楽しくて、悔しくて、胸が締め付けられて、笑顔がこぼれる。そんな10日間の学びの場づくりが終わりました。
昨年度から関わらせて頂いている、北海道上士幌町の中高生向けの期間限定の学びの場づくり、「夏のまなびの広場」事業を、7/26-8/6で実施して参りました。先生たちのご協力もあり、生徒達は例年の数倍参加してくれ、大盛況でした。
※昨年のかかわりでの気づきはこちら。
今年は、まちづくり会社さん、NPO法人いきたすさんから事業主体を引き継ぎ、株式会社あしたの寺子屋として初めての受託でした。
昨年度までと立場が変わって、自分のチームで本気で関わることができた現場だったこともあり、すごくすごく気付きや学びの多い現場でした。
「出会いに満ちた非日常を日常に接続する」というコンセプトのもと、上士幌の中学生・高校生を対象に、生徒達の世界を広げ、その世界に到達するための手段を一緒に考えたり伝えたりする時間を精一杯つくりました。
そのために、道内・道外の大学生を連れていき、ナナメの関係での対話・学習サポート・大学生の進路/人生の話・一緒にスポーツをしたり…。
コンセプトの為ならある種なんでもありな関わり方をする10日間を創りました。
手前味噌ですが、最高の場になったと思っています。
この現場は、僕らにとっても、まなびの広場事業にとっても、初めてのことばかりの場でした。
初めて、きよと・はっしー・やまちゃん・さき・しまといった弊社メンバーの多くが集結する場でした。
初めて、道内外の大学生が上士幌町に集結し、上士幌の中学生・高校生との対話を行う場でした。
初めて、上士幌町の地域の方々や、先生方にこの事業のお話をしたり、目にして頂ける場でした。
だから、たくさん反省することもありました。関係各所にご迷惑やご心配もおかけしました。力不足で申し訳ございません、という気持ちでいっぱいです。
だけど、教育委員会の皆さんが信じてサポートして下さったおかげで、生徒や本気で関わってくれた方々からポジティブな反応も沢山いただけました。
だからでしょうか。
久しく感じたことのなかったような感情になったり、これからのことを深く考えるきっかけをたくさん貰いました。
この気持ちを、早いうちにカタチにしておこうと思って、いまこの記事を書いています。
なので、この記事に役立つ情報は、あまり無いと思います。笑
それでも、どこかに残しておきたい気持ちが、ゆらゆらと、心に漂っているのです。
青色のジャージで帰路につく中学生を見ると「お、中3生かな?」と思ったり、
米を炊こうとしたら、当たり前に計量カップがあることに少し驚いたり、
ちょっと嬉しいことがあったら、ナイスゥー!と言ってしまいそうになったり、
そんな少しまでは存在しなかった、ささいな自分のなかのくすっと笑える変化が、元の日常に溶け込んでしまう前に。
出来事の振り返りと、これからについては、もう少し時間をかけてゆっくり書いていきますので、もう少しお時間下さい。
思った事①:自分たちの意志を"持ち"、"曲げずに"、"伝えぬく"ことに、僕は一緒に悩み、寄り添える大人になりたい。
「これは、どうやらわかってもらえていなさそうだ。」
「もしかしたら、これを伝えることは酷かもしれない。」
そう思って、沢山悩んで準備したのに、それでも言えなかった言葉たちが、僕には昔ありました。生徒に対しても、大人に対しても。
それは"優しさ"ではなく、"わかってもらえない可能性からの逃走"だったんです。
何か言葉を書けていたら、あの子は変わったのだろうか?
それとも、おれが言葉をかけなかったら、あの子たちはあんな表情にならなかったのだろうか?
