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今日気持ちよかった音楽: The Flints - Serengeti

これまでの投稿の中で、最もコンセプトに適した出会いだろう。これから紹介するのは、YouTubeの「興味に関連」でレコメンドされた楽曲だ。

バタバタなドラムの"踊れるダpsych pop"

踊れるpsych popは元々好きだけれど、再生から50秒あたり、サビで弾けるツンのめったバタバタのドラムが、とにかく気持ちよすぎる。それに合わせて、突き抜けたハイトーンの歌声が、しつこいくらい何度でも。まるで、無限の体力を持った若者たちの性交のようで、3分半が終わるころには、かなりの脳汁に溢れていた。

"WARNING: FLASHING IMAGES"と注意書きされたミュージックビデオも、絶妙に安っぽくてダサっぽくて最高だ。



ベルギー出身マンチェスター在住の一卵性双生児

公式では唯一プロフィールが記載されているSpotifyによると、The Flintsはマンチェスターの双子デュオだという。出たての新人かと思っていたが、他を調べるとふたりはベルギー出身の一卵性双生児で、2010年代なかばに"Oceaán"というデュオとして活動していた経歴が見つかった。

特筆すべきはそれほど無いが、その後は「他の人のために作曲することに時間を費やしてきた」ようで、満を持しての再デビューになるのだろう。名字である"Flint"を冠している点も、覚悟の現れか。どうせならCarpentersを連想したかったが、まず出てきたのは吉田兄弟で、そのあとすぐに竜徹日記だった。こちらは名前の併記なので閑話休題。



どうにも仏の伝説的覆面デュオ

The Flintsとしてのリリースは、上記の曲も収めたEPの他には、先日リリースされたばかりのシングル『Different Drum』のみ。こちらは、幸運を得るために一晩中起きてたフランスの覆面デュオがどうにも想起される70‘s Disco調で、やはり現状は「Serengeti」が図抜けている。

また、彼らのMixcloudには、EP『100 Million Light Years』にインスピレーションを与えた曲をキュレーションした音源がアップされていた。Jean-Michel Jarreに始まり、Beach HouseJapanese Breakfastから、The Flaming LipsJoy Divisionに連なっていくなど、なかなか面白い。



まだ無名に近いが、大化けするかも?

EPのタイトル・トラックが、世界一有名なマンチェスターの兄弟にGlam Rockのノスタルジーをまぶした質感だったり。アーティスト写真が、親の顔より見た"ブラーで顔が滲んだ上半身"だったり。とっ散らかった既視感は、正直ある。

一方で楽曲クレジットには、HenryとGeorgeの双子に、"Fred Flint"なる人物か併記されているなど、掘るべき要素もまだまだありそう。何より「Serengeti」は紛れない超名曲で、Glo-fiが好きだった人なら高確率で刺さるだろう。


2023年2月23日現在、The FlintsのTwitterのフォロワーは45、Instagramが1,233、Spotifyも595と、まだ無名に近い数字だ。久しぶりに"見つけた"この手応えは、釣りでいうアタリを得たようで、やっぱり嬉しい。
あのThe Rolling Stonesのサポートを務めたなんて情報もあるだけに、ともすれば大化けするかも?

また余談として、「Different Drum」は、1960年代にStone Poneys時代のLinda Ronstadtが大ヒットさせた曲と同じタイトルだが、カヴァーではないようだ。The MonkeesのMike Nesmithが手掛けたこちらは、日本では「悲しきロック・ビート」の邦題で知られた大名曲である、と初めて知りました。

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