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京都は、旅行するより「住みたい」場所になった

平野太一

以前京都に行ったのは、4年前の11月中旬。街が鮮やかに色づき、どこでシャッターを切っても絵になる京都が大好きだった。

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大学時代は大阪に住んでいたため、街が色づくこの時季になると毎年行っていたが、東京で働くようになってからはタイミングが合わず、ここ数年行けていなかった。

ニュースを見ていると、今年はこの時季でも京都の訪問客が少ないらしい。ならばこのタイミングで行ってみようと思い、善は急げで、新幹線を予約した。

どこに泊まるか、それが大事だ

人それぞれ、旅行で大事にしていることはちがう。今の自分の場合は、「どこに泊まるか」。大学時代や社会人はじめのころは、行きたいスポットへのアクセスがよいか・値段が安いかが、泊まるところをえらぶ基準だった。

最近は、遊びに行くというよりも、ゆっくりしに行くことが多い。だから、泊まるところを中心に、その周りにあるスポットを探すようになった。

前回の京都旅行のときにつくって、今も更新し続けているGoogleマイマップを頼りに、これまでピン留めしてきたホテルを見返す。上限2万円台ぐらいで探していたところ、良さそうだったのが『梅小路ポテル京都』だった。

ホテルじゃなくて、ポテル

『梅小路ポテル京都』を知ったきっかけは、Nueの松倉早星さん。関わっているこのプロジェクトの進捗をTwitterで知り、この人が関わるなら他にはない何かおもしろいことがあると思って、今回の京都旅行ではここに泊まることを最初に決めた。

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(aeruとのコラボで生まれた「aeru room SILK」)

行くタイミングに合わせて、Twitterで松倉さんにDMしてみたところ、飲みに行けることになった。会いたい人がいるから、泊まってみたいところがあるから、京都に行く。観光・撮影目当てで行っていたころから、旅行のたのしみ方が変化したことを実感した。

待ち合わせ場所は、梅小路ポテル横にある『梅小路醗酵所』。日本酒ふくめ、さまざまなお酒が並んでいて、お酒の原料である麹をつくる麹室まである。ホテルに泊まったときの「近くに良い感じの飲み屋がなくて…」を解消してくれていると感じた。

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その飲み会には、松倉さんのほかにも、ホロニックの長田さん、ロフトワークの入谷さんなど、京都に住むたのしい人たちを紹介してくれた。

一人で旅行に行くと、ついついラーメン屋やチェーン店に行ってしまう。『梅小路醗酵所』は、外からどんな感じなのか見えていて、開かれている感じがちょうどよくて、目新しさと入りやすさのバランスがとれていた。スタッフの人におすすめの日本酒を聞いたり、ラベルデザインの好みで選んだり。人数が多いからなのか、旅行気分だからなのか、お酒がスイスイすすむ。

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自分と年齢が離れているのにも関わらず、彼らはフラットに話しかけてくれる。「こうしたいよね」「こうなったらいいな」「もっとこうできるはず」── 現状に満足せず、つねにたのしく、仲間を集め、高みを目指す。その姿を眺めながら、酔っ払いながらも、こういうふうに歳を重ねたいなと思った。その日はふらふらになってしまうぐらい、たのしかった。『ぽて湯』で身体を洗い、風呂上がりにベッドに転がったら、いつの間にか朝になっていた。

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翌朝の朝食もすごくよかった。コロナ真っ只中にオープンしたこともあり、衛生面が徹底されていた。豊富なおかずや野菜の中から、自分の好きなものをえらぶ形式。目の前の炭火で料理人がお魚を焼いてくれるサービスもあってうれしかった。炊き込みごはんも美味しくて、何度もお替わりしてしまった。

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梅小路ポテル京都に泊まってみて、“いい1日だったな” と思える体験を丸ごと味わえる場所だなと感じた。これまでのホテルは、ベッドやセキュリティ、フードなど、それぞれの素晴らしさを謳うところが多かった。しかしここは、「よい1日を過ごす」ためにどうあるべきか逆算されていて、“点” ではなく “面” で体験が考えられている。だからお酒もあるし、銭湯もある。本やボードゲーム、レコードまである。自分でコーヒーを淹れられる体験コーナーもあって新鮮だった。

