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憧憬を探る

✏︎ この記事は「ReDesigner for Student 後輩に贈るデザイナー就活応援 Advent Calendar 2023」13日目の記事です。

はじめまして、京都市立芸術大学総合芸術学科のヨシダです。
来年の春からIT系事業会社でデザイナーとして働く予定です。

12月も中旬、いよいよ2023年も幕を閉じ始めようとしています。この時期に去年の自分がどう過ごしていたかを思い返すと、すごく漠然とした不安や焦燥感に苛まれていた記憶があります。ポートフォリオのブラッシュアップや面接対策など「やらなければいけないこと」に追われ、自分が「なぜ就活をしているのか」がわからなくなっていました。

そのような経験を踏まえて、この記事では自分の就活を振り返りつつ、就活とはなんぞやという問いについての考えをつらつらと綴ってみます。


就活を振り返る

自分は他の人と比べても長い時間就職というイベントに向き合ってきたのではないかなと自負しています。実際に就職を意識し始めた時期がいつなのかと問われると、大学1年の5月頃から。ここだけみると、アホほど意識の高い努力家な学生のようですが、実際はそんな前向きでかっこいいものではありませんでした。

はじまりは劣等感と邂逅から

必死に受験勉強に取り組んだ結果合格した大学でしたが、いざ入学してしばらく経つと、大学で専攻している学問や分野に対して周りの学生と自分とのギャップに焦りを覚え始めました。これまで自分のアイデンティティであると信じきっていた「アートが好き」という気持ちがこの環境においては皆が当たり前に持ち合わせているものであること。しかも自分より技術や知識だけでなく圧倒的な熱意を持って日々学んでいる人が山ほどいるという事実にとてもショックを受けた記憶があります。

ショックを受けるパンダ

じゃあ、アートじゃないなら自分が熱意を持って楽しく取り組めることってなんなんだろう。
その問いを抱えてからは自分が楽しいと感じ、のめり込むことができる何かを見つけたいという思いから、がむしゃらに色んなことに取り組むことにしました。大学の授業はもちろん真面目に取り組みつつ、それ以外にもCG制作やイラスト、エディトリアルデザイン、プログラミングなど。自分が少しでも興味を持ったことに対しては、とりあえずやってみる精神でなんでもチャレンジしていました。

考えるパンダ

そんな中、偶然出会ったのが「UIデザイン」です。クリエイティビティに対して大きな劣等感が芽生えていた私にとって、課題を解決するために論理的に情報を整理し、設計を考え、形にすることで表現できる喜びや達成感は、新たな世界を開くものでした。(加えて、「デザイナー」って響きがなんかカッコええやん…というバカみたいな考えも後押しし)この頃からデザイナーとして就職するために何をすれば良いのかを考えるようになりました。

“楽しい”が動力源

大学2年になると、独学ではなく体系的にデザインについて学びたいという思いが芽生え、現場のプロのデザイナーから学ぶためにサマーインターンに初めて応募しました。
当時はまともなポートフォリオもなく、なんなら見せられるような作品もほとんどないような状態でした。現在の私なら足踏みしてしまうかもしれませんが、その時はデザインをすることがとにかく楽しく、「もっとデザインについて学びたい」という一心でたくさんの企業の選考にエントリーしました。

やる気に満ち溢れたパンダ

結果として、ありがたいことに2社の短期インターンに参加することができました。未経験ながらも私の熱意を買って参加を許諾してくれた企業にはいまだに感謝の気持ちでいっぱいです。これまで独学で取り組んできたことが初めて、他者から目に見える形で評価されとても嬉しかったのを覚えています。

短期インターンでは、プロの現場で働くデザイナーたちの姿勢やスキルに触れ、自分も彼らのようなデザイナーになりたい!という想いを強く持ちました。この時の経験は今考えても重要なもので、自分の進むべき方向性を明確にする助けになったなと感じています。

初めてのインターンで作成した作品(当時のポートフォリオから抜粋)

迷妄と原点への回帰

3年の夏までは2年時と同様に自分の知的好奇心に従い、学内、学外問わず色々なことに取り組んでいました。しかし、いざ就職活動が始まると、やりたいことだけでなく、やらなければならないことが増えていきます。

選考プロセスを重ねるうちに、他者と自分を比較することが当たり前になり、なりたい自分と向き合うことが難しくなりました。かつてはデザイナーになりたい!という強い意志があったはずなのに、他者(主に企業)からの評価が目的にすり替わってしまい、冒頭で述べたように、12月〜1月頃は自分がなぜ就活をしているのかがわからなくなってしまっていました。

アンニュイなパンダ

そんな中、助けになったのは人との対話です。同じように就活に取り組む仲間や、ReDesigner for Studentの森内さん(11日目のAdvent calendarを執筆されています。素敵な記事だったので是非。)をはじめとして、信頼できる人たちに相談したり対話を繰り返すことで、「なぜ就活をしているのか」や「どんなデザイナーになりたいのか」ということを再び鮮明に意識することができました。


どんなデザイナーになりたいのかを言語化したもの(就活時のポートフォリオより)

ここでの再認識も影響して、自分が本当に追求したいデザイナー像や働きたい環境に合った企業と出会うことができ、今年の3月に内定をいただくことができました。

なぜ“就活”をするのか

最初に意識し始めた時から数えると約2年弱、自分は就職について向き合ってきたことになります。

ここまで長々と就活を振り返って感じたのは、
就活🟰理想の自分を見つけるためのプロセス
なのではないかということです。

ひらめくパンダ

SNSを見れば自分以外の全員が輝いて見え、選考に落ちるたびに自己肯定感が下がり、自分とは何かという問いがぐるぐると頭の中を占拠する。
就活中はどうしても自分と他者とを比較したり、企業からの選考結果を自分の評価のすべてだと錯覚してしまいがちだと思います。

しかし、就活を「自分の価値を他人にジャッジされるイベント」ではなく、「理想の自分を探すための時間」だと捉えるとそういったしんどさみたいなものが少しは軽減されるかもしれません。

そして、もう一つ大切だと思ったのは、たくさんの人とコミュニケーションをとることです。ありふれたことかもしれませんが、自分が気づかなかった長所や短所に気づいたり、新しい視点を得ることができるという点において、対話は非常に有益な手段です。

他者と比較するのではなく他者との対話を通して自分を見直すことが重要なのではないでしょうか。

おわりに

「就活🟰理想の自分を見つけるためのプロセス」と書きましたが、実は就活に限らず人生におけるすべてがそうなんじゃないかなぁとも思ったりもします。

社会へ貢献したいとか世界を変えたいとか、自分が成し遂げたいことや大義について考えることはもちろん重要だと思います。
でももし、自分が何をしたいのか、なぜ就活をするのかに迷っている人がいるのならば、まずは何をすればこの先の未来を自分が楽しく幸せに過ごしていけるのか、足元から考えてみると見えてくるものもあるのかもしれません。

幸せそうなパンダ

就職活動というイベントに直面している誰かにとって、この記事が何か少しでも役に立てば嬉しいです。


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