そうやって後悔ばかりが思い出に残っていく。
子どもたちの笑顔よりも、陰った顔ばかりが頭に残ってしまう…。
今回の大学生の面々も同じ悩みを抱えてくれていたように感じています。
そんな大学生を上から諭すことはカンタンです。
笑顔も沢山あったよね!と置き換えることもカンタンです。
だけど、今回、弊社メンバーのきよとくん、やまちゃんはこんな言葉をかけるのです。
「おれは、間違っていないと思う。俺の経験から、強いて言うなら、こういう風に考えてほしい。」
「生徒の状態はおれらとの対話以外の色んな要因に影響を受ける。おれらは対話の結果じゃなくて、プロセスに最大限集中しよう。」
勝手に痺れました。なんだ、この声掛けは。
同じ高さから、同じボールを見て、一緒に創るものを描ける関係。
こういう場を、妥協せず創っていきたいんだと、自分の中で確信しました。
思った事②:チームを信じて、仕事を手放すこと。これがこんなにもワクワクすることなのだろうか。
今回の事業はきよとくん・はっしーに設計をゼロからお任せさせて頂いていました。
この事業の直前に、やまちゃんと「同じ課題に、それぞれ違う方向からアプローチして、価値を最大化できるチームを目指したいよね」なんて話していたのが、すぐに上士幌の地で現実化しました。
きよとくん・はっしーが描いてくれた絵が、現場で徐々に形になり、
大学生のメンバーがそれにたいして全力で向き合ってくれて、
やまちゃんや僕がそれらを事務的に支えていく。
弊社メンバーの香田さんは現地には居ないけれど、僕の個人的なワークショップ設計の悩み相談に乗ってくれたり。
ワークショップ講師の星さんなんて、毎日親身になってきよとくんが居なくなった後の現場にアドバイスくれたり…。
みんなで仕事をするって、こういうことなんだと思いました。
本当に感謝が自然と湧いてきます。
自分がやるよりも圧倒的にワクワクするミライを作ってくれるメンバーに出会い、実績ではなく、人柄で信頼して、自らの仕事を手放せた自分は、相当な幸せ者なのだと思っています。
思った事③:「君はひとりじゃない」、と声をかけられる強い人を、"ひとり"にしない。
大学生スタッフも、弊社メンバーも、とっても優秀なメンバーでした。
傍から見ると、きっと「すごいメンバー」です。
だけど、そんな人たちも悩んでいるのです。
「あの人は、こういうことができるのに、自分には出来ない」
「自分は、自分のこういうところが嫌いで…」
でも、そういう言葉を飲み込んで、自分が何か手を差し伸べられそうな人たちに対して、声をかけているんです。それは、僕自身も含めてかもしれません。
そういう人たちに、「きみはすごいね。もう十分頑張っているよ。」と声をかけたことはありませんか?僕は、あります。
そういう人たちは、そうして多くの人たちから、「あなたは別世界の人」と切り離されたような気持ちになる経験をしてきました。そうして、人に優しくできて、頑張れてしまう人が、どんどん"ひとり"になっていく。そんな人たちを僕自身も見てきましたし、自分もその一人でした。
今回参加してくれた大学生のひとりから、「同じことに一緒に悩める仲間ができたのが嬉しかった」と言われて、すごく納得しました。そして、すごく嬉しかったです。
"一個人として一緒に悩んでほしい。"
それは、何か目に見える課題やしんどさがある子たちだけでなく、すべての人に平等の気持ちだと思うのです。
すごい人、意識高い人、何かを頑張っている人、というカテゴリーから離れて、「それでいい。そんなきみがいい。いてくれるだけでいい。だから、一緒に考えよう」、と悩んでほしいのだと思います。
これは、贅沢な悩みですか?
「君はひとりじゃない」、と声をかけられる強い人にこそ、声をかけてあげられる人に僕はなりたいと思います。
思った事④:僕は、みんなに支えられ、どうやらこれから「社長」になるようです。
今回、僕は初めて「社長」としてこの事業に関わっていることを認識しました。(お恥ずかしい限りです。)
これまでも、会社の経営の責任者としての意識は少しずつ醸成してきたと思っていましたが、「社長」という立場についてすごくすごく深く考えました。生徒から「社長」って呼ばれたこともいいきっかけだったなぁ。(きよとくん、ありがとう)
我慢しきれずメンバーの前でも話してしまったのだけれど、「社長」という役割や、イメージとここ最近すごく戦っていました。それが自分の振る舞いや、感情に露骨に出た2週間でした。
もっと生徒の前に居たい、でも、いろいろな大人の方々に呼ばれていて、居られない。
上士幌以外の現場や仕事の確認やタスクもおろそかにできない。
大学生の話だってもっともっと聴いて、話していたいのに、すべてのことに中途半端に関わることは怖い、申し訳ない。
もっと「いま、ここ」に向き合えればよかったと悔しい想いをすることばかりでした。
だけど、町のメディアの方にお話したり、先生方と話したり、町長や教育長と今後の街の教育のことについてお話することは、きっと「社長」というポジションの人がやるべき仕事で、そしてそれは割と自分が上手にできる仕事だと思っています。
このチームなら、現場を任せて、自分がそういう仕事をすることで、もっとチームが動きやすい最高の環境ができる。
さらに、です。
この学びの場を、どうすれば他の地域にも広げられるだろう?
最高の学びの場を再現するには、どんなノウハウが必要だろうか?
こうやって、チームが最高に動きやすい仕組みや環境を創っていく「社長」の仕事は、極めて、地味で、生徒との思い出だって少ないかもしれない。
だけど、今回のメンバーのためになら、僕はそういう仕事を喜んでしたいと思ったのでした。やっぱり感謝です。
こうして、僕はみんなに「社長」にしてもらっているのだと思います。
だから、感謝しかないんです。
この気持ちの振り返りの締めに、いい言葉が見つからないことに、いますごく困っています。
だから、お礼で締めくくろうと思います。
上士幌町の皆さん、士幌町でお話した皆さん、この事業について色々と相談させてもらった皆さん、ワークショップ講師を引き受けて下さった星さん、
そして、
あしてらメンバーのきよとくん、香田さん、やまちゃん、はっしー、
今回一緒に最高の場を作ってくれた、さきちゃん、ななみん、こは、うらら、えんた、たっつー
ありがとうございました。大好きです。
また冬に会いましょう!