mic drop(マイク落とし)ってどういうこと?
▼2020年度慶應義塾大学商学部第2問で出題された英文の中に,次のような一節がありました。
Unfortunately, the world tends to drive things faster and faster, with shorter and shorter attention spans meaning that we are under pressure to convince people in 280 letters, or in a brief comment accompanying an amusing picture, or in a clever one-liner ― correct or otherwise ― so someone can declare "mind = blown" or "mic drop."
(残念なことに,世の中は物事をどんどん速く突き動かしていく傾向があり,注意力の持続時間がますます短くなっているということは,280文字で,あるいはおもしろい写真に添えられた短いコメントで,あるいは気の利いた1行のことばで―正確であろうとなかろうと―誰かが「度肝を抜かれた」とか「 」と宣言するように,私たちが人々を納得させなければならないというプレッシャーのもとにいるという意味である。)
(出典:Eugenia Cheng, The Art of Logic: How to Make Sense in a World that Doesn't, Profile Books, 2018,太字引用者)
▼この "mic drop" という表現はどういう意味でしょうか。Cambridge Dictionary では以下のように定義しています。
an act of intentionally dropping a microphone after you have given a speech or performance, as a way of making an impressive ending
(印象的な終わりを生み出す方法として,スピーチやパフォーマンスを行った後でマイクを意図的に落とす行為)
▼これは「スピーチの出来が最高だったから,もう誰も話す必要がないのでマイクを下に落とす」という意味のようで,この言葉を誰が使いだしたのかはわからないのですが,オバマ元大統領もこのようなパフォーマンスを行っています。マイクは精密機械なので,落してはいけないのですが…(;´・ω・)
▼この Wikipedia によると,この表現は,1980年代にラッパーやコメディアンが使って流行したそうです。
▼Ngram Viewer によれば書物での初出は2001年頃のようです。
▼"mic drop" を訳すとしたら,自分のスピーチの最後に「もうこれ以上誰もしゃべらなくても良い,誰の言葉もいらない」という意味で用いているので「最高だろ」とか,「決まったね!」といった訳語あたりがしっくりくるのかもしれません。あるいは,ちょっと卑俗な言い方だと「ドヤァ」あたりがぴったりかもしれませんね。
▼ちなみに,韓国のミュージシャン,BTS(防弾少年団)の "MIC DROP" という曲は,オバマ大統領のパフォーマンスにインスパイアされて作られたものとのことです。
▼というわけで,今日は "mic drop" という表現について紹介しました!
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