マネージャーはなにをしなければならないのか
ファンズ株式会社 CTO の若松(@yshnb)です。私の部門でもチームのマネジメントを担っていただいているマネージャーがおり、そうした中でマネージャーとして期待する役割について話す機会があります。
ところで、マネージャーがなにをするべきなのか?という点は、世の中を見るとそれなりに幅広い考え方があります。
そこで今回は、ピープルマネジメントの観点でマネージャーが担うべき役割について、自分なりの考え方をまとめてみることとしました。
マネージャーのミッションとは
マネージャーに求められるのは成果を出すこと
マネージャーのミッションは、シンプルに言えば組織として求められる成果を出すことです。
この点だけを踏まえるならば、マネージャー自身がプレイヤーとして成果をあげるという手段をとることもできます。ただし、プレイヤーとして出せる成果には限界があり、インパクトの大きな成果を出したり、継続的に成果を出すことは難しいはずです。
マネージャーによる個人プレーの限界
マネジメントする組織が2~3人のチームであれば、マネージャー自身がプレイヤーとして尽力することで組織に求められる成果を出すことができることもあるでしょう。
しかしより規模の大きな組織においては、その組織規模に応じたよりインパクトの大きい結果を出すことが要求されるはずです。
インパクトの大きな成果を出そうとした時に、仮にマネージャーがプレイヤーとなって成果を出そうとしても、1人のプレイヤーとして使える時間や体力などは有限であり、すべてを担い切ることはできないでしょう。
また継続的に成果をあげるという観点でも、個人プレーに頼っていては限界があります。時にはマネージャー自身がプレイヤーとして先導することが必要な局面もありますが、それはいざという時の手札として取っておくべきです。平時にはそのような手を取らずとも成果が上がるようにしなければ、継続的に成果を生むことは難しくなります。
メンバーに任せることは必要だが、ただ任せればよいわけではない
個人プレーではインパクトのある成果を生み出したり、継続的に結果を出すには限度があるという話を述べました。そうすると、解決するべき課題はメンバーに任せるということが必要となってきます。
それでは、解決するべき課題や業務をマネジメントするメンバーに任せることさえすれば、自然と期待する成果が得られるようになるのでしょうか?
期待する成果を得るためには、解決するべき課題背景や前提知識が必要です。課題背景や課題に取り組む上での前提知識なしでは、マネージャーが期待するような結果をメンバーの方々に出してもらうことは難しいでしょう。
任せられたメンバーがたまたま前提知識を理解していたり、自分で背景を汲み取り、期待通りもしくは期待以上の結果を得られることもあるかもしれません。しかし、その方法には再現性がありません。
また課題背景や知識以外の観点では、メンバーの能力や経験値に対し、明らかに難易度の高い課題を任せても、やはりうまくいかない可能性の方が高いと考えられます。
ただ任せるのはマネジメントとはいえず、任せるのに必要な情報を提供したり、それぞれのメンバーがどのようなことであれば取り組むことができるのかを見定めながら任せていくという行為が必要になります。
組織として求められる成果を上げるためにはマネジメントが必要
組織として成果を出すためには、自分だけが中心となって取り組めばよいわけでも、ただ任せればよいわけでもないということを述べてきました。
組織としてインパクトがあげられるような、継続的に成果を上げられるようにするためには、組織のメンバーが組織として必要な課題に取り組み結果を出せるように導く必要があります。個人的にはこのような過程こそマネジメントなのではないかと思います。
それでは、実際にマネージャーは何をするべきなのか?という点について、以降で述べていきたいと思います。
マネージャーはなにをすべきか
組織として適切な課題に取り組めるようにする
まずマネージャーに求められることは、組織として重要度の高い課題にメンバーが取り組めるようにすることです。個人としての成果が組織として評価されるものになるには、個人として結果が出せるようにすることだけでなく、組織内でも価値のある実績であると認められることが重要かと思います。
裏を返すと、メンバーが努力を重ねて課題を解決したとしても、組織として重要度の高くない課題であったり、解決のインパクトが小さな課題であると、個人の努力が期待通りに評価されるとは限りません。努力したこと自体は認められるかもしれませんが、結果を評価してもらうことは難しくなります。
組織のミッションと自己実現をオーバーラップさせる
自分は評価されなくていいからできるだけ好きなことをやりたい、という人もいるかもしれません。ですが評価されなくとも、少なくとも仕事として取り組むことである以上、企業目線ではその人に対しても報酬を払っているわけで、それでよいというわけにはいきません。
とはいえ、仕事を通じてできるだけ個人としての自己実現が図れることは望ましく、その方がモチベーションも高く取り組むことができ、結果として大きな成果を得る結果にもつながるものと思います。
このような場面では、課題の意義を適切に伝えることで、本人も気づいていなかった自己実現の達成につながることもあります。マネジメントするメンバーが期待することを理解して、うまく取り組む意義を感じてもらえるこようにすることも重要でしょう。
課題への取り組み方をサポートし、結果を出せるようにする
取り組む課題は適切でも、その課題を1人でうまく解決できるとは限りません。進め方のイメージがついておらずわからないというものもあれば、進め方はわかるがその課題に取り組むための知識がないなどさまざまなケースがあると思います。
こうしたときには、話を聞いて進め方がわからないのか?進め方はわかるが取り組むべき時間がないのか?など障害となっているポイントを理解し、メンバーが課題に取り組めるようにステップを分解したり、適切な道筋を示したりなどと、メンバーをサポートする役割が求められます。
