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部下は簡単に育たない

基本は、自己啓発を中心に書いているのですが、今回はちょっと人材育成について思うことがあったので書いてみます。

人生が劇的に変わったことありますか?

少し前にウニユ塩湖に行った人が書いた記事を読んだ。
要約するとこんな感じだったと思います。
「ウニユ塩湖、想像を絶するような場所に行けば、きっと人生が変わるのではないかと思い、彼と2人でいざボリビアへ。道中、トラブルはありながらもたどり着いたその場所は素晴らしい絶景、忘れられない体験、心躍るひと時を経験して、帰国。そして、人生は変わらなかった。」
記憶を頼りに書いているのですが、大筋は外れていないかと思います。
劇的な経験をすれば、人生変わる、と思ったらそうでもなかったということです。
記事を読んだ当初は、そうなのか、と思ったものの考えてみれば、そんなものだろうと思います。
自分の人生が、何かの経験を通じて劇的に変わるということは、そうそうないだろう。
もちろん、大災害などに遭遇して人生が劇的に変わってしまったという人はいます。例えば、東日本大震災は多くの人の生き方、価値観を変えてしまったし、影響を受けた人は少なくないでしょう。
しかし、それは社会システムにも影響を与え、自分だけではなく周囲に巻き込まれて変わらざるを得ないからです。
そうではなく1度の旅行や観劇、1冊の読書、1曲の音楽を通じて何かが変わるということは、滅多にないでしょう。
もちろん、ある経験を通じて人生が大きく変わったという人もいると思いますが、災害や戦争などを除けば、旅行や読書などの何かにきっかけがあった後に、そのことについてさらに深く調べたり、人との交流を通じて知見を広めたりして、徐々に形作られているというのが多いと思います。

部下を一瞬で変える魔法はない

自分もそれなりの数の部下を持つようになって10年近く経ちます。
当然、直属の部下だけではなく、直属の部下にも何人かの部下がいます。
そうすると直属の部下から、その部下の人材育成に関して相談を受けることも増えてきました。(なんだか、言葉にするとややこしいですね)
彼らの多くは期待と現実のギャップを口にしています。
中には、こんなにアドバイスしているのに分かってもらえない、と愚痴ばかり言ってくる者も少なくはありません。
特に、手間のかかる部下や伸び悩んでいる部下を持っていると、ちょっと強引な指導に走り勝ちな者も見受けられるように思います。
しかし、強引な指導をしたところで人間は、そんなに劇的に変われません。

何か素晴らしい上司がやってきて魔法のようなアドバイスをしても、それである日、部下が目覚めて人が変わったように努力を始めるということはないでしょう。
それはウニユ塩湖に行っても人生が変わらなかったように、ちょっとやそっとのことでは、人生は劇的に変わらないからです。
ましてや上司が「君のやり方は効率的じゃないから、こうしなさい」とか「いつもこの部分は詰めが甘いな」などと指摘されても、人生を前向きにとらえて変えていけるということはないでしょう。
マイナスの声掛けが続けば仕事や上司に対する負の気持ちが強くなってマイナス方向へ向かっていくことの方が多くなってしまいます。

では、そうならないためにどうするのでしょうか。
自分なりのやり方としては、成長のヒントを色んなところに仕込んでおくことです。
本人に知識が不足していれば、何かあるたびにちょっとずつ会話の中に仕事上の必要な知識について、事務処理能力が不足していれば事務処理能力について、それぞれの部下が不足していると思うことを直接に指摘するのではなく、本人が気づかせるように仕向けていきます。
もう少し具体的に説明すると、資料作成であれば参考資料を持ってきて、この資料はここが良いね、と言って参考資料の良いポイントを取り上げたます。
事務処理では、だれだれ君のやり方って良いやり方だと思うんだよね、と同僚のやり方を誉めてみたり、最近こういうやり方を知った試してるんだけど結構いいんだよね、と自分も試行錯誤していることを告げたりします。
時には、過去の経験を語ることもありますが、自慢になると嫌な気持ちになるので、良かった話は1-2割にして残りは失敗談か、成功した話でも落ちがつくような話を心がけています。

そして、最後に自分の姿勢を見せることです。
・身だしなみはしっかりすること
・部下には公平に接すること
・謙虚であること
・いつも笑顔であること
・自己啓発を怠らないこと
これらが整っていれば、少なくとも話には耳を傾けてくれるはずです。
耳を傾けてくれれば小さなフックをあちこちに散りばめておくことで、つかんでみようかな、と思ったときに部下が成長してくれると思っています。

ここまで書いた上司の在り方というのは、すべて完璧に実践できているということはありません。
ただ、近づけることができればいいなと思っています。
なお、ここで書いた部下の育成論は、新人などは異なりますので悪しからず。


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