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生存戦争に勝つ―新型コロナウィルスを怖がること

この2年近く、新型コロナウィルス感染症の感染拡大に一喜一憂し、日本中が振り回されています。
どの業界、仕事にも影響があって苦しみの中にいると感じています。

ここしばらく、日本中の新規感染者の数が少なくなってきて、コロナ禍も終わりが見えてきたようにも感じます。
ただ、ぼくは、もう少しだけ新型コロナウィルスを正しく怖がる必要があるのではないか、と考えています。

▼生物である以上

・新型コロナウィルスも必死

去年の3月ごろ、新型コロナウィルス感染症が広がりを見せた時に、『変異株』というものをぼくは知りませんでした。
この『変異株』というものを知ったのは去年の中頃だったような気がします。

ぼくはやっぱり学者でも医者でも専門家でもないので、変異株について詳しいことはわかりません。

ただ、新型コロナウィルスも生きていく上で必死なんだなと感じています。

つまり、最初に流行り出したウイルスが人にうつっていく過程で、人間に負けないように”変異”していく……
生き残るために、自分を変えていく。
まさに生存競争を勝ち抜くため、あらゆる手段
をとっているのだな、と強く感じています。

・生物としては正しい

こうした『変異株』への変化は生物としては正しいことなのだと思っています。
どんな動物、植物、ウイルスでも生きるためにあらゆる方策をとるものではないでしょうか。
たとえ自我があり、自ら命を絶とうとしない限り……本能といいますか、その身体の仕組みといいますか……生き残るための行動をとるのは生物としてあるべき姿であり、これは遠くの過去から遥かかなたの未来まで変わらないものだと思っています。

▼正しく怖がる

・やたらめったら

ぼくは去年から今年にかけての政府や自治体の政策・施策をすべて支持ているわけではありません。
しかしながら、この未知のウイルスに対してどうすればいいのか、という『正解』は誰も持っていないので、現状、ここまで新規感染者の数が減ってきているということに対して、政府や自治体の判断は良かったんだ、と感じています。

また、医療従事者、関係者の皆さんはもとより、行政機関、物流、治安維持、金融、衛生などなどに携わるエッセンシャルワーカーの皆さんにもたくさんの工夫でもってぼくらを守ってくれていることに関して頭が下がります。いつもありがとうございます。

そうした中で、冒頭かきましたとおり、
もう少しだけ新型コロナウィルスを正しく怖がる必要があるのではないか
と考えています。

と言いますのも、やたらめったら、自粛だ、時短だ、ということではなく
うがい、手洗い、マスクなどなどを含めた個人レベルできることはもちろんのこと、政府などでしかできない”外国からの水際対策”をもう少しの間、続けていくべきだと考えています。

・生き残るための戦い

先ほども書きましたが、新型コロナウィルスも生き残るために必死です。もちろん、ぼくら人間側も必死です。

生き残る戦いに対して、相手をなめてかかるほど痛い目を見ることはありません。

ぼくにももちろん覚えがありますが……
仕事上でも「余裕でしょ」と高を括った体制は大きな傷を受けたり、思ってみなかった時間がかかったりと……
いわゆる舐めてかかると……たとえうまくいったとしても、予想以上の損害はしっぺ返しを食らう事が多いです。

無論、ぼくの見積もりがいつもの如く、『あまい』だけなのかもしれません。

それでも、やっぱり、健康に関する事については『生き残る』為に、臆病なくらい正しく怖がる必要があるとぼくは考えています。

▼クソの役にも立たない

・自分の身の回りだけでなく

ぼくは新型コロナウィルスはクソの役にも立たない、と基本的には考えています。

ぼく自身の生活や仕事で言えば、感染予防をしっかりとすれば『ぼく』自身やぼくの家族、仲間が感染するリスクをある程度は防げます。

ぼくの身の回りで言えばそれだけで済む話だと思っています。

しかし、世の中には色々な人が居て……
ひょっとすると、老人ホームに愛する人が居たりする人も
ひょっとすると、愛する人が入院していたり
ひょっとすると、子供が楽しみにしていた行事が中止になってしまったり
ひょっとすると、人生の嬉しいイベントを延期せざるを得なかったり
ひょっとすると、遠くに愛する人が住んでいたり…
自分自身の環境とはまったく違う状況の人が居て、その人たちにとっては、このコロナ禍は迷惑以外、何物でもないと感じています。

また、仕事でも……
飲食店、旅行業の皆さんを始め、ぼくら舞台芸術に関わるもの、エンターテインメントの業界だけでなく、どんな仕事でも業種でもこのコロナ禍は色々なチャンス、計画、思いを邪魔していると感じています。

・それでも必死な

それでも必死な新型コロナウィルスです。ぼくらにとってクソの役に立たないと強く感じていても……
良くも悪くもぼくらに影響を及ぼしています。

ぼくはこのクソの役に立たない新型コロナウィルスにも……少しだけ役立つことがあると思っています。
それは、ぼく自身の仕事の仕方、思い、考えを改めて考える事が出来ましたし……おそらく、ここまで健康に考えたことは初めてだったように思います。

またぼくの家族、仲間、友人のことを改めて考える事――元気かな?とか会いたいな、と思う気持ちから「必ず元気で会おうぞ」という強い誓いも――が出来てきました。
周りの色々な人から居るからぼくが生きて活動できる。
色々な人から影響を受け、ぼくも影響を及ぼしている事に気付くことができました。

おそらく、コロナ禍前のぼくであれば……今日のような状況であれば「もう、終わったぜ、コロナ」と思っていると思いますし、「ビビッてんじゃねーよ、怖がりすぎだよ」とか「コロナなんかへでもねー」とか……そういうことを思っていたような気がしています。

新型コロナウィルスが必死だからこそ、ぼくも必死に予防し、この生存戦争に勝ち抜くため、正しく恐れていきます。

もう少しで。
制限のない日が来ます。もうそこまで変化する日は来ているのではないでしょうか。
その日までぼくはぼく自身で制限の中でもできることを正しく怖がりながらしていきます。


舞台演出家の武藤と申します。お気に召しましたら、サポートのほど、よろしくお願いいたします!