食べ物の話④〜キムチ鍋編〜

こんにちは。村谷由香里です。noteをご覧いただきありがとうございます!

マシュマロで好きな食べ物を伺ってエッセイを書く企画4段はこちらです。

キムチ鍋いいですね〜!!
今の時期は鍋に限りますよね。わたしは一人暮らしなので、鍋を作ったら3日くらいはそれだけで暮らしています。引きこもりに拍車がかかる。
ひとりで食べる鍋ももちろん美味しいのですが、人と食べる鍋も良いものです。
このエッセイには大学時代のことをよく書いていますが、鍋の思い出もだいたい大学生のころに集中しています。

レモネードの話の続きになりますが、高校生まで冬嫌いだったわたしは大学以降それなりにこの季節を愛するようになりました。大学生のころの楽しかった記憶って何故か冬場に集中しているんですよね。
みなさんはどうですか?
暑い季節にも、夏休みとか七夕祭とか卒業前旅行とか、それなりに楽しいイベントがたくさんあったはずなのに、思い出すのは寒い季節の楽しかった記憶ばかりです。

西洋哲学ゼミに所属していたという話はこのエッセイの中でもたびたびしているのですが、わたしの学年(とひとつ下の学年の男子たち)は妙に仲が良く、毎日研究室に入り浸って、授業そっちのけで遊んでいました。

今はどうなのかわからないけれど、当時は学生がみんな学部棟の入館パスワードを知っていて、24時間出入りできたんですよね。だから昼夜逆転している人間も夕方4時過ぎには「5コマ目間に合わなかったのマジでウケる」と言いながら研究室にやってきて、午前2時くらいまで入り浸っておりました。ちなみにわたしのことです。

冬場にしょっちゅう開催されたのが鍋パーティで、講義を受ける広い教室にIHコンロなどの調理器具を持ち込み、みんなで鍋をしていました。大学前のレンタルショップでジブリ映画を借りて、授業で使う大きな画面に映しながら夕食を食べるのは楽しかったです。何にも考えず欲望のままにキムチ鍋を作って、翌日昼間までキムチの匂いが残って叱られたものでした。

ただ集まってごはんを食べていただけなのに、今思い返すとどんな思い出より特別な気がするのは何故なのでしょうね。
あの研究室が、今はもうわたしの頭の中にしかないからかもしれません。

わたしが卒業してから3年くらい経って、学部棟の内部工事があり、わたしたちが溜まり場にしていた研究室も教室もすべてなくなりました。
人文学部棟は昼間でも暗すぎるとか、ドアの開け閉めの音がやばいとか、単純に内装が古いとか、文句を言えばキリがなかったのですが、工事後に訪れた綺麗な学部棟の中はまるで知らない場所のようで、少し切ない気持ちになりました。

冬になるたび、あの暗くて古い四階の廊下を歩き、研究室の扉を開ける瞬間のことを思い返します。生きている中で物理的に、あるいは精神的に、もう二度と戻れない場所が随分増えました。わたしは30回目の冬を迎え、遠ざかる記憶は年々褪せていく。
思い出のためにできる唯一のことは、こうして文字にすることなんだろうと思います。

マシュマロまだまだ募集しております。もしよろしければ、みなさんの好きな食べ物を教えてください。


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