この闇を突き抜ける。
大黒摩季さんの曲に
「この闇を突き抜ける」
という曲がある。
ぼくはこの曲を聞くと「夏が来たなぁ」と感じる。
きっと誰にも「夏の曲」というのはあると思う。夏を感じる曲。
ぼくにとってはこの大黒摩季さんの曲がそうなのだ。
▼暗い気持ちが晴れる
この曲を聞くと、暗いが気持ちが晴れて、やる気が出てくるのだ。
大黒さんのパワフルな歌声もさることながら、歌詞に非常に勇気をもらう。
愛の為に夢見る為に 私は今を走り続ける
ここが奮えるのだ。
暗い気持ちでいる時に・・・何もうまく行かないなぁ、どうしてこんなことしてしまったんだろう・・・自己嫌悪や心が疲れている時に晴れる歌詞と曲なのだ。
▼未来を作るのは自分
ぼくはもう結構いい歳だ。
この歳なので、一緒に仕事をする人は年下の人が多かったり、ある時には先生の役割をする時がある。
後輩や生徒が悩み苦しんでいる時に『がんばれ』という気持ちはもちろんある。しかし…彼ら彼女たちの悩み・苦しみをすべてわかるわけではないし、ぼくが解決策をもっているわけではない。
でも・・・ぼくはいう事はまちまちだが…「未来をどうするか」ということを必ず言うようにしている。
それは「これからどうする」とかではない。ましてや方法論を論じることはしない。
ぼくは
「未来(目標)があるのなら、今を積み重ねるだけ」
と彼ら彼女たち、そして自分自身に言い続けている。
きっと知らず知らずのうちに心の中で「この闇を突き抜ける」の歌詞が思い浮かんでいるのかもしれない。
普段・・・宝くじがあたんないかなぁ。と毎日のように考え、当たったらアレも買って、コレもして~などと妄想しているぼくだけれども。
仕事や暮らしの中でやっぱり大事なのは…「今を走り続ける事」だと思っている。
この歳になって改めて感じるのは「続けることの難しさ」であり、『今』を走り続けるのって簡単にはできないな、と感じている。
障害もあれば、環境、自分の気持ちの変化などもあり、思うようにいかないことが多い。
それでも、走り続けるからこそ、「この闇を突き抜ける」事ができるようにも感じる。
▼夏に多い・・・
ぼくがこの歌を聞くと夏を感じるのは・・・落ち込むことが夏に多いからなのではないか、とはたと気付いた。
ぼくは夏が苦手だ。
更に言えば、ここ数年、夏にはあまり良い思い出がない―――もちろんちゃんと考えてみれば良い事も悪い事も同じくらいのはずだけれども―――落ち込めば、なんだかわからないけど、ぼくのiTuneの中でこの曲をかけていることが多い。
季節に関係なく苦悩は訪れる。
しかし、この曲を聞いて夏を感じるのはきっと夏によく聞いているからだし、夏に色々と苦しい事があったんだろうなぁと思う。
だからといって、「こんな大きな出来事がありました」なんてことを覚えているわけではない。昔の手帳を見れば…それなりに出来事は思い出すだろうけれども。
▼今年の夏。
言うまでもなく、2020年の夏、日本はコロナ禍の中にいる。
舞台演出家としてのぼくは・・・稽古もままならない。モノを書くなど他の仕事も3月以降減ってきているのが現実だ。
しかし、今もぼくは生きているし、”今を走り続けている”。
正直に言えば・・・この先どうなるかわからない。
コロナ禍だから思うわけではなく、ぼくは仕事がうまくいかないと・・・
頭の中で10代の時にもっと勉強して、大学にきちんと入り、別の仕事に就いていたらこんな苦しまずに済んだのかな、とも思う時がある。
役者を辞めると言った時に芝居から離れていればもっと違う人生だったのかなと思う時がある。
システム構築のスキルを学び、フリーになった時に・・・もっと真面目に打ち込めば良かったなと思う時がある。
そうだとしたら・・・
結婚もしたりしていて。
子供もいたりしていて。
もっと幸せだったのかな・・・
と思う時がある。
でも・・・そうだとしたら、今の仲間には会えていないのだ。
今、ぼくが生きる目的に向けて走り続けてられる環境は出来なかったはずなのだ。
過去は変えられない。もし、過去が変わったとしても…それは現在のぼくではないと思う。
今が辛いからといって…過去を否定したら、現在の自分を否定することになる。
違う過去だったとしたら、違う人生だったかもしれない。
けれども、その時、その時、選択したからこそ・・・出会った仲間、恩人、友人がいてくれるのだ。
だから、いつもよりも少しだけ「きつい」この夏。
この「この闇を突き抜ける」を聞いて、今を走り続ける。
きっとぼくも、日本もこの闇を突き抜けることができるはずだ。
舞台演出家の武藤と申します。お気に召しましたら、サポートのほど、よろしくお願いいたします!