商社にお酒は必須なのか?

サラリーマンと言えば、お酒。古いかもしれないが、ネクタイを頭に巻いて土産の寿司を持って千鳥足で鼻歌なんか歌いながら、家族が寝静まった家に帰る。これが筆者が小さい頃に抱いていたサラリーマンのイメージだ。(筆者の父がそうだった訳ではない)

特に商社と言えば、「飲み会すごいでしょ?」とか、「お酒強いんでしょ?」などとよく言われ、一般的にも酒酒&酒というイメージが強いのかもしれない。それは間違ってはいないが、正しいとも言い切れない。もちろん、商社の人は酒好きが多いのは事実。ただし、全員が全員そうではないし、昨今のセクハラ、パワハラ、アルハラなどのハラスメント類に対する糾弾が社会全体で強まっていることから、さすがの商社も問題を起こさないよう、経営層はかなり敏感になっている。

前々回の記事にも書いた通り、商社は小さな会社の集合体のような存在。部門、部署によって文化は全く異なり、業務も、業務外もお作法は多岐に渡る。要するに、お酒を飲む部署もあれば飲まない部署もあるということだ。

筆者が聞いた話では、お客さん次第では昼から接待という名で大量のお酒を飲まされる業界もあれば、先方の決裁者がお酒が嫌いだからという理由で接待飲み会は一切ない業界もあるという。それは部署も同じで、酒好きが集まれば飲み会は盛んだし、そうでなければ機会は限定される。

商社パーソンだから酒が飲めなきゃいけない。広告パーソンだから酒が飲めなきゃいけない。海運業だから飲む、IT企業だから、国家公務員だから飲まない、ということはない。あくまでも社内外でどんな人と一緒に仕事をしているかによって酒事情は大きく変わるものだ。決して酒に限った話ではないが。

結局のところ、飲めなきゃいけないのか、飲めなくてもいいのかという話に戻そう。酒が飲めなきゃ仕事がうまく進まないのか、という問いに対する答えはNOだ。実際、商社に勤めていながら酒が一滴も飲めないという社員もいた。しかしながらその人は仕事は効率的、且つ的確。そして何より人付き合いもうまく、酒を飲めないなりに人とのコミュニケーションはうまくやっていた。

つまりは、酒に限らず、適材適所があり、酒が飲めて身体を張れる人は体育会系の部署で、体育会系のお客さんを相手に商売をするのも良し、そうでないなら違う輝き方のできる部署で自分に適した仕事をすれば良いだけなのだ。もちろん会社としても各社員を最も効率よく働かせるために、それぞれに適した部署に配属し、適した仕事を割り振るよう考慮をしている。

最終的に筆者が何を言いたいか。それは、酒が飲めないからダメ、体育会系じゃないからダメ、英語が喋れないからダメ、といったような既成概念に囚われ、自分の選択肢を狭めてはいけないということ。また、裏を返せば世間一般のイメージや、少人数から得た情報だけを鵜呑みにして自分に適していると過信することも間違っているということ。

ああいう仕事がしたいとか、こういう仕事がしたいという気持ちは最大限尊重して職種選びはして欲しいが、次のフィルターとして「どんな人と仕事がしたいか」を持って欲しい。それすら理想と現実のギャップは生まれてしまうかもしれないが、より広い視点を持って取り組むことが、最良の結果を生むために必要だと、筆者はそう考える。

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