またどうしてもメンバーが取り組むことが難しい場合は、代わりにやってくれる人を見つける、マネージャー自身が巻き取って進めることも考えられます。ただしそのようなアプローチは、メンバーの成長の機会を奪ってしまうことになる可能性もありますし、モチベーションが下がってしまうかもしれません。このあたりは得られるべき結果とのトレードオフですが、どのくらいチャレンジさせるのか、を見極めることも必要です。
間接的に障害となっていることをサポートする
課題の中には、チーム内でのコミュニケーションが課題となっていたり、意思疎通がうまくいかない場合などもあります。こうした局面では、マネージャーが介入してプロセスを整備したり、対話的にコミュニケーションのできる機会を設けることで、障害を取り除くということができます。
また、他部門とのやりとりやコミュニケーションで障害になっている場合、マネージャーという立場から、別部門のマネージャーと掛け合うことでやり方を調整するといったことが考えられます。
また課題解決の相談相手がおらずに閉塞感を感じている場合は、定期的に相談できる場を作り、コミュニケーションの機会を設けるといったアプローチができます。
そのほかにもありますが、こうした業務のさまざまな間接的な障害を潰していくことで、メンバーが取り組むべき課題に注力できるようにしたり、業務が円滑に回せるようにすることはマネージャーの役割の1つです。
マネージャーとしての役割を果たすために必要なこと
ここまでは、マネージャーがおこなうべきいくつかの役割について書いてみました。
ここからは、実際にマネージャーがその役割を果たすにあたって、いくつか必要となる要素を挙げてみます。
組織のミッションを他者に伝えられる水準まで理解しておく
まずは組織としてのミッションや期待値を、メンバーに対して適切に伝えられるように理解しておくことが必要です。
期待値をうまく伝えられないと、メンバーに対してやってほしいことを考える時に、適切に伝えることができず、組織として決して優先度の低い課題に対して努力をすることになってしまうこともあるでしょう。
結果として、努力したメンバーの成果が報われず、組織からはあまり評価されない可能性があります。こうした不幸な結果を起こさないためにも、組織のミッションを解像度高く理解しておくことは必要です。
メンバーとの間での信頼関係を築いておく
マネジメントされるメンバーから相談を受けたり、メンバーをサポートをするにあたり、信頼関係が必要なことは言うまでもないでしょう。
信頼関係がないと、そもそもメンバーから頼られることもなければ、メンバーのためを思ってのアドバイスだとしても、受け入れてもらうことが難しくなるかもしれません。
課題解決方法をある程度の解像度で理解しておく
この点は、自分自身がプレイヤーを経験してきたプレイングマネージャーや、そうでなくとも自分の経験分野の場合、問題にはなりづらいかもしれません。
ただし、感覚的にやり方がわかるというだけではなく、取り組むための要素を分解して人に説明したり、教えられるように体系的に理解しておくことは必要です。
またマネジメントするメンバーが自分と異なる分野の職能のメンバーである場合、その職能や業務に対して理解し、どのような形で業務をするのか理解しておく必要があります。現実的には実務に携わるメンバーの方が詳しいとは思いますが、最低限、話を聞いて課題が理解できるくらいの解像度では理解しておく必要があります。
メンバーが現時点でできること・できないことを理解しておく
組織のメンバーが現時点でできること・できないことを理解しておくことも必要です。
組織としてやるべきことをやるというのもその通りですが、そもそもメンバーの経験値やケイパビリティを見極めてアサインしないと、無理なアサインメントでメンバーとしても結果を出せずに苦しむことになり、組織としても期待した成果が得られなくなってしまいます。
マネージャー自身のセルフマネジメント
マネージャーとして求められる役割をこなすためには、まずマネージャー自身が心身ともに健康に保っておくことが極めて重要だと考えています。
マネージャー自身がそもそもほかのことに対して気を取られていると、マネジメントするメンバーの悩みに対しても十分に向き合うことができなくなってしまいます。
またマネージャーが忙しすぎるような状態だと、サポートのために十分に時間を割けなかったりすることもあるように思います。できるだけ余裕があるような状態を作っておくことで、メンバーの課題をサポートできるようにしておくことは重要だと思っています。
まとめ
今回はマネージャーがなにをすべきかというテーマで、個人的な考え方を書きました。
まとめてみるとあまり特別なことは述べていないように感じますが、現実のマネジメントもこれさえ取り組んでおけば OK といったものはなく、その時々に応じてやるべきことを愚直にやるのがマネジメントの実情のような気がしています。
また、今回はあまり職種によらない一般的な話を書いたつもりなのですが、世間的にはソフトウェアエンジニアのような職種の場合、営業のような数値目標が与えられている職種と異なり組織の評価軸と個人の取り組みを一致させることが難しいなど、もう少し違った角度の問題がみられるように感じていますので、そのうちそのようなテーマでも書いてみられればなと思います。
ほかにもいくつかの記事を書いていいますが、現在のところマネジメントの話が中心なので、前回までの記事もよければご覧ください。
最後に
恒例の内容ではありますが、人材募集についても触れておきます。
人材募集について
現在募集中のポジションについてはこちらです。もしご興味のある方は、ぜひご連絡いただけると嬉しく思います。
ファンズの採用に関する情報については、以下の内容もご覧ください!
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