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コロナウイルスについて海外在住日本人に聞いてみた「欧州で日本人はどれほど差別されてますか?」

こんにちは、株式会社トラベロコの椎谷です。

今年に入ってコロナウイルスの問題で日本国内は大変な状況になっていますが、2月11日の現在も問題は進行中で収まる気配がないですね。

先週、東京出張で銀座を通る機会がありましたが、今までは目抜き通りのブランドショップや百貨店に多くの外国人(特に中国人)の観光客がいましたが、想像以上に閑散としていて、今回のコロナウイルスによる国内でのインパクトの大きさを実感しました。

今回の「コロナウイルス問題」はインバウンド(訪日旅行など)への影響は甚大だとは思います。一方、海外に目を向けると、中国人を含め東洋人が人種差別にあうと言った話もあるようです。

しかし、ニュースになる情報は得てして過剰な方向に振れる場合もあり、マスメディアもSNSもどうしてもマイナス面だけを強調しがちだと思っています。

以前、パリでUberに怒ったタクシー運転手がストをして街中が大混乱になったというニュースがありました。その時は、Uberに乗ると利用者でも襲われると言ったトンデモ話さえあったくらい日本国内での報道も過熱していたと記憶しています。

我々が運営している「ロコタビ」というサイトでは、現地在住日本人(ロコ)に無料で質問ができる公開Q&A機能というものがあります。そこで、その当時現地在住ロコに実際の状況を質問してみました。

回答結果は、殆どが日本国内で報道されているような話とはだいぶ状況が違い、現地でのストは一部でほとんどのエリアは問題なく、ストの当日も普通にUberに乗ったという人もいたということでした。

そこで今回、コロナウイルスの影響を受け、欧州における「アジア人差別」に関する現地の状況を公開Q&Aで質問するユーザーが増えてきたので、日本国内の報道やSNS上の情報との事実確認や違いを、現地在住ロコの回答を通してご紹介したいと思います。

「コロナウイルスのアジア人差別」に関する最新情報はこちらで更新しています
※ほとんどの回答が長文のため、文章を抜粋して記載します。詳細はURLよりご覧ください。

パリの現地情報

<質問> ※2020年2月7日の投稿
2月下旬から3月の初めごろまでフランス旅行に行く予定があります。コロナウイルスによるアジア人差別があるのかどうか、現地の方から見てどんな感じになっているのか気になっております…(略)

<パリ在住日本人の回答>

「コロナ・ウイルスの影響に付いてですが、結論から申しまして、先ず大丈夫でしょう。また、ご心配されてますアジア人種差別など、何処にもありません。フランス国内は通常と変わらず、至って平静です。更に、人種差別は法律違反となる国ですし、日常から根拠もなく差別する習慣もありません。」
(男性/60代|居住地:パリ郊外/フランス)
「個人的には日本人だからという理由で優遇された経験は数えきれないほどありますが、乗車や入店拒否など、された事がありません。パリのような大都会でそんな人種差別があったら大問題だと思います。」
(女性/40代居住地:フランス/パリ)
「コロナウイルスによるアジア人差別があると報道されていますが、実際に生活していて、この所為で差別がある様に感じた事はありません。場所によるのかも知れませんが、旅行にいらしても問題ないのではないかと思います。素敵な旅行になります様に。」
(女性/40代 居住地:ルヴァロワ ペレ(パリ郊外))
「コロナウィルスの件で、日本では根拠のない余計な風評が広がっているみたいですね。そんなことは全くありませんので、ご心配なく。ただ、マスクをしていると、ギョッとされます。というのは、こちらでは、防御のためにマスクをするという考えはなく、マスクをしているのは、何か悪い病気(=ウィルス)を持っている、と思われるからです。」
(女性/60代居住地:パリ/フランス)
「私は個人的に、コロナウイルスによるアジア人差別を全く感じていません。旅行者の方々がコロナウイルスで困るような状況ではありません。それよりも土曜日のイエローベストデモの方が、旅行者の方々には、若干影響があるように思います。」
(女性/60代 居住地:パリ フランス)
「私自身は毎日のようにタクシーも乗っていますし、買い物もしていますが、現時点までにコロナウィルスによると思われる差別を受けた事はありません。報道されるからにはそういう事実は存在すると思いますし、実際日本人ではないですが、中国人に対する実例を耳にしました。あくまで1つの例で決して全てがそうではありません。場合によってはそういう事もあり得るくらいに思っていただいた方がいいと思います。」
(女性/50代居住地:パリ)
「私も、自分の周りの情報としてしかお伝えできないのですが、少なくとも私自身はコロナウィルスによる差別等の変化は感じていません。友人はタクシーに乗せてもらいづらかった、とのことですが、そういうことは今に限らず、パリにはよくあることなので…。」
(女性/40代居住地:パリ/フランス)
「正直、現地で住んでいる所、全くそのような、差別は感じていません!私のインスタでもDMで質問される方が結構いらっしゃるので、日本での報道は結構されているのでしょうが、こちらで住んでいる限り、全くそのような差別を感じないので、お気になさらず、旅行にいらっしゃって、大丈夫かと思います!」
(女性/20代居住地:パリ/フランス)

