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『与楽流整体 概論』その12 情報

なぜ私たちは自らの警告システムを無視するのか?

私たちの身体は驚異的な機械であり、日々の様々な負荷やストレスに対して適切に反応しています。身体は、異常やバランスの崩れを感知し、それを私たちに知らせるための「アラームシステム」を持っています。しかし、多くの場合、この繊細な警告システムは我々にとって何気ないものとして受け取られ、無視されることが多いのです。

現代社会は、情報の洪水や日常の忙しさ、メディアや雑誌の影響、さらには施術所などが繰り返し行うマーケティングの戦略など、多くの外部的要因に晒されています。このような状況下で、私たちは容易に自己の身体感覚を遮断し、真のニーズや身体のサインを見逃すことが増えてきました。社会的生き物としての私たちの宿命、持って生まれた先入観、そして我々の顕在意識がどのようにしてこれらの警告をスルーしてしまうのか、本文ではその背景とメカニズムについて言及します。



警告とは、コミュニケーション手段の一種で、よくない事態が生じそうなので気をつけるよう、告げ知らせること。似た言葉に警報があるが、こちらは対象者が不特定多数あるいは広範囲におよぶ一方的な場合に用いる。

1. 社会的生き物としての宿命

人は本質的に社会的生き物であり、コミュニティの一部としての役割や期待に応えるために多くの行動をとることが求められます。この社会的な役割や期待は、時に自分の身体の状態や警告シグナルを無視することを促すことがあります。例えば、仕事のプレッシャーや家族の責任は、明らかに身体が休息を必要としている場面でも、休むことを選ばないように促すことがあります。

  1. 人の社会的本質

    • 人は進化の過程で社会的な生き物として成り立っています。集団内での協力やコミュニケーションは、生存と繁栄の鍵となってきました。この社会性は、個人の行動や選択に深く影響を与える基盤となっており、集団内での受け入れられやすさや役割遂行のための行動が促されることが多くあります。

  2. 社会的役割や期待

    • それぞれの文化や社会には、個人が果たすべき役割や期待が存在します。これには、仕事や家庭、友人関係など様々なシチュエーションでの「ふさわしい行動」や「適切な対応」が含まれます。これらの役割や期待に応えようとすることで、身体の警告シグナルを無視することがしばしば求められる場面が生まれることがあります。

  3. プレッシャーと身体的ニーズの対立

    • 社会的な役割や期待と身体のニーズは、しばしば対立することがあります。例えば、仕事の締め切りや家族のニーズに応えるため、疲れや痛みを感じながらも働き続けることが求められることがある。このような状況では、身体の「休息を取る」というシグナルを無視して、社会的な期待や役割を優先させる選択をすることが多くなります。

このように、人は「社会的生き物」としての宿命に基づいて、多くの外部的要因に影響されながら行動や選択をしています。このプロセスの中で、身体の警告シグナルや本来のニーズを無視してしまうことがしばしば発生します。

2. 先入観

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