見出し画像

ドル円相場はどこへ行く?資産形成どうする?

ここ最近、為替相場に関するお問い合わせやご相談をいただくことが多くなってきました。数日前もご面談をさせていただきました。それはそうですよね、ドル円は一時129円台と130円目前までドル高円安が進み、この先どこまで上昇するのだろう?という期待と不安が入り混じる状況だと思います。

ドル建て資産やそれ以外の外貨資産を持っていらっしゃる方は期待を抱いていることでしょうし、これから外貨建て資産に投資しようと思っていらっしゃった方は不安を抱いていることと思われます。

私とお付き合いの長い方や、過去に個別相談をご依頼してくださった方はご存じのことですが、私は一昨年(2020年)の終わりから昨年(2021年)の初めにかけてドル円が105円よりも円高ドル安で推移していた時に、ドル建て資産あるいは外貨資産のご購入を推奨しました(ただし、私自身がお客様に販売することはありません。決めるのはお客様にお任せしています)。そして、自分でも投資資産の約7割を外貨建てで保有しています(これはかなり極端なのでマネしなくて良いです 笑)。

当時は、某テレビ局のマーケット関連番組で、専門家と言われる方々がドル円は100円割れまで円高ドル安が進むと言っていましたが、私は逆の考えでした。

2つ理由がありました。1つは過去のトレンドです。1990年代の日米貿易摩擦時代や2008年のリーマンショックから2013年のアベノミクス&黒田バズーカ前までのデフレ時代の日本は100円割れが続くこともありましたが、その後は長期にわたって105円を下回ることがほとんどありませんでした。

もう1つは、コロナ感染拡大が一段落したあとの世界経済に対する見通しでした。おそらく日本よりもずっと早く米国が回復し、金融正常化が起こるとしたら日本よりも米国が先。その考えが正しければ、将来の方向性はドル高円安と睨んでいました。

実際にその動きが見え始めてきてから用いていたグラフが以下に添付したものです。これは、米国の5年国債利回りと原油価格を使ってドル円の動きを掴もうとしたものです。

(FRB、EIAのデータを基にワイズ・アセット・デザイン作成)

為替相場を予想する時に使うツールは色々ありますし、相場予想をするためのモデルもたくさんあるのですが、長年の経験から思っていることがあります。それは、為替相場を予想するモデルは相場のテーマによって変える必要があるということです。ドル円であれば、テーマが貿易収支の場合もありますし、資本移動の場合もありますし、日米金利差や、日米のバランスシートの差が注目されることもあります。

現在は、日米の実質金利差と日本の経常収支の動きがドル円に大きな影響を与えています。これはテーマとしてはかなり王道と言えます。ただ、どれも日々把握するのが難しいデータですので、足元のドル円を追っていくには速報性に劣ります。

そんな時に頼りになるのは簡便法です。日本の金利の変動は小さいものにとどまっているので、米国の金利を見ておけば大まかな日米金利差は掴めます。また、ここしばらくは原油価格の変動が激しく、これが日本の輸入金額に影響を与え、貿易収支に影響を与え、経常収支に影響を与えるので、経常収支の振れというものを原油価格で代替することができます。

そういった考え方に基づいて、米5年国債利回りと原油価格を使ってドル円の動きを予想すると、おおっという感じですが、かなり正確にドル円の動向を予想することができます。

このモデルに基づくと、今後米5年国債利回りが3.5%に近づき、原油価格が120ドルを超えて上昇していく場合に、ドル円は130円を上回るドル高円安が定着することになりそうです。モデルですので多少の誤差は生じますが、こういった分析をすることで、あたりを付けることができる、これが大事だと思います。同様に、もしもインフレが落ち着きを見せ、米FRBの利上げ期待が後退し、米5年国債利回りが2.5%に向かって低下し、原油価格が80ドルに向かって下落するようであれば、ドル円は120円を下回るドル安円高となることが予想できます。

これだけで為替相場を正確に予測することは難しいとしても、こうやってあたりを付けることができれば、それに合わせてご自身の資産形成や投資戦略を考えることができます。特に、短期トレードではなく、長い目でみた資産形成を考える上では、このようなことが現状把握と将来予想の助けになります。

外貨投資を用いて資産形成をする際には、基本的にはできるだけ円高水準で始めたいものです。ですので、ドル円が105円よりも円高水準にあった際には、外貨建て資産の購入を推奨しました(繰り返しになりますが、私が販売することはありません)。110円台でも同じでした。ただ、さすがに120円台後半になってくると目をつぶって買って良いという状況からは若干異なってきます。

しかし、それでも基本的には淡々と外貨建て資産を購入することをお勧めします。その理由は主に、①資産が円だけというリスクを回避し通貨分散が実現できる、②円建て資産の投資リターンよりも高いリターンが期待できるものが多い、からです。特に、長い目で見て、予想される投資リターンが為替差損リスクを上回ってくれる可能性があれば、メリットがあると思います。

よくある話ではありますが、ドル円が105円や110円の時に外貨建て資産の投資を躊躇され、120円を超えてきてから、どうしましょうとご相談にいらっしゃる方々が結構多いです。マーケットは生き物だなということをつくづく感じます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?