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感知動作療法とは


感知動作療法とは

定義:原始的な生体が兼ね備えた反応や運動の連動を無意識的に引き出すことを目的とする。

人間の脳は無自覚な動作や行動、いわゆるスコトーマを認知することで、その非効率性を処理し、より効率的な方法を求める能力を持っています。この能力は私たちの日常の多くの活動、特に新しいスキルや動作を習得する際に顕著に現れます。

例として、自転車の乗り方を考えると分かりやすいでしょう。最初、自転車に乗ることは非常に難しく、身体のバランスを取るのが大変です。この初めての経験は、私たちの脳にとって新しい情報として処理され、その結果として多くの失敗や転倒が生じます。しかし、脳はこれらの失敗から学び、どの動作がバランスを崩して転倒の原因となるのか、どのような動作が効率的に自転車を進めるのかを徐々に認識していきます。

この過程を通じて、脳は非効率的な動作を修正し、効率的な動作を強化していきます。そして、何度も繰り返し練習することで、最終的にはスムーズに自転車に乗ることができるようになります。

この自転車の例は、私たちの脳がどのように新しい情報や経験を処理し、効率的な動作や行動を習得するかの一例に過ぎません。しかし、これは私たちの脳が日常生活の中で常に非効率さを排除し、効率的な方法を求め続ける能力を持っていることを示しています。

人間の脳には、新しい動作やスキルを習得する過程で、大脳と小脳の両方が関与しています。

初めて新しい動作やスキルを学ぶ際、大脳前頭葉の一部である運動野が活発に動作を制御します。この段階では、意識的な努力や集中が必要で、動作は不慣れで非効率的です。

しかし、繰り返し練習することで、動作は次第に効率的になり、小脳がその動作の制御を担当するようになります。小脳は動作の精度やタイミングを調整する役割を持ち、習得した動作を自動化することが得意です。

この遷移により、習得した動作は無意識下でスムーズに実行されるようになり、動作そのものに意識を向ける必要がなくなります。例えば、自転車の運転や楽器の演奏、タイピングなど、習熟したスキルは小脳が主に制御することで、自然で効率的な動作として行われます。

この過程は「プロセドラルメモリ」とも呼ばれ、習慣化された動作やスキルが無意識のうちに行われる背後にある神経メカニズムを指します。この結果、かつて非効率だった動作は、意識的に行うことが難しくなることもあります。つまり、習得した動作やスキルは「体が覚えている」とも言われ、意識的な思考を介さずに自動的に行われるようになります。

「プロセドラルメモリ」(procedural memory)は、特定の動作やタスクを行う手順やプロセスに関連する記憶のことを指します。このタイプの記憶は、言葉で説明するのが難しく、繰り返しの実践や経験を通じて習得されるものです。

例えば、自転車の乗り方、楽器の演奏方法、泳ぎ方、あるいはタイピングなど、一度身につければ自動的に行うことができるスキルや動作がこれに該当します。これらの動作やスキルは、最初は意識的に考えながら行う必要がありますが、繰り返し練習することで次第に自動的に、そして無意識のうちに行うようになります。

このプロセドラルメモリは、脳の中で特に小脳や基底核といった部位が関与しており、これらの部位は動作の精度やタイミングを調整する役割を担っています。

逆に、具体的な出来事や情報を記憶する「宣言的メモリ」(declarative memory)とは異なります。宣言的メモリは、事実や出来事を明示的に思い出すためのもので、例えば「首都はどこか?」や「昨日の晩御飯は何だったか?」といった情報を記憶する際に関与するメモリです。

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