>回答全文(13人回答)はこちら

フィンランドの現地情報

<質問>2020年2月7日の投稿
3月の上旬にヘルシンキ、タリン、ロヴァニエミに行こうと計画をしているところです。しかし、コロナウイルスの影響でアジア人への差別があると聞いて行くかどうかを悩んでいます。ここでお聞きしたいのは、現地に住んでおられる皆様の感覚として、この状況で旅行することは危険でしょうか?助言をいただけると幸いです。

<フィンランド在住日本人の回答>

「ご質問の件は全くの思い過ごしです。ホテルの対応や市民感情に問題ありません。ご安心ください。。」
(男性/70代居住地:ヘルシンキ、フィンランド)
「問題なく旅行できます。アジア人は見分けるのが難しいので間違えられることはありえますが大丈夫でしょう。ただ普通の風邪も流行っているので手洗いうがい等こまめにして下さい。暖房で室内も乾燥しているのでその対策も考えたほうがいいでしょう。」
(女性/50代居住地:フィンランド)
「今のところ差別を受けたことはありませんので、あまりご心配なされなくても大丈夫かと思います。」
(女性/20代居住地:タンペレ/フィンランド)
「今、フィンランドにご旅行されることで危険を感じられることはないと思います。フィンランドの景色や情緒がご旅行の目的であれば、十分お楽しみいただけると思いますよ。しかし、現地の人が、今、用心してアジアのビジターを遠巻きにする傾向があることは事実なので、現地の人とのふれあいを重視されておられる場合は、残念な思いをされるかもしれません。」
(女性/40代居住地:トゥルク/フィンランド)
「コロナウイルスの影響でアジア人への差別はありません。危険なことは全然ないので安心して旅行の準備をなさってください。Rovaniemiではオーロラが観賞できるかも知れませんよ!」
(男性/70代居住地:ヴァンタ-)
「ヘルシンキとタリンで、差別を感じた事はないです。」
(男性/50代居住地:ヘルシンキ)

>回答全文(9人回答)はこちら

ローマの現地情報

<質問>2020年2月10日の投稿
再来週にローマ訪問を予定していますが、コロナウイルス発症に関連してイタリア行を控えた方が良いのか迷っています。今のところ入国拒否情報はなく直行便も飛んでいますが、ローマ市内のレストランやタクシーで日本人(アジア人)として拒否をされたり嫌な顔をされたりはありませんでしょうか?

<ローマ在住日本人の回答>

「コロナウィルスのアウトブレイクから何回か空港や市内の地下鉄、電車、レストランなどを利用していますが差別的な扱いを受けたことはありません。乗車拒否されたことや、レストランの入店を拒否されたこともないです。もともとイタリアの人は愛想がよく、基本的には差別的なことをする人たちではないと思います。一部、差別的なハラスメントを受けた人のことがニュースになっていますが本当にごくごく限られた人々のことだと思います。」
(男性/30代居住地:ローマ)
「私はローマに住んでいますがローマ市内は全く普通ですよ。歩いていても軽蔑されたり、変な目で見られたりなんかは全くないです。」(女性/40代居住地:ローマ)
「ご安心ください。マスクをしているアジア人は少ないです。イタリア人感染者も発生していないので、普通です。日中は、暖かく春のようです。」
(女性/50代居住地:ローマ)
「今のところ、マスクをしている人もいませんし、特にに普段と変わりはありませんよ。」
(女性/50代居住地:ローマ)

>回答全文(4人回答)はこちら

バレンシアの現地情報

<質問>2020年2月5日の投稿
2月末に7歳の息子とバレンシアを旅行する予定です。ただ、ここ一週間ほどでコロナウィルスの感染拡大のニュースとともに、ヨーロッパのいくつかの国でアジア人に対する差別のニュースなども聞き、すこし心配になってきました。できれば決行したいのですが、バレンシアの雰囲気がアジア人お断り的な感じであれば困ったなあと思い、こちらでお尋ねすることにしました。

