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巷のFPさんは揃って現行NISAの駆け込み投資を勧めるけど、それ本当?

皆さま、こんばんは😊

来年からの新NISAスタートまであと1ヵ月。大幅拡充で資産形成がやりやすくなるため楽しみですね。

そんな中、最近よく話題になっているのが、これからNISA口座を開こうとする方が「今年中に現行NISAをやるかどうか」です。現行NISAは今年で終了してしまう制度ですが、多くのファイナンシャル・プランナー(FP)さんは口を揃えて、現行NISAの駆け込み投資を勧めます。本屋さんに並んでいるNISA投資本にもそう書いてあります。その理由とお勧めは概ね下記の通りです。

− 来年からの新NISAは生涯非課税限度額が1,800万円
− 現行NISAはこの1,800万円とは別枠
− 現行NISAの年間投資上限額は、一般NISA 120万円、つみたてNISA 40万円
− なので、2023年中に始めれば、トータルで1,920万円(一般NISA)あるいは1,840万円(つみたてNISA)が使える
− やるなら金額が大きい一般NISA
− NISAをフル活用しましょう!

こんな感じです。

こう書いてあるとその通りかなと思いますよね。
確かに間違いではありません。でも、実はこのお勧めはちょっと矛盾を含んでいます。

私は一般NISAの駆け込み投資はしなくていいと思っています。

今年で終わる一般NISAは非課税保有期間が5年です。次の①②をご覧ください。

① 多くのFPさんは「元本120万円が5年間、年5%の複利運用で153万円。一般NISAの保有期間終了時にいったん売却して新NISAで買い直せばずっと非課税」といった趣旨のことをおっしゃいます。

② 一方で、こういったFPさんは、金融庁のガイドブックを参考に「投資期間が5年だと運用成績は年率でマイナス8%〜プラス14%に散らばるが、期間が20年に延びると運用成績は年2〜8%に収れんする」といった話をします(添付グラフご参照:出所 金融庁)。

①②をあわせて考えると、i)〜iii)ということになります。

i) 5年で非課税期間が終了してしまう一般NISAだと、5年後に153万円にはなっておらず、元本割れになっている可能性があります。

ii) 一般NISAで5年後に元本割れとなった場合は、運用益がないため運用益非課税のメリットを享受できません。そして、この投資をいったん売却して新NISAの枠を使おうとした場合、この投資を含めた生涯非課税限度額は1,800万円となります。前述の現行NISA+新NISAの限度額1,920万円は5年間しか使えません。

iii) この時、もしもすでに生涯非課税限度額の1,800万円を使い切っていたら、この元本割れとなっている投資は課税口座での運用となります。この時、元本割れの水準が新しい元本となりますので、その後、この投資が当初の元本水準を回復した場合、<一般NISA時の元本水準 - 新しい元本水準>に対して課税されることになります。

もちろん、5年間の運用で利益が出る可能性も十分にありますので、その場合は①のように、運用益非課税のメリットを享受できることになり、今年から始めて良かったということになります(それでも5年後には生涯非課税限度額は1,920万円ではなく1,800万円になりますが)。

ですので、巷のFPさんが言っていることを否定するわけではありません。しかし、自ら5年では運用益がマイナスになる可能性があるので20年の長期投資をしましょうと説きながら、駆け込みで5年限度の一般NISAをしましょうと勧めるのは、ちょっと違うな、少なくともちゃんと説明するべきだろうなと思います。

きっと、FPさん自身が、金融市場では価格が大きく変動するという感覚を身に付け、実際に相場が動くことや、リスクとリターンに深い関係があるということをきちんと理解できるようになれば、矛盾なくお客様にご説明できるようになるのでしょうね。

ということで、私は一般NISAの駆け込み投資はしなくていいと思っています。もしも、せっかくの枠だから使いたいということであれば、期間5年の一般NISAよりも期間20年のつみたてNISAの駆け込みの方が良いと思います。

このようなことを楽しく考えながら、これからも楽しく増やす資産形成をしていきましょう〜😊

私が代表を務めるワイズ・アセット・デザインのウェブサイト
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日経ビジネスに私の記事が掲載されましたのでご覧ください
役職定年を割り切れず、学び直してメガバンクの肩書を捨てた:日経ビジネス電子版 (nikkei.com)

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