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【自分語りシリーズ】本当は行きたくなかった海外駐在から学んだこと

半月に一度の自分語りシリーズ。
まだそんなに語っていなかったかな?、と思うネタの一つとして、私の海外駐在経験に関する思い出をテーマにお送りします。わずか2年という大変短い期間でしたが、私の人生を大きく変えることになったNY駐在で学んだことを振り返ってみたいと思います。

もともと私は「海外」という言葉に大変苦手意識を持っていました。小学校の頃にハワイ(ほぼ英語いらず)に家族旅行をして以来、約20年パスポートを使ってこなかった、バリバリのドメスティック人間です。
その本質はつまるところ、『違う』ということに関して、極端に抵抗感があるということ。自分の理解できないものに触れる、そこに飛び込むということに、軽く恐怖すら覚えるタイプなのです。この感覚は『間違える』にも通じており、「正解」を極端に追い求めてしまう自分の悪癖の根源でもあります。

そんな私ですが、海外赴任直前は会社に対して『海外赴任を強く希望する』というメッセージを送っていたわけです。いつの間にそんな心変わりを?、という訳ではなく、この時点でも心の中では引き続き「海外いやだなぁ」と思ってはいました。それでも海外赴任は希望する、という矛盾はどうして生まれたのでしょうか?

その答えは「尊敬する人」と「キャリアビジョン」の2つです。
「尊敬する人」については、読んで字のごとく。海外赴任直前に部署の同じチームでとても良くしていただいた先輩が、転勤でシンガポールに赴任されたことがきっかけでした。単純に憧れのこの人と「一緒に働きたい」という想いで、苦手な語学の勉強に取り組む意欲が初めて湧きました。今の仕事にも通じますが『人』というのは非常に強い動機付けの源泉になり得ます。
そしてもう一つの理由は「キャリアビジョン」ということになります。当時お仕えしていた部署のボスから『海外に行きたいかどうかは別として、海外で働いたことがあるというのは自分のキャリアの選択肢を広げる』というお話をいただいたことがありました。それまでの私は「海外は行きたい人が行けばいい」と考えていましたが、そのお話しを聞いて「海外に行くことが、将来自分がやりたいことをやるための材料の一つになるかもしれない」と思うようになりました。実際に、海外赴任をさせてもらえる社員というのはほんの一握りで、そこに選んでいただけるということはある程度会社から期待されている、とも言えるので、それが将来の自身のキャリア選択の幅にもつながるというのは納得感が感じられました。

そうして、何とか苦手な英語の勉強をしつつ、海外支社のメンバーとの接点を積極的に作りに行ったことが功を奏し、実際に海外赴任の切符を手にすることができたわけです。ただ、ここからが本番、苦難の連続でした。

実際に海外赴任をして一番大変だったのは「100%の意思疎通ができないこと」です。
もちろん、語学力や文化の違いによるところが多くを占めますが、相手が言っていることが理解できない、ということの辛さたるや、かなりのストレスがあります。会社などで他の日本人がフォローしてくれる時はいいですが、プライベートや日本人が自分だけの時の会議などは、最初は相当イヤな思いをしながら対応していました。
いろいろと経験を積む内に気付いたのは、①そもそも100%相手の話を理解なんてしなくてもいい!、ということと、②聞こえないのは語学力のせいだけではない!、ということです。
そもそも相手の話している内容で、きちんと理解しなくてはいけない部分というのはその内の一部でしかない、ということに途中で気付くことができました。日本語の会話でも、相手の話の一言一句、全ての内容を理解してコミュニケーションをしているでしょうか?おそらくNOです。きっと6~7割くらいで聞いて、残りの部分はそもそも聞かなくていいか、文脈等から内容を脳内保管しているはずです。それが、言語が変わると「全てもれなく聞き取らなくては!」というマインドが出てきて、日本語でもしないような聴き方をしようとしてしまうことに無理があります。良くわからなかったり、聞き逃しがあったら、相手に聞けばいいだけのこと。特に欧米圏などは、話が理解できなかった場合の責任は話し手にある、と考えますから、全然問題ありません。
それでは何があれば意思疎通が図れるのか?それは「相手のことを知ること」です。具体的には『相手の話している内容を推測できるだけの事前情報を得ておく』ことと、『仮に聞き取れなくても後で危機にいけるだけの関係性をつくっておく』ことを実践しておけば良いです。相手が普段担当している業務内容やポジション、いま携わっているプロジェクトなんかを知っていれば、会話の2~3割が聞こえなくても「多分この話をしているんだろうな」という予測が立ちます。仮説を持ちながら話を聴いてみると、驚くくらい話を理解することができるようになりました。また、飲み会やイベント、喫茶室でのちょっとした雑談などで信頼関係を築いておくと、その相手と話すときもリラックスして臨むことができます。精神的なプレッシャーがないと、これもまたびっくりするくらい話を聴くのが楽になります。そして、わからなかった時に質問しても許される空気を感じられるので、質問することにも抵抗感がなくなります。

このように、海外赴任からは様々なことを学び取ることができましたが、これらは何も海外でのみ使えるものではなく、以下のものは日本でも当然のように使いこなすべきスキル・思考法です。
「誰かを動機付けられる人であること」
「自身の理想像を掲げ、それに必要なものを手に入れる努力をすること」
「相手とのコミュニケーションに100%の理解はあり得ない(≒相手と自分の間にはどこかで認識の違いが起こっている)、と認識すること」
「相手のことを理解し、仮説を持って話を聴くこと」
「相手との信頼関係を築き、お互いリラックスして対話をすること」

改めてこれらに気付くきっかけを与えてくれ、自身の成長につながった海外赴任の経験に深く感謝です。

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