<バレンシア在住日本人の回答>

「小学生の息子と娘がいます。 ご心配されるほど、差別はありませんが、学校でときおりふざけて コロナウイルスーとこは言われるみたいです笑 特に入場拒否とかそんなレベやらではないです。マスクしてる人は病院以外でみたことありません^^; わたしの意見ですが、旅行者にはなんら問題ないとおもいますよ。」
(女性/30代 居住地:スペイン バレンシア)
「ニュースでは見聞きますが、差別的なことを耳にしたことは一度もないです。むしろこちらは春になりウィルスからはどんどん遠ざかっている気がします。。3月に火祭りが始まるため、科学博物館で火祭りの人形の投票が始まっています。色んなキャラクターが登場するので小さいお子様がいらっしゃるなら人形に投票されるのも楽しいと思います!」
(女性/30代居住地:バレンシア)
「全然welcomeです。私も最近一時帰国からこちらに戻りましたが、バルセロナ空港の職員の方は流石にマスクしていましたがバレンシア空港では皆無でした。こちらにきたら風邪引いてないならばマスクはなるべくしない事を勧めます。」
(女性/40代居住地:バレンシア/スペイン)
「私や他の日本人の友人もバレンシア中心街、中華街、病院など公共機関など行ったりしていますが、 まだコロナウイルスなどの差別を受けたことはありません。 ただ他のスペインの地域では、差別を受けたという人もいるため、バレンシアも絶対にないとはいいきれません。」
(女性/20代居住地:スペイン/バレンシア)

>回答全文(4人回答)はこちら

正確な現地情報がどこまでも大切と実感

今回の「コロナウイルス問題」に関するニュースや世の中の動きを見ると、2015年に起こった「パリ同時多発テロ事件」の事を思い出します。

当時、多くの日本人がテロ事件を理由にフランスだけでなくヨーロッパへの渡航を中止し、その後日本人のヨーロッパ旅行が半減し、日本人相手の旅行関連業者が大きな打撃をうけ、長い間その低迷から抜け出せなかったことがあります。

我々が運営している「ロコタビ」でもすでにサービスの申込みを完了し、あとは現地に行くだけというユーザーも多くいましたが、なぜかキャンセルに発展することはほぼ無く、大きな影響はありませんでした。

当時の話を現地在住ロコに聞いたところ、彼女は旅行会社からの仕事も請け負っていて、テロが起こった時は全ての仕事がなくなったそうです。しかし、「ロコタビ」で予定していたサービスはほとんどキャンセルもなく予定通りにユーザーに提供できたということです。また、その後もロコタビ経由でのサービス依頼は継続してあったため、大変助かったと話していました。

なぜ、ロコタビではキャンセルもなく、通常通りにサービス利用が継続されたのか、詳しい状況を複数のロコに聞くなどして理解したことは、「メディアやSNSなどの情報は事実かもしれないが、正確な情報であることは少ない」ということでした。

ロコタビではサービスの提供前に、ユーザーとロコ(サービス提供者)との間でメッセージのやり取りを行います。その際、実際に現地在住のロコからユーザーが必要な現地情報が共有されるため、メディアやSNSなどで報道されている情報は現地の事実の一部であり、ユーザー個人にとってはすでに関係ができている現地在住ロコが持っている情報のほうが正確で、信頼できるのです。

そのため、メディアやSNSで世間が不安を掻き立てられていたとしても、ユーザーはロコからの正確な情報を元に、自分の責任において現地に行くという判断ができるようになった結果、ロコタビでのキャンセルがほぼなかったということだという理解になりました。

逆に、現地状況次第でロコから危険情報を教えられたりする場合もあります。トルコでのテロ事件の際は、現地在住ロコ側がキャンセルを申し出たり、テレビでよく取り上げられるフィリピンのある地域に行こうとしていたユーザーを全力で複数のロコが止めたりといったこともありました。

Q&A回答から言えること

今回、コロナウイルス問題によって「ヨーロッパで日本人が差別されている」という情報についてロコタビのQ&Aに投稿された複数の回答をまとめてみました。

投稿されたQ&Aをみると、現地に訪れる日本人観光客(質問者)は差別に対する不安感がある一方で、現地在住の日本人ロコの意見の多くは「差別は感じない」といった回答。一部の報道により日本国内でのイメージが肥大化し、現地のリアルな意見とのギャップが生じることの危険性を感じる結果になりました。

ただ、実際に実例もあることからも、「差別はない」と断言するのも難しい。
そして、コロナウイルスの影響はリアルタイムで進行しているため、今後も状況は変化していくと考えられるからこそ、メディアやSNS上の情報を鵜呑みにせず、正確な情報を得ていくことが必要になると思います。

ロコタビ」は2020年2月現在世界171カ国2,439都市在住日本人(ロコ)が5万人以上登録しているWEBサービスです。現在進行している現地問題の状況を彼らに質問したり、個人的な不安を相談することもできるので、これから海外に行かれる予定の方は、まずはQ&Aを使って正確な現地情報を知ってから出発してみてはどうでしょうか。


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