖い。怖いというか後ろめたい。自分が罪人のような気持ちになってしまう。わたしみたいな歪んだ人間に信頼を寄せないでくれ、と思ってしまうんですね。無償の愛を向けられる自信がない。

一方的に好きなものに対してだけ素直でいられる。好きな音楽や好きなコンテンツに対してはそれなりに真っ直ぐな愛情を持つように心がけているし、そうじゃなくなったらちょっと離れるようにしているんですが、自分にかかわることになると途端にダメですね。離れらんないし。特に他人から肯定されると警戒してしまうのは、やはり自己肯定感の低さ故でしょうか。

自己肯定感が地に落ちていた学生時代は、小説を褒められると自分自身を肯定されたようで安心していました。小説を通して自分と関わってくれる人のことは無条件に信用していた。
しかしこれが職業になると完全に変わってしまうのだというのがここひと月の所感です。当たり前だよね、小説と自分を同一視してたら叩かれたとき身が持たんわ。小説は小説。わたしはわたし。

小説に相応しい身の振り方をすべきと思うけどなかなか上手くいかない。そして、どうにも信頼できない生身の人間としての自分自身を最近持て余しています。
でもこいつからしかわたしの小説は生まれないんだよなあ。もうちょっと上手く生きてくれないかな。

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