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「あしなや」のサンマーメン@鎌倉

 今回の鎌倉では同じお店で2日続けて昼ごはんを食べてしまった。鎌倉駅東口からすぐの「あしなや」で、前から行きたいと思っていた。町中華を好むことは何度か書いているが、ここもメニューにはラーメン、チャーハンやカレー、定食などがあり、町中華のカテゴリーに入るだろう。昭和11年創業だそうだが、店内は比較的新しくよく手入れされて清潔でうれしくなる。年配の客が多く女性1人できている人も多い。2日ともほぼ満席だったが、すこし待てば座れた。
 人気メニューと思われるサンマーメンを注文する。神奈川県のご当地ラーメンで、よくいわれる話だが魚のサンマが入っているわけではない。横浜の町中華や本格中華でも食べたことがあるが、鎌倉では初めてだ。次々入れかわる他の客の注文を聞いていると、やはりサンマーメンが多いようだ。そうこうするうち到着する。醤油味のスープにかなりやわらかいストレートに近い麺、もやし炒めのあんかけのような具が乗っていて、あっさりとした味わい。これはもやしそばだといわれれば、そうかなと思って食べるかもしれない。私の好む町中華メニューのストライクゾーンどまんなかだろう。にこにこしながら完食。
 注文した後にもメニューを精査する癖が私にはあるが、この日も食べながらメニューを見ていたら、麺類の裏側に気になるセットものを発見してしまう。「ミニラーメン付お得用セット」とあり、カレーライス、チャーハン、焼肉ライスなどにミニラーメンが付くようだ。東京の学生街などに、よくあるのが「半チャンラーメン」で、これはラーメン類にハーフのチャーハンが付く。私にとってカロリー的にも塩分的にもめくるめく禁断の世界だが、今は食べないようにしている。うーん、ミニラーメンのセットかあ、そうくるかあ、食べてみたいなあ、というわけで翌日も訪問。カレーライスとのFセットを注文する。なぜFなのかは謎。AもBもCもなくいきなりF。ちなみにチャーハンとのセットはK、わからないなあ。ともあれ、お味は期待通りの昭和のカレーライスにあっさりお醤油ミニラーで大満足。「あしなや」の世界を心おきなく味わった気分である。
 今回の鎌倉ではあいかわらず素晴らしい街と自然の魅力に浸りながら、思うままに好みの食事をして、スペシャルティにカテゴライズされるコーヒー店(鎌倉で急増中)を何軒か楽しんだ。そして旅のあいだ、村上春樹さんの新作『街とその不確かな壁』を読んでいた。高い煉瓦の壁に囲まれた街、影を失った人間、本がない図書館、名前のないコーヒー店・・・。今回も春樹さんワールドにディープに連れて行かれて、その「街」に身を置く体験ができた。読書と旅のある生活、自分は幸福だと思う。

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