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要約問題解法研究①

「『桃太郎』を15文字以内で要約しなさい」

▼要約問題が苦手だ,という受験生は多いと思います。では,そもそも,要約とは何をすることなのでしょうか。

「そんなのわかってるよ。文章を〈まとめる〉ことだよね?」

▼その通りです。しかし,問題は「どこまで」まとめるのか,ということです。そのことに気づいてもらうために,要約問題を扱う最初の授業で私がよく受験生の皆さんに尋ねる問いがあります。それは次のような問いです。

「『桃太郎』を15文字以内で要約しなさい。」

▼そう尋ねると,たいていの生徒さんは「桃太郎が鬼退治をした話。」(12文字)とまとめてくれます。はい,正解です。では,どのような思考プロセスを経てこのまとめを行ったのでしょうか。

「そりゃ,たった15文字以内なんだから,不要な情報をどんどん削っていって残ったものをつなげるしかないよね。」

▼もちろん,その通りです。しかしここで考えねばならないことがあります。それは,そもそもなぜ「不要」という判断がなぜできたのか,という問題です。なぜ「おじいさん」「おばあさん」「桃から生まれた」「犬」「猿」「雉」「きび団子」「鬼ヶ島」などの情報が削られたのでしょうか。

▼ここでポイントになるのが「15文字以内」という文字数の指定です。もしこれが「50字以内」でしたら,たとえば次のような解答になるでしょう。

「川で発見された桃から生まれた桃太郎が,きび団子を使って犬,猿,雉を家来にし,鬼ヶ島の鬼を退治した話。」(50文字)

入試問題における「要約」とは

▼入試問題では通常,要約するための文字数が指定されています。だとしたら,入試問題における「要約」とは,次のように定義することができるはずです。

「指定された文字数に応じて,文章に書かれている複数の情報の重要度を比較したうえで取捨選択し,まとめること。」

▼ですから,「『桃太郎』を15文字以内で要約しなさい」と言われた場合,当然ながら主役である「桃太郎」という情報は外せませんし,最終的な結論として「鬼退治をした」という情報も外せないでしょう。逆に,50文字,100文字と文字数が増えていけば,それだけ含められる情報も増えます。だとすれば,要約の勉強をする際に大切なのは「指定された文字数に応じて情報の重要度を見極めること」にほかならない,ということになります。志望校の過去問題を通じて,何文字程度で要約する課題が出されているのかを把握し,それに応じた練習をする必要がありますし,万が一,字数が変更された場合には,それに対応できるように他の文字数でも解答を書く練習をする必要があるでしょう。

▼よく「要約の練習のために新聞の社説などを要約する」という練習をする人がいますが,文字数を決めずに闇雲に要約しても意味がありません。100字以内の時と200字以内の時とでは,含めることができる情報の量に差があります。ですから,たとえば1つの文章を100字以内と200字以内で要約して書くべき情報の違いを比較してみる,というように,一定の字数を決めたうえで情報の取捨選択を行う練習をする必要があります。

要約対策問題集

▼英語の要約対策問題集については,定番の問題集として以下の本を紹介します。初版が1988年発行のため,英文の内容はやや古めですが,要約問題の視点を段階的に養うのに適した問題集です。

今後の予定

▼今後,この note の有料記事として,英文の要約問題とその詳細な解説を付した「英文要約問題解法研究」を少しずつアップしようかと考えています。まだ検討中の段階ですが,アップした暁にはご利用のほど,よろしくお願いいたします。

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