「『ホテル』じゃなくて、『ポテル』です」というコピーも秀逸。

また、京都駅に近いこともあり、チェックアウトした後も快く荷物を置かせてくれた。おかげでいろんな場所に、身軽に遊びに行けた。また泊まりに行きたい。

知り合いのおすすめスポット3選

今回の旅行は、知り合い経由で訪ねたところがほとんどだった。

① 昼前にチェックアウトした後、雨の中、バスで二条まで向かった。まずは、梅小路ポテルの選書をしている『誠光社』に行く。お店に入ると、今まで見過ごしていた良書がずらりと並んでいて、どれもおもしろそう。どれを買おうか30分ぐらい悩む。そして、たまたま目に入った、高木崇雄さんの『わかりやすい民藝』(d BOOKS)を買った。

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② その足で、自炊料理家の山口祐加さんにおすすめしてもらった『ミーミーミーコーヒー』でコーヒーを飲む。カップがかわいい。店内で話しているスタッフの人とお客さんとの会話をBGM代わりに、買った本を読む。関西弁を聞くのが久しぶりで、なんだか心地よかった。

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京都に旅行に来たことをTwitterでツイートしたら、ゆりりーさんが『LAND』『QUE PASA』『STYLE COFFEE』もおすすめだと教えてくれた。次回は、もっとゆっくり巡りたい。


③ 続いて、リニューアルした新風館に行く。モモエさんがTwitterでおすすめだと紹介していた『たすき』のさけ氷(煎茶ジンライム-青山椒仕立て-)を食べる。お酒とかき氷の組み合わせ、予想以上にすてきなコラボで、ペロリとたいらげてしまった。他にも、「生姜レモン」や「キャラメリゼした無花果とプリン」など、きっと美味しいと思える組合せばかりで、また行きたくなった。

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雨が弱くなってきたこともあり、せっかくの機会なので四条まで歩く。雨が降る京都の街並みはしんとしていて、観光シーズンの賑やかな京都とは違った一面を見れてよかった。

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 おすすめのお店は間違いない、けれど…

今回訪ねたお店はすべて、知り合いがおすすめしていた場所。ぜんぶ美味しいし、間違いがない。

でも、おすすめスポットを渡り歩くにつれて、自分の感覚で「おもしろそう」と思えるものをスルーしている自分に気がついた。もったいない精神が働いて、行ってみたいところを効率よく回ろうと、予定をぎゅうぎゅうに詰め込んでしまうのだ。

今の自分は、たくさんのおすすめ情報に囲まれている。自分の感性を信じるには、数日間の旅行だけではダメなのかもしれない ── 。

そのときふと、「京都に住む」という選択肢が浮かんできた。

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京都は、旅行するより住みたい場所かも

京都には、いろんなバックグラウンドの人たちがいて、それぞれがバランスを保ちながら、ゆるくつながっている。うちはうち、よそはよそ。同質なものは集まり、異質なものとは静かに距離をとる。

そんな「あたたかさ」と「つめたさ」を同時に持つ、絶妙なバランス感覚のある京都のことを、たった数日間の旅行ではなく、住むことで深く知りたいと思った。

これまで京都のことを、住む場所ではなく旅行する場所だと無意識のうちに思っていた。そんな自分が、選択肢として「そこに住む」という可能性もあることに気づいた。

たしかに今のタイミングなら、住む場所は東京でなくてもあまり変わらないように思う。今の賃貸の更新は1年半後だ。住む場所を京都に移すことを、ちょっと本気で考えてみようと思う。

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雨の京都もよかったし、秋以外の季節の京都も見てみたい。住んでみたら、旅行では見られなかった京都のまた違った一面を見れるかもしれない。

そんなことを考えながら(書きながら)、今すごくわくわくしている。

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この記事を書いたきっかけは、松倉さんに「宣伝はいらない京都の思い出をおくれ」と、『ポmagazine』へのエッセイステイの寄稿の依頼をもらったからです。

レギュレーションなしで、京都での旅の思い出を書いてほしい。しかも、寄稿なのに自分のnoteに書いてOKというめちゃくちゃ好条件。結局、ポテルの話は結構入れてしまったんですが、京都について考えるようになり、すごくいい機会でした。

この記事を書ききったあたりで、出会う人たちに「いつか京都に住みたい」と宣言するようになりました。数年後、自分が本当に京都に住むことになったら、松倉さんに相談しようと思っています。

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平野太一

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