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[生きづらいひとの本棚] 「ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に暮らすための本」

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只ぼんやりした不安

なにか生きづらさを感じている場合の多くは,なんともいえない只ぼんやりした不安をもっているとだろうと思います。

過去のことがよく思い出せないひとも多いのかもしれない。感覚としては,思い出せないというよりは,思い出すことをストップしている感覚。

こういう状態を心理学では,自伝的記憶の概括化 (OverGeneral autobio- graphical Memory:OGM) といって,研究が進められています。研究のレビューは以下の松本先生,望月先生のレビューをごらんください。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjpr/55/4/55_459/_pdf/-char/ja

自伝的記憶の概括化というと,呪文みたいで,頭にはいってこないので,この記事では,過去の記憶がぼんやりしたものになること読み替えて話を進めます。

うつ傾向とぼんやりした記憶

冒頭にいきづらさを感じているひとのおおくは,ぼんやりとした将来の不安をもっていると書きましたが,ぼんやりしているのは将来の見通しだけではなくて,過去の記憶もまたぼんやりしている場合があります。

特にうつ傾向のあるひとです。

みんなが楽しそうに笑って,休み中の出来事を話し合っている。ああ,楽しそうだな。そういえば,僕,最近,なにか楽しいこと,あったかな。あれ,なんだか,最近もそうだし,過去もぼんやりしている。

あれ,自分,なんだかぼんやりしているなっていうことありませんか?

こういうぼんやりした状態は,例えば,大うつ病性障害,心的外傷後ストレス障害の方にみられることがあります。こういう感情障害をもっているひとに,例えば,2週間以上前の楽しいことを思い出してくださいとお願いしておも,感情障害のないひとに比べて,なかなか楽しいことが思い出せないという研究報告が多くあります。

こういう状態は,とても困りますね。

ぼんやりした記憶との付き合い方

困ったとき,私たちはどうしているか。過去,同じように困ったとき,自分はどうしていたか,そのエピソードを記憶中から検索します。教科書を忘れてた。あ,前はとなりのクラスの子に借りたな。よし,借りに行こう,とか。

でも,過去の記憶が具体的に思い出せないでぼんやりしていたら,困ったことへの対処方法が見つかりません。トラブルは解消されませんし,不安も消えません。こういう不安が現在のあるいは将来のぼんやりとした不安につながっているということは十分にあることかも知れません。

実際は記憶がぼんやりしているわけではなくて,記憶が想起されないように抑制しているメカニズムがあるのではないかと思いますが,とにかく,こういう困った状態を抜け出さないとなりません。

どうするか。自分の記憶が頼りにならなければ,ひとから学ぶしかないです。

わたしたちはいろいろと「ふつう」のひとが「ふつう」にしていることができなくて困っています。例えば,つぎのようなこと。思い当たりませんか?

  • 定期試験で図形のテスト勉強をしているつもりが,いつの間にかピタゴラスの定理の証明に夢中になっていた。

  • 試験勉強で得意な科目の勉強をしていると,気づくとその科目ばかり勉強してしまっていた。

  • 毎日英単語を10個覚えようと思っても,1日も続かない。

  • 毎日学校に遅れないでいこうと思っても,いつも昼までねている。

  • わからないことがあっても,質問することが怖い。

  • 机に20分以上すわっていると,そわそわして,足がむずむずする。

  • メモをしても,メモがなくなる,

  • 授業中,気づくと,30分くらい経っている。

  • ひとが話していたり,笑っていたりすることが耐えられない。

  • なんでも明日しようと思う。そして,なんにもしない。

  • 道に迷う。経路を調べようと思っていても,調べない。

  • 雑談がしんどい。

  • 目的のない集まりがしんどい。

ぼんやりした記憶のひとは,自分が上のような状態になることにもなかなか気づかなかったりします。他のひとがどういうことで困っているか知ることで,あれ?おれと同じだ!と気づくことも多いでしょう。ですから,困ったときは,他の人がどうしているのか,知るということがとても大切なことです。

しかし,自分がそういう問題で困っていると自覚できたとしても,こういう問題,なかなか相談できませんよね。

「それは社会人としてどうなの?」とか「やる気の問題でしょ」とか言われそうです。絶対,言うでしょ。

ぼんやりした記憶におすすめの書籍

そういうときは,本に頼ります。人に頼るのは後でいいか。

この本は,上に書いたことができなくて困っているひと,別に発達障害のひとだけじゃなくて,誰にでもあてはまるものだと思うのですが,そういう困ったことに,どう対処するか,細かく書いてあります。

とにかく,なんだか困っているひと,生きづらさを感じているひとの多くは,ぼんやりとした記憶をもっていることが多いので,自分のなかから答えや対処法を探すのはとりあえずやめて,ひとから学ぶのがいいと思います。

本をひらけば,あ!わたしと同じひとがいるんだ。え!こういうふうにしているんだ!なるほど!と必ず思うでしょう。

あー,しんどーと思っているひとは,一度,手にとってごらんになられたら,もっと楽になるかも知れないです。

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