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『与楽流整体術 概論』その1~環境が及ぼす個性の発生機序~

割引あり

前書き:身体性と心の相互作用についての探求

私たちの心と体は、互いに密接に関連して動作しています。日常生活の中での私たちの行動や感情、そして思考は、身体的な動きや姿勢と結びついていいます。しかし、この関係性は一方通行のものではありません。つまり、私たちの思考や感情が身体的な動きや姿勢に影響を与えるだけでなく、その逆もまた真実であるということです。

本文では、この心と体の相互作用を中心に、動作効率、習慣の力、比較の不足、認知的なゆがみ、効果的なフィードバック、そして音楽の影響など、多岐にわたるトピックを通じて探求していきます。特に、身体の動きや姿勢が私たちの思考や心理、さらには個性の形成にどのように影響を与えるのか、そしてその逆に、私たちの内面が身体的な表現にどのように現れるのかを解明していきます。

このテーマについての探求は、自己理解を深める手助けとなるだけでなく、他者とのコミュニケーションや関係性の理解にも寄与するでしょう。また施術者として患者と向き合うための知識・技術の研鑽に努める一助となる知識や洞察を得ることができるでしょう。


思考、感情、心理の循環

思考、感情、心理の3つは、人の内面的な反応や行動の背後にある要素として密接に結びついています。これら循環は、以下のように説明されます。

  1. 思考: 思考は私たちの認知のプロセスであり、外部からの刺激や情報を解釈する過程です。これには、過去の経験や学び、信念や価値観が関わっています。

  2. 感情: 思考のプロセスを通じて得られた解釈は、私たちの感情に影響を与えます。例えば、「これは私にとって良いことだ」という思考は喜びや興奮といったポジティブな感情を引き起こします。逆に、「これは私にとって不利だ」という思考は不安や恐れのようなネガティブな感情を生み出します。

  3. 心理: 感情は私たちの心の状態や行動に影響を与えます。喜びや興奮の感情は前向きな行動やアプローチを生み出し、不安や恐れは避ける、または守るような反応を生み出す可能性があります。この心理的状態は、新たな思考や解釈のプロセスにフィードバックを与え、循環を継続させます。

この循環の理解は、自分自身の反応や行動の背後にある原因を理解するための鍵となり、姿勢や動作に思考と心理が及ぼす影響を理解する手助けとなります。

個性の発生機序とその影響

個性的な動作や姿勢は、さまざまな要因から形成されます。それは環境、体験、文化、学び、心の健康状態など多岐にわたる要因が影響しています。

出生前期から老年期までの各時期における姿勢・動作の個性の発現とその影響

  1. 出生前期:

    • 発現: 胎内での胎動が始まり、個体差がみられる。これが初めての動作の形成となる。

    • 影響: 母体の健康状態や姿勢動作により胎児の位置や姿勢、栄養状態に影響を与え将来的な骨の形成や脳の発達、体温調整機能や活動パターンにも影響を与えることがある。

    • :出生体重や健康状態、知能への影響

  2. 幼児期:

    • 発現: この時期は歩行を始める段階であり、個体差が大きく現れます。歩き方、走り方、つかまり立ちの姿勢など、一歩一歩がその子の個性を表現する要素となります。

    • 影響: 正しい動作を導くことで基礎的な運動能力やバランス感覚が養われますが、不適切な姿勢や動作を繰り返すと、それが習慣となり、将来的な問題の原因となる可能性がある。

    • :偏平足や外反母趾、O脚による歩行リズムへの影響

  3. 幼少期:

    • 発現: 子供はこの時期にさまざまな運動に挑戦します。ジャンプの仕方、走り方、ボールの投げ方など、その子の動作の癖や特徴が見え始めます。

    • 影響: 適切な指導や環境が与えられれば、運動能力や協調性が向上します。しかし、誤った技術や姿勢が習慣化すると、成長期に関節構造や神経伝達に問題を引き起こす可能性がある。

    • :側弯症による姿勢保持への影響

  4. 少年期:

    • 発現: 社会性が増し、スポーツや学校の活動を通してさらに個性が強調されます。チームスポーツでのポジション、独特の動作スタイルなど、個人の特徴が顕著になる時期です。

    • 影響: ポジティブなフィードバックや適切なトレーニングを受けると、自信や社会的スキルが向上します。一方、怪我や過度なプレッシャーによるストレスは、成長過程での身体や精神へのネガティブな影響を及ぼすことがある。

    • :自信喪失などによる猫背、動作効率の低下

  5. 青年期:

    • 発現: 青年期は身体的、精神的な成熟が進む時期であり、この段階での過去の経験や習慣、教育やトレーニングが姿勢や動作に反映されやすいです。また、職業や趣味、生活環境などの外部の要因も、姿勢や動作のスタイルに影響を与える要因となります。

    • 影響: 青年期に習得や固定化された姿勢や動作のパターンは、中年期や老年期にも続くことが多い。この時期に不適切な姿勢や動作を習慣化してしまうと、神経系の偏りを生じる。

    • :認知バイアスや価値観の形成への影響と固定化された行動パターンの確立

  6. 老年期:

    • 発現:年齢とともに筋肉量の減少や関節の硬化などが現れ、特有の動作や姿勢が形成される。

    • 影響: 老化による身体の変化に適応する動作や姿勢は、さらなる健康問題のリスクを増加させる可能性がある。

    • :歩幅が狭くなるなどの動作速度の低下や立ち座りの難化。

環境や日常の活動が姿勢・動作への与える悪影響

家具や生活環境の影響

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