見出し画像

カメレオン人間

卒業アルバムの白紙ページに、よせがきをもらう風習ってありますよね。

わたしがもらった高校時代のよせがき、すごく両極端なことばに分かれていたんです。

クラスメイトからのことばには「女子力高くて」「頼りがいがあって」みたいな、うれしむず痒いことばが多かった。いっぽうで部活の同期からは「いつも変顔しかせん」「ヘラヘラしてる」といったお調子者のわたしにあてたコメントがほとんどで。

真実かどうかはさておき、どちらのメッセージも嬉しいものだったけれど、3年間ともに過ごしたともだちに(独立した学科だったので、クラスは卒業まで持ちあがり)こうも相反することばでわたしを説明されるというのは、あの頃の自分にとってはわりとショッキングなことでした。裏表があるやつって、たとえどちらも真の自分だったとしても、10代の頃はとくに聞こえがわるいじゃないですか。

でも、いまは全くそう思わない自分がいるんですよね。いろんなことばで自分についてコメントされるのって、すごく面白い。どこかで無理していないかぎり、ぜんぶ本当の自分だと思うから。納得できる「わたし」も、予想外な「わたし」も、他者に気づいてもらえる瞬間がすごく好きなんです。もちろん、場にかかわらず存在する自分もどこかにはいるのだろうけど。

以前、密着ドキュメントの番組内で俳優の綾野剛さんが「仕事柄もあるんでしょうけど、人に言われるぼくの性格ってかなりバラバラなんですよ。でもそこをスルスルとくぐってく感じが、すごく面白いなって思います。」と妖艶な笑みをうかべてたのをおもいだします。


変幻自在のカメレオン人間、いいですよね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?