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ロマン

今日こんなことを思い出した。
「男はロマンなんですよ」

これはぼくの年上のいとこがいつか言った言葉だ。
聞いた時はまだ、10代の時だったように思うので…その時は「なんのこっちゃ?!」というように思ったが…
今日思い出して改めて・・・「男はロマン」ということがしっくりきた。

そもそもロマンとは‥

・小説。特に、長編小説。
・ 感情的、理想的に物事をとらえること。夢や冒険などへの強いあこがれをもつこと。「ロマンを追う」「ロマンを駆り立てられる」
(goo辞書より)

ということだそうだ。
つまり、「男は長編小説」であり「男は感情的・理想的」であり「男は夢・冒険への強いあこがれを持つ」ものである、ということだ。これのどれも、今のぼくにはしっくり来ている。

よく、「事実は小説より奇なり」ということが言われる。
そう感じる事ももちろんあるし、いやいや、小説の方がやっぱり不思議な事がたくさんある、と思う事もある。
そうした中で、今日までの自分を振り返ると…平々凡々と生きてきたのか、それとも波乱万丈だったかはわからない。
わからないが…ただ一つ言えるのは、まだまだ書き終わらない物語の途中だ、ということだ。

ぼくはヒーローがとっても好きだ。
特撮番組はいまだによく見る。そして、夢想する。
舞台演出家なんてやっているのも、こうした夢想が好きだから、という一面もあると思う。
ヒーローが行う冒険、夢への挑戦へ強く憧れているのだ。

そしてぼくには夢がある。
その夢は一言で言えば「世界平和」なのかもしれない。
そして生きる目的もそれに近い。
ぼくという生き物が…どれだけ世の中に役に立っているかはわからない。
わからないが、今の生き方は、ぼくという生物にとって一番、役に立つ生き方を選択しているつもりだ。
とは言え、もっと役にたつ生き方があるのかもしれないが…
それでも、「ぼく」という生き物の「性格」「能力」「環境」を考えた時に、今の仕事・生き方が世の中の為に一番役にたつ、と思っている。

もちろん、この先・・・例えば明日。この生き方よりももっと役にたつ生き方があれば変えるかもしれない。
またはこの生き方を更に進めていくかもしれない。

なんだかんだ偉そうなことを書いてきたが…
ぼくに限らず、人は誰でも「これが一番良い」と思うように選択し、生きてきているものだ、と考えている。
もちろん、その中には失敗もあるし、うまくいったこともあるだろうし、今現在悩みを抱えていることもあるだろうし、毎日幸せな気分でいるかもしれない。
その誰でもが「今日はつまらない生き方にしよう」などと考えながら行動しているとは思えないのだ。
常に「今日もがんばろう」「今日も一番良い事を選ぼう」と無意識にでも思いながら生活しているはずだ。

だからこそ、失敗すれば悲しいし、成功すればとても嬉しい。
また、人がしている事も気になるだろうし、人から良い評価を受ければ当然嬉しくもなる。

人は何故か…一生懸命、良いと思ったことをしても…
結果失敗することもあるし、成功することもある。それはどうなるかわからないのだ。
それでも、更に自分が一番良いと思う生き方をしていくのだ。

誤解を恐れずに申せば、これだから「人間」の物語は面白いのではないか。
成功ばかりしているエピソードだけだったら、つまらない。
失敗ばかりしているエピソードでもまた、つまらない。
失敗し、成功し、また失敗し…色々な出来事があるから、「人間」の物語は面白いのであるのではないだろうか。

ぼくは一時期、「失敗はしたくない」と考えていた。
20代の頃はイケイケノリノリだった。(今もそうかもしれないが…)
30代前半の頃は…失敗を極端に恐れた。失敗したくないと思い続けた。
しかし、多くの失敗をした。
もちろん、「失敗しよう」となんて考えながらやったことはない。

40代に入り、色々な事を経験したし、させてもらってきた。
だからこそ感じるのかもしれないが…
失敗がたくさん詰まっていていた方が…面白いし、色々な局面に対応できることを感じている。

そして今。
「男はロマン」ということが妙にしっくり来ている。
ここまで書いて気付いた。「男」だけではない。「女」も「大人」も「子供」も「老人」も・・・『人間はロマン』なんだ。

劇的な事を求める必要はない。
自分が生きていく上で経験するすべては「小説」であり「感情」であり「冒険」であると思っている。
どんな仕事、どんな学問、どんな選択をしても『小説』は続くのだ。

ぼくは今書きかけの『小説』を進めている。
作者はぼくで、読むのもおそらくぼくだけかもしれない。
けれども・・・まだまだ終わらないし、これから更に章が増えていくように感じている。

そして、作者であるぼくも・・・どんな物語になるかわからないのだ。
ただ、自分の生きる目的について考え、それに近づくために生きる。
すると…その小説のページも章も・・・出来事が増えていく気がする。
ラストがハッピーエンドになるか、バッドエンドになるかもわからない。わからないが…生きる目的に近づいていくという意志だけは間違いない。

『人間はロマン』
年上のいとこが言った言葉とは少しだけ違うが…
今日、妙にしっくり来た言葉だ。
ぼくは、ぼくの「小説」を書き続けていく。

舞台演出家の武藤と申します。お気に召しましたら、サポートのほど、よろしくお願いいたします!