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夢喰いガーデン

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村谷由香里の掌編小説を置いています。すべて独立した物語なのでお好きなものからお楽しみください。
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2017年11月の記事一覧

【掌編小説】アネクメーネ

「毎日いるのね」
「君もね」
「ええ」
「サイレンを聞きに?」
 僕の応えに、そうよ、と笑って彼女は視線を目前の地球に戻した。
 ステーションの大窓からは、手を伸ばせば届きそうなほど近くに青い地球の姿が見える。このステーションから地球まで、約二十五万キロメートル。肉眼でも雲の流れを追うことができるし、晴れ間からは大陸の姿も窺える。
 しかし、決して届かない距離だ。
 人類が地球を離れて七十余年。地

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灰猫のクオリア

「きみは灰猫。曇り空に似た灰猫だ」

 わたしは落とした視線を、思い切って上げてみる。
 あれからずっと、晴れ間は見えない。
 今にも雨が降り出しそうな、重い灰色が広がっていた。

    *

 ぱっとしない天気が続いている。ここしばらく太陽を見ていない。今日も見上げる限り分厚い雲が垂れ込めている。
 大学の構内を、あなたと並んで歩く。左隣のあなたは、ぼんやりと眠そうな目をしている。生ぬるい風に

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サングリアとドーナツ・ホール

「お前は賢いのにどうしてそう鈍ちんなのか」とは、父から再三言われた言葉だ。物心ついてから小学五年生になる現在まで何度聞いたかわからない。

「ベッドに上がってきていいんだよ」
 というお姉さんの誘いを、僕は丁重に断っていた。
「僕は床で寝るから結構です。こんな真夏にシングルベッドにふたりで寝るなんて理にかなっていないでしょう。今は扇風機でどうにか暑さをしのげていますが、二人が密着するとなるとクーラ

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