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Who is Mary Fanto?

▼Netflixで10月から公開されている『アメリカンバーベキュー 最強決戦!』(原題:American Barbecue Showdown)というリアリティーショー番組を観ました。

▼8回のエピソードの中で毎回出される課題(というよりもはや無理難題w)に対し,全米から集まった8人の腕自慢のバーベキュー職人(pitmaster)たちが挑み,毎回1人ずつ脱落していくという番組です。審査員も含め,登場人物一人一人が非常に個性豊かで,いつの間にか引き込まれてしまいました。

▼3年前,ニューヨークを訪れた際,たまたま飛行機の中でこれと似たような料理対決番組を観て,初めて気づいたことがありました。それは,アメリカにおけるバーベキューとは,日本人が考えるような「屋外で肉などを焼くこと」ではなく,一つの料理のジャンルである,ということです。というのも,その番組では「バーベキュー料理店を経営している腕利きシェフ」たちが腕前を競い合っていたのですが,それを観て「あれ?バーベキュー料理店なんてあるの?」と思い調べてみたところ,バーベキューが一つの独立した料理のジャンルとして確立しているということを知ったのです。ですから,「お好み焼き屋」「焼肉屋」「うどん屋」といった店と同様に「バーベキュー料理屋」があるのは当たり前のことだったのです。

▼マンハッタンのスーパーに行った時も,バーベキューソースのコーナーには様々なソースがずらりと並んでいました。それはまるで,日本のスーパーで様々な種類の醤油やソースが並んでいるのと同じ感覚で,それほどまでにアメリカ人の生活にはバーベキュー料理が根付いているのだ,と気づかされました。

▼だからこの『アメリカンバーベキュー 最強決戦!』に登場する参加者たちも皆,自分のバーベキュー料理に並々ならぬ自信を愛情を持ち,バーベキューこそ自分のアイデンティティであるかのようにふるまっています。彼らに対するインタビューで出てくるコメントがこれまた自信過剰気味なものばかりで,日本の料理番組でこんなセリフを言ったらきっと似合わないだろうな,と思いました(笑)。

「医者がいてよかった。このソースでみんなぶっ倒れる」
「俺はBBQの世界でベスト10の1人に入る」
「俺の血液は『甘いBBQソース』かもな」

▼ところで,毎回のエピソードの最後に流れるエンドロールの冒頭に,このような文言が表示されました。

"In Memory of Mary Fanto"
(故メアリー・ファントに捧ぐ)

▼「メアリー・ファントって誰だ?」と思ったので調べてみたところ,『アメリカンバーベキュー 最強決戦!』の制作にもかかわっていた放送プロデューサーとのことでした。

▼1971年生まれで,2019年12月に(おそらく心臓発作で)急逝したようです。彼女の Facebook と Twitter のアカウントがまだ残っていました。

▼これだけ素晴らしい番組を作っていた方が,まだ若いのに亡くなられたのは実に残念です…。

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