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「丸吉食堂」の海鮮丼@戸田漁港

 11月に入って、ひさしぶりに伊豆の旅をした。晩秋と呼ぶにはまだだいぶ暖かくて、日中からだを動かすと、すこし汗ばむくらいで半袖になったりした。ちょっとしたごほうび旅行で、前にも書いた森トラストグループの「伊豆マリオットホテル修善寺」に数泊して、温泉を楽しんだ。修善寺とか湯ヶ島のあたりなど、東京からクルマで行くとかつてはけっこう遠く感じていたものだが、伊豆縦貫道の建設が進み、ずいぶんスムーズにアクセスできるようになったと思う。
 修善寺に数日滞在していて、戸田(へた)漁港に海鮮を食べに行こうということになった。西伊豆の海岸に沿って点在する港街のひとつで、金山があった土肥の一つ北の港というロケーションだ。訪れるのは初めて、修善寺からは県道18号線で駿河湾に向かう一本道だが、これがけっこうな山道で上り下りに急カーブの連続、だるま山高原や戸田峠などを通過して、伊豆半島が火山の連なりであることを肌で感じる。なかなかタフなドライブで1時間近くかかった。沼津市街側からのアクセスも気になってインターネットで調べると、沼津ICからやはり県道の17号線などで60分とある。こちらも平坦な道ではなさそうだ。うーむ、陸の孤島かもしれません。
 戸田漁港の海に面したスペースまでクルマで入れるようになっていて、漁協のあたりに駐車する。管理している人もいなくて自由に停められるようだ。クルマを降りると目の前がすぐ海で、まず海の青さと透明感に驚く。その日は祝日で、漁はお休みなのだろうか、漁船が舫であり穏やかな波に揺れている。そこで休日だったことを思い出すが、観光客の姿はほぼ見かけない。そういえば県道もすいすいだったなあ。戸田漁港の観光地としての今後がすこし心配になる。
 ともあれ静かな漁港を散歩する。漁協があるあたりが港の中心なのだろうが、端まですぐに歩けてしまう。よく晴れた11月の陽光と海からの微風を全身で堪能する。キラキラした海に浮かぶ小型の漁船を眺めていると、なぜか懐かしい気持ちがしてくる。内陸部で育った私だが、子どもの頃の情景を思い出すような気がする。
 午後になる。漁港の施設に面した通りに出て歩いていくと何軒か、高足ガニ、深海魚、海鮮、など看板が目に入る。こちらはすこし行列があるお店などあり、なぜかほっとする。昼食をとるべくキレイそうな「丸吉食堂」を勘で選んで入る。店内はきわめて清潔、客席を切り盛りする3人の女性(やや高齢)のサービスはよく、お人柄もフレンドリー、直球のチョイスで注文した海鮮丼はリーズナブルにして美味、いうことなし! 
 食べ終わって食堂の窓から漁港を眺める。すこしだけ陽射しが傾き始めたようだ。戸田港の時間はゆっくりと流れていく。

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