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DTP未経験者からInDesignマイスターになるまでのお話

初めまして!
名古屋の制作会社で働くDTPオペレーター のあきづきです。
先日JAGRA様より賞を頂き、2019年InDesignマイスターに選ばれました!
 
遡ること8年前、転職で未経験者としてこの業界に入りました。
美術系の学校を出ていない自分にとって、知らない事だらけだった当初。
どうしたらもっと効率良く出来るのか、自分なりに試行錯誤な日々でした。
 
この記事では、そんな自分がInDesignマイスター(制作効率化のプロ)にたどり着くまでに、学び・考え・実践したことを紹介していきます。

InDesignマイスターとの出会い

未経験からDTPオペレーターになってから6年目までは、主に『オペレーション作業』がメインでした。
基本的にはフォーマット(設定)は先輩方に作って頂き、それを元に『組む』のがお仕事。
希に自分で作る事もありましたが、ほぼ未経験に近い状態でした。
 
そんな中『効率化を意識したデータ作成』を強く意識する切っ掛けとなったのが、2018年6月1日のCC道場での、InDesignマイスター・戸田さんのデモでした。
最初は仕組みが全く分からず、開いた口が塞がらず。
「業界の最先端の達人の方々は、こんな作り方が一般的なのか」と、非常に衝撃的なデモでした。
そして同時に、『組む』だけでなく『効率化を仕込んだデータ作成』に自分も挑戦してみたい!と胸に刻みます。 
 

試験挑戦への決意

とは言え、経験が無い子にいきなり会社は任せてくれません(当然です)。
そこで『まずは1年勉強して、コンテストで実績を出そう!』と、コンテストへの挑戦を決意。 
 

作業者としての『現実』と『挫折』

決意と同じ頃、働き先が「制作会社」から「印刷会社」へ異動になります。

当時は『部内で一番出来るDTPオペレーター』と十分な自信を持ち、技術的な不安は全く無し…のハズでしたが。
異動を切っ掛けに、徐々に『DTP作業は海外オペレーターが主流』になり始めている業界の現実を初めて目の当たりにします。
日本より少し精度は落ちるけど、手が早く、単価も1/5程度だとしたら…同じ土俵で戦っても、到底勝てるハズはなく。
今までのように、ただ『オペレーション作業』をしているだけでは、いつかは生き残れなくなる未来が、必ず来てしまう

未経験から自分なりに頑張ってきた積み重ねてきた自信が、音を立てて崩れ落ちた瞬間でした。
 

デザイナーとしての『転機』

大きな挫折を味わった一方で、それは転機の訪れでもあり。
徐々に、海外の方では現状は出来ないこと…「デザイン作業」が自分の主な仕事になりました。

時にはデザイナーとして、カタログの改訂誌面デザインを考え。
デザインが決定した後は、『どんな手順で作業して貰うか』を考えることに挑戦できるようになりました。 
 

制作効率化への挑戦

海外作業の場合に精度が少し落ちてしまう課題は、どう解決するべきか。
 
海外オペレーターさんは、基本的に手作業で面倒な作業も、文句一つ言わず、指示通り直してくれます。
自分達で作業前にスタイルを作ったり、仕込みをしたり…という事は、やられません。
でも、依頼者がきっちり手順を作れば、その通りに作業してくれます。
なら、精度が落ちやすい部分を、データ側で自動調整するようにすれば、精度が保たれるのではないのか。
 
ここで、憧れていた『効率化を仕込んだデータ作成』に話が繋がり、ここぞとばかりに挑戦!
…といっても初心者がいきなり戸田さんのような神業は出来ないし、海外オペレーターさんの理解度も分からなかったので。
まず最初は、下記のような超初歩的な内容から初めました。

InDesignの効率化例1

想定通り修正される事を確認した後は、今の自分の知識で出来る事から少しずつ、徐々に仕込みを強化。

InDesignの効率化例2

(以下、実際の動きを紹介した動画)

 

実践で知った『当たり前を、面倒だと思う』こと

色々試行錯誤する内に、少しずつ引き出しが増えることで、自分の中で「面倒」と思う作業も増えていきました。
これは決して悪い話でなく、実は効率化を考える上では最も大切な考えで。
 
例えば前項で紹介した事例。
Illustratorなら全部手動で直すのは当たり前ですが、もしInDesignの場合も「当たり前」と思ってしまったら、どうでしょうか。
多分「面倒だ」とすら思わないと思います。
でも簡単に自動調整できることを知っていたら、きっと都度手で直すのことは「面倒」だと感じると思います。
 
色んな効率化を仕込むようになって一番変わった事は、その「今まで当たり前だった作業」をどれだけ「面倒な作業」と考えられるようになったか、だと思っています。
 

効率化の考え方

最初の一歩「面倒な作業」は、どう見つけ(気づけ)れるようになるのか。
 
自分の場合は、手順書の整理が一番近道な事が多いです。
手順を整理していると、ここは必ずこう修正する、といったルールに気づく事があります。
必ず同じ色に変えるとか、アキが一緒とか。
これはInDesignに限らず対機械全てに言えることですが、一定のルールがあるという事は、そこは機械的に出来るところ。
見つけたルールをデータに仕込めば…「面倒な作業」が一つ減りました。
 
一見凄く小さな事に見えますが、自分がInDesignマイスターになれた事の一番の要因は、この考え方が根底にあることだと思っています。
「これくらいは手作業で良いか」を妥協せず、面倒くさいを一つずつ満足いくまで潰し続けた自分の集大成が、今回のコンテストの1次試験。
日頃少しずつ意識していた考え方が功を成したからこそ、あの結果にたどり着けたんだと、信じています。
 

まとめ

全体を振り返ると、効率化の世界でも『まずは作ってみること』が一番、大切なことだと実感しています。
喩えどんなに小さな効率化だとしても、「今の自分でやれる方法」を必ず一度は形にしてみる。
そこから可能なら、もう一度同じ物を作ってみて、『繰り返しの面倒くさい作業』を見つける練習を繰り返すこと。
仮に時短としては僅か数秒の事だとしても、その小さな発見が積み重なることで、最終的に大きな結果に繋げられるのではないかと思い思います。 
 
ある程度の技術はやっていれば自然と身につきますが、考え方は『変えよう』という強い意識があってこそ、成長できるものだと思います。

この記事を通して、少しでも皆さんの『面倒な作業』が、『楽な作業』に変わる切っ掛けになれば、幸いです。
 

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InDesignを学ぶならこれ!という、オススメ書籍を紹介した記事。
特に「神速InDesign」「神速InDesign」は、試験直前に何度も読み返した書籍で、効率化のアイディアを沢山学ばせて頂きました。

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