#16 より良い不動産業者や不動産営業マンに出会うには

わたしは仕事上、不動産関連業界しか知りませんが、経験した中だけの持論としては、不動産業はある程度の資金さえあれば開業しやすい業界です。
令和3年3月31日の国土交通省の資料によれば、令和2年度末までの東京都知事免許登録業者は国土交通大臣免許登録業者を除き、25,075業者、前年度375業者増。新規登録業者数1,432業者、廃業1,057業者。わたしの住んでいる埼玉県は6,062業者、前年度から19業者増となっています。
結局、高齢等により廃業しているところがあっても増えているのです。
きちんとしたところで経験とスキルを増やし、大きな志をもって独立開業する人もおりますが、不動産取引はもうかるぞ!という薄っぺらな考えで開業する人もいます。

一般個人の人から見るとわかりづらいかもしれませんが、
宅地建物取引業の登録は、登録業者代表本人(一般的にいうと会社の代表取締役など)自身が宅地建物取引士という国家資格を持っていなくても実際開業できるのです。

宅地建物取引業法の中に
(宅地建物取引士の設置)
第三十一条の三 宅地建物取引業者は、その事務所その他国土交通省令で定める場所(以下この条及び第五十条第一項において「事務所等」という。)ごとに、事務所等の規模、業務内容等を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならない。
2 前項の場合において、宅地建物取引業者(法人である場合においては、その役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。))が宅地建物取引士であるときは、その者が自ら主として業務に従事する事務所等については、その者は、その事務所等に置かれる成年者である専任の宅地建物取引士とみなす。
3 宅地建物取引業者は、第一項の規定に抵触する事務所等を開設してはならず、既存の事務所等が同項の規定に抵触するに至つたときは、二週間以内に、同項の規定に適合させるため必要な措置を執らなければならない。
また、宅地建物取引業法施行細則にて、
(法第三十一条の三第一項の国土交通省令で定める数)
第十五条の五の三 法第三十一条の三第一項の国土交通省令で定める数は、事務所にあつては当該事務所において宅地建物取引業者の業務に従事する者の数に対する同項に規定する宅地建物取引士(同条第二項の規定によりその者とみなされる者を含む。)の数の割合が五分の一以上となる数、前条に規定する場所にあつては一以上とする。
という法令があります。
いわゆる専任の宅地建物取引士を「5人に1人以上」設置しなければならないという義務があります。不動産業を営む時は、ひとつの事務所において「業務に従事する者」5人につき1人以上の割合で、専任の宅地建物取引士を設置することが義務付けられています。これは不動産取引に精通した専門家として、取引の公正さを確保する役割が期待されているためです。

極論でいうと、不動産業の経営者が不動産取引に関してずぶのシロウトでも開業する事務所に従業員5人以下にして専任の宅地建物取引士を1人雇えば開業できるという仕組みになっています。

不動産関連のポータルサイトでは、よく数ある不動産業者が信頼できるものなのかどうかを判断するには不動産業者の免許番号の( )の数字を見て検討した方がよいなどとありますが、これは判断材料のひとつにすぎないと思った方がよいと思います。
なぜかといいますと、不動産業者は大手を除いて「総合的」なところは少ないのです。前述の不動産業者の免許番号の( )の数字が多くてもその不動産業者は賃貸の仲介に特化している業者であったり、アパートや駐車場などの管理を中心とした不動産業者であったり、また賃貸の仲介専門(賃貸でもアパート・マンションなどの居住用不動産専門であったり、事務所や店舗専門であったりすることもあります)であったり、売買の仲介専門であったりします(ほかにもありますが・・・)。
中には宅地建物取引士の資格を持っていなくても不動産取引に精通しているひともいます。
ただ、その不動産取引やそれに関連する関係法令に対してのリーガルマインドがほとんどない、または軽視している経営者の中には存在していることを意識しなければなりません。

不動産業者の中には、この不動産取引やそれに関連する関係法令に対してのリーガルマインドがほとんどない、または軽視していることにより、独自のマイルールが存在します。
アニメのドラえもんでいうと「ジャイアン」みたいな経営者や現場責任者といったらイメージが湧くかもしれません。非常に困ったことに、このような人たちはほぼ「外面(そとづら)」がいいのです。さらに「言いくるめるのが得意」、「罰則に敏感」。独自の解釈で罰則に抵触しなければより自分の利益や理屈に寄せた交渉をしてきます。それが巧みなんですね。

法令上だけでみますと、大部分の不動産取引法令関係を管轄する国土交通省や公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(全宅)や公益社団法人全日本不動産協会(全日)、一般社団法人不動産流通経営協会(FRK)などでは標準契約書書式等を推奨していますが、あくまで推奨なので必ず使用しなければならないわけではありません。また、宅地建物取引業法やその施行令、施行細則でも記載しなければならない項目のみ規制しているので、書式が違うことで罰則がありません。
ということは、厄介なのが、悪質なところでは、罰則に抵触しない範囲で「自分有利」な契約関係をかわすことがある意味可能なのです。

わたし自身も、何組か不動産取引のセカンドオピニオンの仕事をさせてもらった経験がありますが、「このお客様、やられちゃったな!」というお客様もいらっしゃいました。

不動産自体の価値観を上げる「加工力」があれば、業界用語で「化ける」ことがよくありますが、通常の場合には誰かが泣く構造になっています。
不動産業者の都合で「安く売ってしまう場合」、「高く買ってしまう場合」
不動産業者の都合で「売りにくい物件を買わされる」など
サブリース契約関連のものが目立ちましたね。
実際にあったお話は、いずれかの機会に。

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