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株価と景気見通しの乖離はどう埋まる?

(4月2日のFacebookグループ「よーよーの資産形成塾」からの転載です)

先週は日米ともに株式市場で堅調な値動きが続きました。米地銀の破綻やクレディスイスの経営危機によって高まった金融不安が落ち着きを見せたことがサポートとなりました。

米ファースト・シチズンズ・バンクシェアーズはシリコンバレー・バンクの買収で合意し株価が大幅上昇。米当局が銀行支援策を検討しているとの報道からファースト・リパブリック・バンクも値を上げました。

経済指標では、米国のインフレ指標としてCPIと並んで重要な2月の米PCE(個人消費支出)デフレーターが発表され、総合が5.0%(市場予想5.1%、1月5.3%)、コアが4.6%(市場予想4.7%、1月4.7%)と落ち着いた内容でした。
(*FRB(連邦準備理事会)はCPIよりもPCEデフレーターを重視しています)

その他、細かいところでは、3月のミシガン大消費者信頼感指数(確報値)が62.0と速報値の63.4から下方修正されました。個人的にはこの部分に注目しており、銀行懸念の広がりが消費者のセンチメント低下につながった可能性があるため、来月以降の数字を追っていきたいと思っています。

目先の不安は後退したものの、懸念要因は燻り続けているという状況で、米金融不安の後退やFRBの利上げ終了期待から株価が上昇する一方、景気後退への懸念はじわじわと強まっています。マーケットでも株の強気派と弱気派が入り混じっています。

足元では強気派優勢で、金融危機は回避されそうとの安心感やFRBの利上げ打ち止め&先行きの利下げ期待からS&P500は4,100台を回復。まるで、景気後退はなく、銀行懸念も完全に払拭されたかのような値動きです。

しかし、心配な材料もしっかり存在していまして、過去に2年債利回りと10年債利回りの逆イールドが発生したあとには景気後退が起こっている、銀行の貸出態度の厳格化は景気後退の可能性を示している、米地銀の破綻とその後の資金流出や規制強化によってスタートアップや中小企業の資金調達が厳しくなる、といったことから米経済がマイナス成長に陥る公算は相応に大きいままです。

となると、今の株式相場と景気の見通しは整合的でないように見えます。果たして、株価と景気見通しのどちらが正しいのでしょう?考えられるのは次の3つだと思います。

① 今の強いセンチメントの株式相場が正しく、景気後退には陥らない。
② 景気後退に陥るため、株価はいずれ下落に転じる。
③ 株価はしばらく上昇を続け、7-9月期あるいは10-12月期に景気後退に陥る少し前に下落に転じる。そのため景気後退後の株価の底は昨年の安値よりも高い水準にとどまる。

あとは、これらのシナリオのどれを選択するか、あるいは重きを置くか。

経済や金融市場の専門家は予想を当てるのが商売ですが、長期の資産形成を行う私たちは、どのように投資をしていくかという点がより重要です。中級スキルになってきますが、コアとなる積立投資に加えて、どのように裁量的な投資を絡めていくか(初級スキルでは、情報に対するアンテナを立てながら淡々と買っていくことがまずは大事です)。①と思えば足元の流れに乗っていく、②であれば待つ、③であれば無理に追いかけない、となります。

この①②③のいずれの場合も、コアの積立投資をしていることが大きな助けとなります。①であれば、大きなリスクを取って裁量的投資を進めなくてもすでに持っている資産がリターンを生んでくれます。②であれば、下げたらたくさん買えるという気持ちでマーケットに臨めます。③であれば、すでに持っている資産の平均コストを睨みながら買うタイミングを考えられます。

正直なところ、足元の株価上昇は自分の投資資産にポジティブですが、同時に疑問を感じています。企業の業績見通しが低迷していて、景気見通しも怪しいのに、株価が上昇を続けていることから、PER(株価収益率)が上昇し、株価に割高感が出てきています。強気派は企業業績が底打ちから反転に向かうことで割高感がなくなると見ていますが、弱気派はこの株高は続かないと言っています。このような中、私たちは、市場に参加し続けながら、自分たちが許容できるリスクの範囲内で、長期的目線で臨むのが良いと考えます。

私が申し上げ続けているS&P500のコアレンジ3,800〜4,200の考え方や、上記①②③のどのシナリオをメインにしているかなどについては、またFacebookグループの投稿や資産形成プログラムの中でお話ししたいと思います。

今週は、日銀短観、米ISM景況指数、そして米雇用統計と重要指標が盛りだくさんで、米銀動向を睨みながら経済指標を注視していくことになります。

引き続き楽しく増やす資産形成をしていきましょう〜😊

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